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野火明「女の仕事」

名駅シネマスコーレで、野火明「女の仕事」

戦時の日本軍による現地の女を蹂躙した極悪非道をグロに描く鬼畜同人漫画家(品田誠)を抹殺する指令を受けた、政府に都合の悪い勢力を暗殺する元風俗嬢のスナイパー(長谷川千紗)は、実は崇高な理念を持った漫画家に惚れてしまい、任務を忘れて恋に没頭するも許されぬ運命にあった。近未来版、近松心中ものの力作。

野火監督が脚本も撮影も編集も一人で担当するなんてスゲエじゃん!と思ったけど、低予算のインディーズ映画だからこれってむしろ当たり前なのねwこんな逆境にも関わらず約100分の尺で悲恋ものの恋愛譚を最後まで没入感を伴ってグイグイ見せてくれる、こりゃ思わぬ拾い物をしたよ。

まことにケレンミのある作品で(笑)中盤からラストにかけては同人漫画も交えてw壮大な抒情詩に突入するんだけど序盤に関しては完全にピンク映画、というより最近のピンク映画より明らかにエロいだろ。主演が長谷川千紗で助演が加藤絵莉なんだもん。ハダカに関してはサイキョー!

野火監督のお名前は「大人の鉄ドン」で観た短編が非常に印象的で、いつかこの人の長編映画も観てみたいなあと思っていたんだけど、思わず所で遭遇した(笑)で、エロあり笑いあり涙あり、ユーモアとペーソスに溢れつつ社会派であり純愛のメロドラマであり、見所がてんこ盛りの作品。

まず主演が長谷川千紗なことに感動!100分近くの間、ずっと出ずっぱりですからね。それは決して低予算だから、と言うだけでなく、彼女と漫画家品田の間に芽生えた許されぬ愛情を綴ったセンチメンタルなドラマが壮大に展開される、観始めた時には思ってもみない風呂敷の拡げ方w

ところでピンク映画的にはですね(そうだよ、それそれw)野火監督はピンク映画を撮ったことはないが元々がカメラマンでプレイボーイ編集部にいて女性のハダカをどうやって美しくエロく撮るかにずっと興味があったらしい。道理で生々しくエロい訳だ。映画的と言うより写真的なのよね。

長谷川千紗が処女設定に、軽く眩暈が(笑)品田に処女を破られる時の痛みって、齢が行ってから処女を喪うと処女膜を破られる時の痛みが大きいと買って伝聞を聞いたことがあるけどホントなんだろうかw千紗が痛みに慣れてあっという間に品田とズブズブのセックス沼にハマる過程がエロい!

一方、冒頭からガツンと飛ばして掴みはOK!前後の脈絡を無視すればヌケなくもない(こらこらw)煽情的な体当たり濡れ場を披露する加藤絵莉。のっけから漫画家の品田に「父親や兄弟の前で犯されてる自分を想像するのステキやん♡」とかリアルにアブね~奴と思ったら理由があったw

品田が絵莉を部屋に連れ込んで一発ヤリ始めたら、絵莉の身体じゅうにピンク色のアザがびっしりで慌ててネット検索した品田は「彼女は梅毒だ!」特定してアルコール消毒を試み部屋から追い出すが脳まで毒が回った絵莉は全裸で街頭を「私はこの男に犯されましたー!」ストリーキングw

なんかスゲエよ、このゲリラ撮影!絵莉ってリアルに野外で全裸で走ってんじゃんwこの場面を単体で観たら本作で一番ヌケる場面だと思うけど、なにせ梅毒ですからね。本作は今から5年前、2018年に撮影したらしいが野火監督は超能力者か?5年後の日本に起こる出来事を予言してるだろw

今ではすっかり人間社会の敵として認知され始めたAI。近未来の予言として国家として不都合な人間は抹殺して良いという全体主義は、確かに悪いことはしたんだろうけどジャニーズとか宝塚とか日大とか、叩けるものは正義漢面して容赦なく叩くSNS社会の恐ろしさ予言していたんだね。

品田が描く同人漫画で、鬼畜な日本軍によるアジア現地の女をレイプものは熱心な信者が付いていて、当然ながら政府にとって不都合な人間・・・なのかよw影響力が無さすぎだろ(笑)でもね、人工知能AIは品田をポアせよと指令を出しちゃったから仕方ない。森恵美がヘッドの女スナイパーの出番。

序盤でサクサクと千紗がティッシュ配りしてる品田に「ピンサロですかあ?」とか不自然に近づいて(笑)そのままお持ち帰りされて品田が正常位で腰を落とす段になって初めて「処女かよ!」にワロタwで、最初は痛がっていた処女の千紗は処女だけど風俗経験は豊富というややこしさw

千紗は何も無い田舎から都会に家出してピンサロ勤めが田舎でバレて停学になった苦い過去を持つ女。風俗を転々として政府のスナイパー組織にスカウトされ都合の悪い奴を消す仕事。そのターゲットに品田が選ばれてセックス中にまんまと睡眠薬を飲ませ気絶させ注射までいくんだけど。

千紗は品田が人生で初めてセックスした男。だから私との体験を最後にこの世から抹殺したいと同棲を始める(笑)で、漫画を描くのが好きな千紗は自分の自叙伝的な紙芝居を品田に読ませて、品田はいいじゃん、これ!いたく感激するんだよね。これが本作のキーとなる王子様と王女の愛の物語。

千紗は品田にとどめを刺すつもりがポアはストップ指令が出て戸惑う。なぜなら品田は大手出版社に作風が見初められ、世界中にテロリストを日本軍が征伐する勧善懲悪ものの漫画連載の白羽の矢が立ったのだ。実は品田のポリシーは反戦一択。戦時中の日本軍の蛮行を描くのもそのため。

品田は生活のため、世に出るためにポリシーの変節を決意し、日本軍賛美の漫画を描いて編集部に持ち込むが「愛国心が足りない」とボツになり、同時に千紗への品田ポア指令は復活してしまった。でもね、千紗は描いてる漫画と正反対に純朴な品田のことを愛し始めてしまったんだよね。

品田は千紗の描いた紙芝居を元ネタにプロ仕様に描き直して千紗のために読み聞かせる。田舎から出て来た少女は魔女に出会い親友をレイプした鬼畜な男たちを凍らせた。そのカドで王様に死刑を言い渡されるが王子が魔女を探し出し魔法を解いて少女が凍らせた男たちは元に戻った。

王様は自分の言動を恥じて退位し、王様を継承した王子は少女を妻に娶って王妃にしたというロマンチックな物語に華麗に変貌して千紗はうっとり。でもね、森恵美リーダーによる品田ポア作戦は実行の運びとなり千紗は品田に「私と一緒に逃げて!」自然が美しい北海道の美瑛がいいなとか思ったりw

でもね、品田はテコでも逃げない。千紗が自分の命を狙ってる政府の傭兵だってとっくに分かっていた。だから逃げたら千紗も自分も殺される。俺が千紗に殺されれば千紗は生き延びられる。それを聞いた千紗は大感動。ベロチューから全裸で一発ヤル場面はエロいと言うより神々しいよ!

コトが済んだ後、品田は千紗に最後の濃厚なベロチューかまして注射器を自分の腕に当てた。ここに森恵美の銃弾がヒットして、なんと品田と千紗の恋を成就させてあげようと急所は外してたんだけど、千紗は想いを込めて注射器の針を品田の腕に打ち、やがて息絶え消えた二人の純愛。

品田は、最後に千紗と一発ヤル時に「俺とお前の子供を残す。俺の精子は生命力あるから」言い残した。そして一人ぼっちになってしまった千紗は絵本を読み聞かせてる隣の子供が目にした絵本。品田が書いた王子様と王女の物語はこれから千紗が自費出版する。品田との想い出は絵本として永遠にとどめる。


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