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【さざなみの波及先】 没後50年福田平八郎 大阪中之島美術館 

福田平八郎、といえば。
23年「重要文化財の秘密」でみた「漣」や、
東京国立近代美術館のコレクション展示室でおなじみ、「雨」(これほぼ「瓦」だろ…といつも突っ込んでしまう面白さのある作品)など、日本画の大家にして抽象画家、のようなイメージを持っていた。
さらに画面の構成が面白いと感じていた。

・画業が通して見れる
・なかなか行けない大分県立美術館のコレクションが来る
・大分と関西しか巡回がない

という理由で見に行ってきた。

今回は姫路→神戸→大阪を1泊2日で回る旅だったのだ。
息子たちはそれぞれ興味が色々なので別行動。
大阪も城が目的だったがちょうど義兄が息子と甥で観光に連れ出してくれたので、中之島美術館をゆっくり楽しむことができた。

展覧会は素晴らしかった。
展示はわかりやすく学生時代の作品から晩年の作品へ時系列に見せる展示。
館内基本撮影禁止だが、各セクションに1点ぐらいは撮影OKの作品があった。

どうしても「漣」が有名なのでそこを基準点に

どうして「漣」になったのか?
「漣」後はどうなっていったのか?

を追うのが楽しかった。


これが

この細密度



こうなり

このリズムの良さよ



ここにきて

「漣」重要文化財。
カタログを子供達に見せたら「李禹煥見たの?」と言われてなるほど!となった。



さらにこうなり

デパートの包装紙にもなりそう。
これも凄い。
石元泰博氏の写真的な
この素直さ



そして最終的にこうなる

熊谷守一かと思った
これは…
左下のウツボが良すぎる




画像だけ並べてみるとこの画風の遍歴はおもしろい。


画業、表現、本人の生活や社会の影響もありつつも筋を通す。

そして様々なものに興味を向けたことがわかるスケッチ帳の展示が大変おもしろかった。
子どもの絵を模写してみたり、天気図を模写してみたり。

絵を描くことが楽しかったのだろうな、と
壮大な景色、でなく日常に向けられた観察眼。
小さなものの中にこそある大宇宙を見つめる。
そんな魅力を感じる。


大阪中之島美術館
新しく設備もわかりやすいのだが、ここはなんと常設展示室がない。
東京都美術館、国立新美術館もそうだけど。(都美館の場合はコレクション、常設展示の機能は都現美に移管し敷地をしっかりとってある。国立新美術館はそもそもコレクション機能はないなのでアートセンター。ミュージアムではない)

これだけの設備ならば、コレクションを持っているなら、少しでもコレクションを見れる場があれば良いのになぁと思う。企画展しかしないのならアートセンターと変わらない気がして。

佐伯祐三の作品を一部展示ケースなどを使って公開する場所など確保できないものだろうか?
展示が難しくても、美術館のアイデンティティであるコレクションの方向性がわかるコーナーだけでも欲しいものだ。今後のリニューアルや改革に期待をしている。

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