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クリスマスのきおく

今日はクリスマスイブですね。
結婚してしばらくは色々と特別な料理を作ったような気がするけれど、年と共に胃袋がやわになっていく私たち夫婦はいつものご飯が一番やろ、ということでいつものご飯です。
生協の冷凍ロールキャベツを野菜室にある野菜と水でちょっと薄めたトマトジュースと昆布粉とチキンスープ細粒で煮込んで、ちょっと高めのパンと、豆腐とトマトを刻んで合わせただけのサラダで終了。
どんだけ手を抜いているんだと母に叱られそうだけど、良いんだよ、バレなければ。

ところでクリスマスの記憶を一生懸命たどったのだけど。
ほとんど記憶にない。
まず、営業職で忙しい父はまずクリスマスディナーなんて無理だった。
母が穴を埋めるべく腕を振るい演出もがんばってくれたはずのイブの夜。
記憶にないと言ったら多分泣かれてしまう。
中学に上がると友人のお父さんのクリスマスケーキのノルマに協力し退職されるあたりまで毎年一つ買っていたのだけど、それが美味しくて密かに楽しみにしてたことは今思い出した。

なんだあるじゃないか思い出。
がんばれ私の灰色の脳みそ。

あと、超大型団地住まい初期のころは夜になるとどこかの教会から聖歌隊がやってきて、クリスマスキャロルを歌って回っていた。
古き良き時代だったので、住人たちはキャロルが聞こえてきたら窓を開け、ベランダから拍手して声援を送り、とても良い雰囲気だったのを時々思い出す。
欧米の児童文学を愛読してイギリス人になりたいと夢想していた小学生の私は、もちろん大興奮だ。
これぞ、クリスマス!と喜んでいたが、いつの間にかキャロルは聞こえなくなり、私たち家族も引っ越してしまった。
彼らはいったい何者で、どこに行ってしまったのだろうか。
あの歌声は、本当に良い体験でした。
ありがとうございます。


その聖歌隊の記憶からさらに思い出すのは、友人に誘われて行ったカトリック教会での古楽器演奏会。
アンサンブルエクレジアというグループだった。
開催時期はクリスマスではなかったけれど。演奏された数々の曲はイギリスの古いキャロル。
この時に様々な古楽器の音を聞き、優しい調べの宗教音楽を知った。
女性歌手の伸びやかな声と、リュートをはじめとした弦楽器、オルガン、リコーダー、打楽器。
それらが一つになって広い教会の中を流れていく。
厳しい戒律の中の修道院で歌われる音楽も素晴らしいが、人々の生活に根差した歌は、子守歌のような柔らかいものもあれば、キリストの誕生を祝い、どんちゃん騒ぎしているかのような賑やかな合奏もある。
ヨーロッパと言う国に思いをはせているうちに、私の中で新たな扉が開いた瞬間だった。
そしてこのアンサンブルエクレジアのCDをこつこつと一枚ずつ、集めて今もこうしてクリスマスのころになると聴く。

そもそも私はキリスト教徒ではないので、ちょっとクリスマスの上澄みをすする日本人らしい二日間。
うん。
いつものご飯で十分やな。



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