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メンタルヘルスを保つ5か条 ②

③ 自己啓発本は役に立たない?

現代人は、どんな悩みや問題にも「自分の内面」「自分の心」の掘り下げを通じて対処しようとしがち。自己責任を重んじ、「強い自己」を前提として、自分の力で成果を生み出し、状況を切り抜け、成功しようとする。
強く願えば自分/世界は変わる」「自分が変われば世界も変わる
とナポレオン・ヒルやデール・カーネギーは語るが、本当にそうなのだろうか?

ポジティブシンキングの功罪

=「強く意識したこと、言葉にしたこと、確固たる想像はいずれ現実化する」というお題目で、「自分の見方を変えることで、状況が好転していく」という物語が語られる。自己啓発には、「自分の力だけが自分を変え、自分の力によってなりたい自分になることができる」という信念が前提として隠れている。変化の激しい環境下で生まれる不安に対し、自分を肯定してテンションを上げることで、自己啓発は、タフな日々を生き抜く支えとして機能している。

自己啓発の論理という呪い

問題の原因が各個人の外側にあったとしても、個々人の状況を自己責任化する呪いにもなる「自己啓発の論理」。全てを各個人の問題に回収することで、社会や集団の歪みや問題点を放置することにお墨付きを与えてしまう
福音=呪いとしての自己啓発の論理は、自分自身への関心の過集中をもたらす割に、自分を単純化して捉えがちになる。

痛み止めとしての他者

今日の私達は、際限ない競争や成長を煽られ、メンタルヘルスのリスクを常態的に抱えた結果、その不安や憂鬱を抱えかね、「寂しさ」に振り回されている。寂しさから求められる他者は、自分では直視したくない不安や心配を一瞬忘れさせてくれるような「痛み止めとしての他者」
寂しさから他者と居ようとするとき、実際に働いているのは「自分への配慮」であって、依存的に関わっている「他者への配慮」ではない。
「寂しさ」=自分自身と話すことのできない状態は、結局は、他者でなく自分自身への過剰な関心の結果生まれてしまう。



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