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モチベーションを高める理論 Part 7

今回が「モチベーションを高める理論」シリーズのラストになります。

皆さんの周りに「他人の為に頑張れる」人いませんか?
人によっては、頑張るのは自分のためと考え、このような考えが理解できないかもしれません。特に、スポーツの場面ではドユコト?ってなる人もいると思います。

例えば...
□FWが点を決める為に、最高のパスを出したい!
□ピッチャーが投げやすいリードをしてあげる為に勉強しないと!
□毎日お弁当作ってくれるお母さんのために頑張る!
結構、漫画なんかだと見られる光景が多いです。

このように、人のために頑張れる動機づけを他者志向的動機と言います。

真島(1995)は、他者志向的動機とは、「自己決定的でありながら、人の願いや期待に応えることを自分に課して努力を続けるといった意欲の姿」と定義している。
また、同論文の中で「人の動機には親を喜ばせたい,期待に応えたいといった他者との一体感の中で他者の意向や気持ちを汲み取った他者志向的動機のあり方を考慮しないと説明できないものがある」と論じてる。

つまり、他者志向的動機はどちらかというと外発的動機づけに分類されるわけですね。

じゃあ、内発的動機づけではないじゃんと思われるかもしれませんが、近年の研究により、他者の存在が動機づけにとって重要であることが認識されるようになってきています(日本スポーツ心理学会,2008)。

しかしながら、一言に他者志向理論と言っても人によって、「他者のために頑張る」というのは異なります。下記では、どんな分類があるのか説明していきます。


伊藤忠弘(2004)は「自分のため」あるいは「他者のため」という観点から動機づけを分析し他者志向的動機を 2 つのカテゴリーに分類しています。

1 つは、「自分のため」と「他者のため」を対立させる考え方であり、代表的な因子を「他人のためは自分のためへ還元」と命名しました。
周りの人の応援や期待に応えようとする努力の背景として、
・他者に認められたい
・否定的に評価されたくない
・他者の期待に応えているという自分の理想像を追及したい

このような「自分のため」という動機です。

もう 1 つは,代表的な因子を「自己・他者志向的動機の統合」とした「自分のため」と「他者のため」を並列させた考え方です。
こちらの周りの人の応援や期待に応えようと努力する背景には、
努力の結果として相手が喜んでくれることが、自分の励みや喜びになるという動機です。

また、別の分類の仕方として、

他者志向的動機を、自己志向的動機と統合し内在化しているか(統合)、負担に感じるか(負担感)、懐疑的に捉えるか(利己性の認知)といった態度は人により異なるとしている(伊藤,2015)。

どれに自分が当てはまるのはどれなのか、自己分析してみてくださいね。


〜参考文献〜
・伊藤忠弘(2004)自己と動機づけ. 上淵寿(編)動機づけ研究の最前線.北大路書房.
・伊藤忠弘(2012)努力は自分のためならず-他者志向的動機-. 鹿毛雅治(編)モチベーションをまなぶ 12の理論. 金剛出版:101-134.
・真島真里(1995)学習動機づけと「自己概念」. 東洋(編)現代のエスプリ 333.意欲-やる気と生きがい.至文堂: 123-137.
・日本スポーツ心理学会(2008)スポーツ心理学事典. 

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