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モチベーションを高める理論 Part 6

とうとうきました!自己決定理論
現代で最も支持されている動機づけ理論かもしれません!
今回はより実践的で、指導者・上級生目線からの動機づけをどうすればいいか悩んでいる方におすすめです。

自己決定理論ってそもそも何?

自己決定理論(Deci and Ryan,1985; Ryan and Deci,2002)とは、自分が決めた程度(自己決定)が大きいほど、大きくなり動機づけの質が変化するという考えに基づいています。

この理論によると、人間には3つの基本的欲求があり
有能感欲求・・・自分の能力と証明に対する欲求
自律性欲求・・・自身の行動を自ら決定し起こしたい
関係性欲求・・・他者との関わりを感じたい
特に、自律性欲求が重要だと言われています。

例)親がやっていて勧められた野球(外発的動機づけ)
やるにつれて、段々上手になって(有能感)
友達と一緒に切磋琢磨し(関係性)
自分にとって落ち着く・得意なポジションができ(自律性)、やりがいが増していった。

この理論に基づく自律性欲求の観点から、
自己決定の程度、すなわち物事を自分で決められる程度によって動機づけが異なることを示しています(自己決定連続体)。

この自己決定連続体によると、
外発的動機づけとは他律的で報酬や強制によって行動が生じること、内発的動機づけとは自律的で、自ら報酬がなくても行動が生じることをいいます。

さらに、それぞれの動機づけには自己調整という下位概念が示されています。

動機づけを高めるためには、自ら決定して行動を起こすという自律性を高め、内発的動機づけにつながることが重要です。

5段階の下位概念

図1

⓪無動機づけ
やる気が全くもって起こっていない状態。

外発的動機づけ

①外的調整
「言われたからやる」といった段階です。自律性は非常に低く、外的な報酬や罰により欲求が出る状態です。

②取り入れ的調整
やらなければならないといった義務感、やっとかなければ恥ずかしいといった羞恥心から行動します。つまり、プライドや人との関係を考慮し、それを自律性につなげています。

③同一化的調整
「自分にとって重要だから」「将来のために必要だから」といった状態です。人によっては、取り入れ調整との違いが難しいと感じる方もいるかもしれません。取り入れ調整の方が“3つの欲求”があるように感じますよね。しかし、ここでは外発的動機づけを内発的動機づけに移行するための自律性の部分を示しています。その行動に対して、必要性を十分に理解しています。

④統合的調整
外発的動機づけの最終段階である統合的調整では、自身の目的とその行動の価値が一致している状態になります。かなり自律性が高まっているといえます。やらされてる感はほとんど感じません。

内発的動機づけ

⑤内的動機づけ
行動自体にやりがいを感じ、楽しんで行動する状態にあります。

しかしながら、長くスポーツをやっていればあると思いますが毎日の練習に対して楽しんでできているかといえば、必ずしもそうとはいえないでしょう。トレーニングや練習は時には辛く、心から楽しめない時もあるかと思います。このように、5段階調整は行き交うものです。

ここでスポーツ現場においての研究について触れたいと思います。

藤田・佐藤(2010)は、自己決定理論の概念に基づき質問紙調査法を用いて小学生と中学生の体育授業における動機づけを比較しました。その結果、小学生は中学生よりも、内発的動機づけや同一化的調整が高く、無動機づけが低いことを報告しています。小学生は中学生よりも体育授業における動機づけが高く、小学生から中学生になると体育授業における動機づけが低下するとしています。その理由として、小学生から中学生にかけて有能感が低下することを示しています。


自己決定理論は一旦終了です。ここからは、自己決定理論と関連が強いアンダーマイニング効果エンハンシング効果についてお話していきます。皆さんが1度は感じたことのある細かな感情です。特に指導者キャプテンなどまとめ役の人間にとって理解しておくことで各選手の個の理解につながるでしょう。最後には、具体例をご紹介しています。是非、自分の中に落とし込みチームの状態を把握しましょう。

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