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こばなし
2022年9月29日 07:17
「くっ、まだまだ……」 課題としているダンスのステップが、どうしても踏めない。「こんなんじゃ駄目だ」 昼休みの空き時間で練習をしている。 寸暇を惜しんで頑張らなければ。「あれ、先輩なにしてるんですか?」 通りがかりの後輩から声を掛けられた。「ダンスの練習だ。見れば分かるだろ」「え、なんで? なんでダンス?」「今度のライブのために! 俺は! この振り付けを覚える!」 それを聞い
2022年9月28日 07:17
推しのためなら青春を捨てたって良い。 俺には大好きなアイドルがいる。 彼女の名はMIKU。彗星のごとく現れた天才アイドル。 歌やダンスはもちろんのこと、最近は女優としても活躍の幅を広げている。 多様な役をこなす演技派なのだ。 バラエティでは見たことが無いけれど。 年齢は俺と同じ17歳、高校二年生。 正直、彼女の本当の性格とかは分からない。 芸能人だからな。 だったらどこに惚れた
2022年9月27日 06:42
「少し距離を置いてくれないかな」 ちょっとイイ感じの女子からそんなことを言われたら、誰だってがっくし来るだろう。 ショックで大学を休む勢いだった。 彼女……詠美とは入学時に知り合ってから意気投合、今に至る。 もう少しで付き合っちゃうんじゃないの、俺たち! ……くらいの気持ちだったのに。 メンタルが悲鳴を上げている。 だが、俺には頼りになる女友達が居るのだ。「うちならいつでも相談乗るよ
2022年9月26日 07:17
私は《裁きの天使》。 誰よりも清らかで、誰よりも正しい。 そして、悪者を裁くのはたいへん気持ちが良い。 私たち天使のお仕事は、人間界の幸福の総量を増やすこと。 だから今日も、せっせと善行をこなす。「誘ったのは君だったじゃないか」 夜中のとある喫茶店。目の前の男が何事か喚いている。 先日見かけた際、癒しを求めていた男だった。「君が食事に誘い、お酒に誘ったせいで、妻から浮気を疑
2022年9月25日 08:56
俺は《未来視の悪魔》。 未来を見通す力を使って、やりたい放題やっている。 悪魔の仕事は、人間たちの不幸の総量を増やすことだ。 しかし俺は「いいヤツだ!」と思われることにこだわっている。 目指すは誰からもいいヤツ認定されることだ。 もちろん、人間の皆からもいいヤツだと思われたい。 ある日、人間界をうろうろしていると。「ああ! なんでこんな時に限って!」 都心から少し離れた道路わ
2022年9月24日 21:49
これはどうやら夢らしい。 告白を承諾されてからデートの約束まで取り付けた。 しかし、時間の経過につれてだんだんと冷静になってきた。 だって今まで百回以上もアプローチしてきたんだぞ? そのたびに断られてきた。 何度も断られ、そのうえ他の男からのアプローチも一切意に介さない彼女が、俺みたいなのと付き合ってくれるわけがない。 しかも噂によれば、各国の重要人物からも声がかかるというではないか