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【継続は_なり】渋谷 UESHIMA MUSEUM

5月半ばに「渋谷に私設の美術館ができる」という話題を知り「?」と思っていた。

日本には様々なビッグコレクターがいるが、いまもっとも注目すべきは植島幹九郎かもしれない。事業家・投資家として多彩な顔を持つ植島が2022年2月に設立した現代美術コレクション「UESHIMA COLLECTION」を紹介する「UESHIMA MUSEUM」が、6月1日に渋谷にオープンする。
植島は「作品をコレクションするなかで、当初からウェブサイトで公開するなど、世界中の人と共有したいという思いがあった」と話しており、文化教育を担ってきたビルをリノベーションすることで、公共的な側面を持つ美術館としてオープンさせた。

美術手帖

宮下公園、宮下パークの辺りかと思っていたら対岸の専門学校が多くあった地域の一角であった。
渋谷駅周辺もどんどん様相をかえつつ再開発の波は宮益坂裏付近、明治通り、青山通り方面にも広がりつつある。

外観

公式による設立ビジョンは下記

領域を自在に横断し、多様で、パーソナルで、社会的でもある美術表現は、人々の想像を超える多くの可能性を生み出してきました。美術を考えることは、私たちの過去、現在、そして未来を考えることでもあります。美術を介して、真に自由な想像力と、独創的な発想力を培うこと、アーティストが彼らの作品を通じて投げかける視点や課題を次世代へ伝えていくことは、美術作品を収集していくことの意義であり、使命であると考えます。
若い作家への支援機会の創出、教育機関との連携なども含めた幅広い活動によって、アートシーンの活性化に寄与し、社会と関わりながら生きる「同時代性」を当美術館は目指します。

UESHIMA MUSEUM


施設は小さめだが、面白い体験ができた。
4階5階は土日だけしか開館していないと聞いたので土日に予約。

各フロア、予約時のQRコードがないと展示室に開錠して入れないのでちょっと面倒だが、運営をスリムにするためとセキュリティの観点からこの方法なのだろう。

肝心のコレクション品はというと、ここ15年の現代美術の「トレンド」が網羅できる。これが同時代性、か。

松本陽子やさわひらき、工藤麻紀子等、女性の作家のコレクションも豊富でその部分はとても感銘を受けた。
小さいとはいえ、展示フロアを1フロア丸々松本陽子で作ったことは嬉しい。会議室感のある部屋なのが面白い。

松本陽子オンリー展示
こちらも。
あぁ、これは良い…



ゲルハルト・リヒター、村上隆、オラファー・エリアソン、名和晃平、塩田千春、宮島達男…などなど。

オラファー・エリアソン


「あーここ、抑えておきたいよね」「買えるチャンスあったら飛びつくよなぁ…」なんてことも考えてしまった。絵を見つめながら自分の現金な部分の思考がちらちらする。
高橋龍太郎コレクションと作家が被る部分もありラインナップに既視感は感じる。「なんかすごいの持ってるな」というのは分かる。
コレクションを形成する上での核は何だったのかは、まだ見えにくい。
何に惹かれてコレクションされたのだろうか。
では田口コレクションや足利市に寄付された浅川コレクションの様に蒐集にドラマや背景はあるのか。

それはこのコレクションが時間の経過と共に醸成していくのだろう。
そういうドラマが語れる様になるには「末長くコレクションを維持できるか」という時間の問題と「今はまだ無名でもこれからの人を見出せるのか」もキモなのかも知れない。

宮島達男さん
宮永愛子さん



せっかく次世代と社会のために作った私設の美術館だ。運営を頑張ってほしい。あとせっかく渋谷にあるのなら中高生の入場料もっと安くできないだろうか。「次世代の人たち」が学校帰りにフラッと寄れたりね。

私が60歳ぐらいになった時「あそこの美術館で今飾られている作品、開館当初に観た時は何階のあの部屋にあってねぇ…」とか言えたら良いなと思う。

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