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運動再開の暑さ対策&処置 ~一般&指導者に向けて~


【前置き】


緊急非常事態宣言が解除され、部活動が再開されたという報告を最近よく聞きます。しかし、夏に入り始めた6月という時期的な外的要因や暑い環境に慣れていないという内的要因により労作性熱中症になるリスクがかなり高いと思われます。ですので一般競技者、指導者向けにさっと理解できるよう暑さ対策をまとめました。なにかわからない語句や質問等ございましたらコメントから受け付けております。

【熱中症のリスク要因】

*太字の項目について追加情報を書きました


<外的要因>
気温、日射放射、湿度
・ユニフォームや用具、防具
・チームメイト、親からのプレッシャー
・不適切な運動-休息比
・コーチ、選手、メディカルスタッフにおける熱中症への認識不足
熱中症に対する緊急時対応計画の欠如
運動前、運動中及び休憩時における水分摂取の制限
・熱中症の兆候を見逃すこと
<内的要因>
・高強度の運動
・睡眠不足
不適切な暑熱環境への順応
高いBMI(体格指数)
・発熱
・皮膚疾患(日焼け、あせもなど)
・初期症状を報告することに対する選手の態度
薬(利尿薬、降圧薬、抗ヒスタミン剤、抗うつ薬)

気温、日射放射、湿度
WBGTという暑さ指数があります。簡単に言うと暑さというのは

気温1:湿度7:輻射熱2(体温や地面、建物からでる熱)

で影響するというものです。詳しくは以下のリンクからどうぞ。気温と湿度からわかる一覧表のようなものが載っています。


熱中症に対する緊急時対応計画の欠如

仮に熱中症で倒れた時、だれが(処置する人、処置後立ち会う人)どこに(製氷機、休息できる涼しい場所)どのように(優先的に冷やす部位、効率の良い冷却方法)などあらかじめ計画することで死亡、その後の障害リスクを低下させることができる。


運動前、運動中及び休憩時における水分摂取の制限
(運動前、運動中及び休憩時における水分摂取の制限)体重の変動が運動前と運動後2%以内という水分補給量の目安があります。
運動前60㎏の選手であれば58.8㎏以上であれるよう水分を補給しましょう。


不適切な暑熱環境への順応
7日~14日かけて暑熱順応を行うこと、またWBGT(暑さ指数)をみながらメニューを変更し、徐々に運動強度時間を増加させること。この2週間にかけて最も熱中症リスクが高いということを理解し、指導、対策する。


高いBMI
BMI=体重(㎏)/身長(m)/身長(m)で求められる。
あくまで体格なので体脂肪率は考慮していません。平均でおよそ22で一般的には18.5~24.9が普通の体型と言われている。体格が良いと熱が深部にこもりやすく、放散しにくいので細い人に比べ熱中症になりやすい。また、順応にも時間がかかる。



カフェインには利尿作用だけでなくナトリウムの再吸収を抑制する効果があるので注意。
余談ですがコーヒー1杯にはコーヒー1杯分の水分の利尿作用があるそうです。☕

【倒れたときの処置】

高体温による重度の症状が出たときは「冷やしてから運べ」という言葉があるほど重要であり、死亡率と高体温の継続時間に反比例の関係がある。また症状が現れ始めてから30分以内が重要である。
理想は冷水に全身をつけることだが効果がある民間的な処置として

・頸動脈、ももの付け根など大きい動脈に濡れタオルをかぶせ次々に交換していく(アイスパックより接触面積が大きいため効率が良い) 

・水を浴びせた後ふき取り(熱放散を促進)タオルなどで風を送る。

などがある。しかし、上記二つを同時に行っても完全に体温を下げるのに十分な処置であるとは言えないため、処置中は誰かそばに付け、観察を怠らないこと。その後良好な状態が続いても適切な医療機関に受診する。

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