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短編小説

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2024年1月の記事一覧

恋はいつの間にか始まっていたようで、それに気づいた時にはもう、終わっていた。

 友だちの女の子に彼氏ができた。僕は、その第一報告を聞いた。

 良いことだ、と思ったから、

「おめでとう」

 と言ったんだ。そしたら、

「あんまり嬉しくなさそうじゃん」

 と彼女が言った。

 そんなはずはない。親友と呼んでも差し障りない彼女のことだ、僕が笑顔で喜ばずして誰が喜ぶんだ。

 彼女の言葉にそうやって反論するつもりだったのに。

 僕が選んだのは沈黙だった。

 二の句を接げ

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