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アルコール除菌って、どういう仕組みなの?【その2】

こんにちは。ろんどん。です。

昨日に引き続いて、やっていきましょう。


1 そもそも、細菌って?

エタノールの抗菌メカニズムを語るためには、

殺される 細菌 ウイルス のことを語らなければいけませんね。

ウイルスについては、次回説明するとして、

今回は 細菌 について、簡単にさらっていきましょう。


まず、細菌 って何でしょうか。

「細菌とは何ですか?:農林水産省」<1>に、分かりやすいイラストがあったので、拝借致しました。

画像3

上の図が、細菌の簡易的なつくりとなっています。

核酸プラスミドリボソーム といった細胞内物質が、細胞壁細胞膜 という二重の袋で、包まれていることが分かります。

中でも、 核酸 は非常に大切なもので、遺伝タンパク質合成 に重要な役割を持っています。

人間に置き換えると、

核酸などの細胞内物質が、臓器

細胞壁と細胞膜が、皮膚や筋肉

みたいなイメージでしょうか。


そして菌は、細胞を持ち、私たち人間と同じように、栄養を摂取して生きています

私たちの体、例えば、口や腸、皮膚などにも、多くの常在菌が住んでいます。

また、ウイルス よりサイズが大きく、光学顕微鏡で観察することが可能です。



2 エタノールの抗菌メカニズム

ここからは、エタノールがどのように 細菌 をやっつけるか、見ていきましょう。


エタノールは、二つのプロセスで、細菌をやっつけているようです。


一つ目は、 細胞壁や、細胞膜を壊して、細胞内物質を流出させる

まずは、外堀から、といったところでしょうか。

細菌の細胞壁や細胞膜は、アルコール溶液中では、従来のしっかりした構造ではなく、全く違った構造へと変わってしまいます。<2>

その結果、隙間が生まれたり、閉じた構造が開いてしまったりすることで、細胞内の物質が外に出てきてしまう、というわけです。


二つ目は、 細胞膜内に入り込んで、細胞内物質を変性・破壊させる

エタノールは、分子としては、とても小さいもので、細胞膜を通り抜けるこができ、細胞内物質に対して、直接ダメージを与える、というわけです。<3>

変性したり、破壊されれば、細胞内物質は正常な働きができませんから、実質的に、細菌が死んでしまうのです。


結論からいうと、エタノール濃度は、約 70% のときに、最も高い殺菌効果を示すわけですが、このとき、エタノールは、下の図のような特徴的な構造をとります。<3>

スクリーンショット (13)

上の図のようなクラスター構造をとるとき、最も殺菌効果が高くなるようです。

単独で動くより、集団で目的を遂行する方が、成果が上げやすい、というイメージでいいと思います。

このクラスター構造は、ちょうどエタノール分子の層で、水分子の層をサンドしているような形ですね。

図から、究極まで単純化すると、分子組成比は水とエタノールが、 1:1 であればよいと分かります。

エタノールの分子量が、46。水の分子量が、18

濃度、というのはつまり 質量パーセント濃度 のことですから、

この場合の質量パーセント濃度は、(46 / 46+18) × 100 ≒ 71.9%

となります。

以上のことから、エタノール濃度70% 付近が望ましいことが確認できましたね。


ですから、エタノール濃度が低すぎても、高すぎても、効果的に殺菌効果を示せないわけです。ましてや、原液に限りなく近いエタノール、日々使って安全か...というと疑問ですよね。


下の表には、エタノール濃度と菌の死滅時間との関係、そしてその際の抗菌メカニズムがまとめられています。<3>

スクリーンショット (12)


エタノールの、詳細で化学的な、抗菌メカニズムについては、非常に難しい話にはなると思うのですが、後日、頑張って書こうと思います。


いかがだったでしょうか。

次の記事では、

コロナウイルスに対して、アルコール消毒は効果があるのか

ということについて、見ていきましょう。

お疲れさまでした。




3 参考文献

<1>  細菌とは何ですか?:農林水産省


<2> 姿をかえるタンパク質


<3> アルコールと殺菌の話 -花王





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