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約40億円を調達したスタートアップはなぜ消滅したのか

今回の記事は以前書いた以下記事の関連記事だ。

この記事は「外資に転職したの失敗」を記事にしたものであり、多くの高評価をいただいた。今回は視点を変えて「内部の人間から見た会社の実体はどうだったのか」について書いていきたい。

大きな資金調達はニュースになるが、資金調達の後に調達した会社がどうなっていったのか、は割と知られていない。私の所属していた会社は結論として資金調達の後に失敗に終わったのだが、多くの人から見て「多くの大企業の支援を受けながら」「約40億円の調達をして」ものの数年でほぼ休業状態になる、というのはにわかに信じられないことかもしれない。その状況を間近で見ていた私の記事はリアリティのあるスタートアップ没落記事の一つとして面白いものになるのでなるのではないかと思っている。それが、今回改めてこの件を記事で書こうと思った理由の一つだ。

記事として書けば結構面白いかも、と思いつつも会社をやめて2年間このことを記事にしなかった理由ももちろんある。私は日本の営業トップの位置にいたが、経営者ではない。私が会社の転落の顛末を書くことは「単なる在籍した会社批判」になる恐れがある。自分の能力の低さを棚に上げた愚痴を書いただけの記事になることは避けたい(そして読者にそう思われるのも嫌である)。また、今回の記事を書くにあたり、支援していただいた会社についても書く予定だが、出資していただいた方の批判と捉えられる恐れがある。変に記事が拡散されることで、お世話になった出資していただいた方の気分を害する記事になることは避けたい。

しかし、この件が今の自分のスタートアップ業界に関する原体験になっていることもあり、一度この件を記事にして言語化し、そして他人に読んでもらいたいという気持ちが強くなってきた。その一方で何かのきっかけで変に拡散されるのは困る、という気持ちもある。「読まれたいけど読まれたくない」という自己矛盾をはらむ心境。

そこで今回は初めて有料での公開とすることにした。私が定期購読しているnoteの筆者の方は「炎上しないために悪口は有料noteで書く」と公言されているが、それと同じ着想である。

興味のある方には是非読んでいただきたいが、以下注意である。

  • 暴露記事ではないので、機密情報などは一切出てこないし、個人名もほぼ出てこない。暴露を期待されている方は購入はやめた方が良い。

  • スタートアップ成功のためのノウハウ的な話は出てこない。あったら私が知りたい。ただしいくつかのアンチパターンは記されている。

  • 私の会社はいわゆるSaaSスタートアップにあたる。SaaS業界になじみのない人だとこの記事はわかりにくいかもしれない。

前置きが長くなってしまったが、ここからが本題である。


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