うそつきのはじまり

二歳の

娘が

ホラをふく

おまけに

「パパ。」

と被せる

ぬれぎぬ

上等である

「うそつかないの」

といいながら

はてわたしは

我が家の

小さな庭で

たゆまず

生きる

ミミズのように

土粒一つ残さず

正直に生きてなぞ

いるのかという声に

これまた

上等な布かぶせ

わたしは

また

母親風を

ふかしているのだ

いったいこれから

母娘で

被せる布は

いかほど

厚くなるものかと

途方にくれる

せめてこの詩の上で

だけは

正直母さんで

ありたいのだと

懺悔して

いったいわたしは

どんな母親に

なれるというのだろう



ろっぺん(鈴木 心彩)

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