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体操と新体操の美しさは違う気がする

 私は新体操をしていましたが、新体操はマイナースポーツ。「体操」と言われたり「バレエ」と言われたりしてきました。さすがにバレエは違いすぎるので訂正するのですが、体操と言われることはもう多すぎるので、面倒になって訂正しないこともあります。

 ですが、スポーツとしては違うもの。今回は体操・新体操の「美しさ」という視点から、その違いを考察してみたいと思います。

体操と新体操の起源

 時ははるか遡り、古代オリンピックにおいて体操は競技の一つであったといいます。具体的にどのようなことをしていたかまでは見れていませんが、陸上競技等のほかの競技も含んで「体操」と呼ばれていたといいます。

 近代スポーツとしての体操は、ドイツが起源だと言われます。1800年代、体育教師であったヤーンが、子どもたちを鍛える目的でベルリン郊外に体操場を作ったところが起源であると思われます。そこから、「戦える身体」を作る目的を持ったままドイツ全体に、そして世界へ「スポーツ」として広まったようです。

参考;http://gymnast.pepli.com/history.html
その他私の知識を総合して

 新体操は、上記のような体操とロシアで発展していたバレエとの融合であるとされています。誰がどの時代に作ったのかははっきりしていませんが、おそらく体操に手具(リボンやボール)をつけたり、バレエを参考に舞踊の要素を取り入れてできた競技なんだと思います。ちなみに新体操は、今となってはオリンピックの花形と言われる存在だそうですが、オリンピックに参加したのは1984年、ロス五輪であります。(世界選手権は、1963年ブタペスト)また日本では、「徒手体操」から発展していったという道もあるそうです。(だから日本には男子新体操が存在している。男子新体操は日本独自の競技である。)

参考;https://spaia.jp/column/gymnastics/1587
その他私の知識を総合して

 ちなみに私の出身クラブチームは、はじめ「〇〇リズム体操クラブ」という名前だったそう。そこから「〇〇新体操クラブ」に変わっていきました。

 ちなみに英語では以下のようになります。

体操競技;artistic gymnastics
新体操;rhythmic gymnastics

日本語に直訳すると、体操は「芸術的な体操」、新体操は「リズミカルな体操」となります。体操は身体一つで芸術的な・優れた動きをするという意味に、新体操はそれに加えて「リズム」という要素が盛り込まれているということが予想できます。それぞれのスポーツで、起源とするところが違うことがわかりました。

マット運動における連続技のポイント

 大学でマット運動のちょっとした指導を頼まれたことがありました。それは教員採用試験の対策としてなされていたものですが、採用試験では連続技を行います。そこでは、試験官はどのようなポイントで採点しているのでしょう。

 …残念ながら試験の採点基準についての詳細は明記されていません。ですが、「技の正確性」はもとより、試験に連続技を課していることから、恐らく「技の連続性」も問われているのでしょう。

 うちには体操の専門家はあいにく不在なので、体育やスポーツを教育学として学んだ先生方が指導にあたります。すると、このような指導をされます。

「技が終わったら、一度気をつけをする」

 正直、全員が技を完璧にできるわけではないので、全体的な見栄えを損なわないようにということを意図した指導ですが…。確かに途中で気を付けをすることは、それまでの技のミスで崩れたリズムを立て直すことになりますし、悪くはないと思うんですが。

 私は「滑らかさ」が重要だと感じました。いかに流れるようなリズムの中で、正確に技がこなせるか。(これはある程度技能がある子じゃないと難しかもしれませんが、このような意識を持つことは大事ではないでしょうか。)

体操と新体操の「美しさ」概念の違い

 そういえば、私が新体操を指導される立場だった時も、「動きが途切れない」ことはよく注意されていたものです。また、カチカチとした「直線的な動き」は「体操だ」と言われていました。

 私が思うに、体操は「直線的な美しさ」であり、新体操は「曲線的な美しさ」であるのではないでしょうか。

 体操も新体操も、美しさを競うスポーツであり、実際にどちらも美しい動きであることに変わりはないでしょう。しかし、一口に美しさといっても、大自然に対する「美」と、人間が作った制作物に対する「美」は、ちょっと内実が変わってきます。そしてこの「美」概念の違いは、当事者にとってはかなり大きな違いになるのです。

 新体操において、「直線的な動き」は、多くの場合美しいとはされません。(もちろん曲など表現したい世界観によっては「美しい」とされる場合もあります。)体操ではどうなんでしょうか、またいつか体操競技専門の方と「美」について対談できればうれしいです。

 足を開くジャンプにしても、体操は「瞬発」系の動きですが、新体操は「しなやかな」動きになります。

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↑体操のジャンプ

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↑新体操のジャンプ

 …ちょっと静止画では難しいところがありますが、柔軟性はおいておいても、体操は一気に写真の状態に、新体操は開いていく過程が見えるようなスピードで形つくられていきます。ぜひ動画で見ていただきたい。

まとめ

 体操と新体操の「美しさ」の概念は違うこと、前者は「直線的」であるのに対し後者は「曲線的」であることを述べました。そしてこれは、体操と新体操の起源がキーポイントであると思われます。

 どちらも美しくて芸術的なスポーツなのですが、こうしたちょっとした違いがあるんですね。こういう違いが実践者にとっては身につく力や価値観の違いにつながり、観戦者にとっては面白いポイントの違いになっていくような気がします。

 同じ音楽を使う競技として、新体操とフィギュアスケートも美しさやリズムが違うと思っているので、またどこかで考察できたらいいなと思います。


 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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