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【マイ年表って持ってますか?】鑑賞の助けになってる自分なりの美術史ポイント色々

〇〇でわかる美術
〇〇歳からの〇〇思考
動画チャンネル(何分でわかる〇〇)

等々、美術にまつわる教養本、コンテンツがすごく増えたなと思う昨今。
20年前、赤瀬川原平さんの著書「名画読本」という美術解説本(シャガールの絵を天ぷらと称する解説本)をのーんびり笑いながら読んでいた頃とはちょっと違う様な空気も感じるが、今はとにかく早くわかりやすく「正しく理解したい」というニーズが高いのかもしれない。

いくつか読んでみた、視聴した時「なるほど」と思えること、その反対に「いや、もうそこは個人の問題では?」と思うこともある。

「知識入れる前に、まず目でちゃおう〜」
という前提が持論というか行動パターンですが、見た後に、ちょっと知識というか、時代背景を頭に入れておいたらもっと楽しめたかなと思うことももちろんある。


こちらは重要文化財の秘密展の年表。面白くてこのために図録購入した。
アーティゾン美術館の年表芸も好き。これは歴代の「ブリジストン美術館土曜講座」の開催年表。

今回は展覧会を見ている中で、「美術史の『ここ』がわかっていると、色々展覧会を見ている時に助かるな、面白いな」というポイントが自分なりにあるので覚え書きとしてここに残す。

きっと10人いれば10通りの頭の中のマイ美術年表があるんだろう。
非常に興味深い。
ではまず最初のポイント。

【世界共通同世代アーティスト】

・ダヴィンチ、ミケランジェロ等イタリア美術と雪舟は同時代を生きている。
応仁の乱の頃。銀閣寺とか作ってた頃。

細かく生まれた順だと
雪舟(1420〜1506ぐらい)
ダヴィンチ(1452〜1519ぐらい)
ミケランジェロ(1475〜1564ぐらい)

である。
モナリザが描かれた頃と雪舟の達磨図や天橋立の頃はざっくり同じぐらいの時代、と覚えておくとと基準点として助かる。
もし好きなアーティストがいるなら、その人と同世代には誰がいるのか、国を跨いで少し調べておくと面白いかもしれない。

【鎌倉幕府が1192年なら関ヶ原は1600年】

近代については「100年前は大正時代だなー、幕末だと1860年以降かなー」とわかる方は多いと思う。
桃山文化、いわゆる戦国時代と歴史授業では言われるけども室町時代の終わりから戦国時代突入が曖昧だな?と。
天下分け目の関ヶ原が1600年と区切りが良いのでそこも起点として覚えておくと西洋も東洋美術もなるほど、と思えることが増えた。
ちなみにみんな大好きフェルメールは1600年代中盤を生きた人物。

【1789年 フランス革命】


これも年号として覚えやすいので覚えておくと便利。
革命が起きると文化が変わるわけで…服装も芸術もバッチリ影響あり。
伊藤若冲の生きた時代が1716〜1800年と言われているのでここと被る。
この70年後ぐらいには日本も大政奉還な訳ですからそういう流れがじわじわ波及してくるポイントになる。

【1820年代写真登場で絵画がかわる】

カメラの歴史と美術の歴史と写真の歴史が切っても切れない、と考える。
写真が出てきたのは1820年代。
そこから普及を始め、1840年代にギュスターヴ・クールベやマネの台頭した時代と重なってくる。日本人画家だと初の洋画家と言われる高橋由一。いわゆる「近代美術」というカテゴリの頭は「鮭」からだろうか。

写真の出現により雇われ画家の仕事は減る。
肖像画のニーズが肖像写真に取って代わられる。
とにかく写真が出てくると写真以上のリアリズムは無いわけだから「絵」のニーズも変わる。
それでもリアリズムを追求したのか。それとも他の表現を模索していったのか。そして印象派やキュビズムへ流れて行くのか…
写真があるのに何故、人は絵を描き続けるのか。

この時点で絵画というものが本当の純粋な芸術・表現の方法になっていった気がしている。1800年代の美術史をこんなふうに頭の中に入れておくと割と楽しめる要素だ。

【カメラの仕組みは中世から存在していた】


現像技術がなく、写真として存在することは出来なかった、ということを頭に入れておくと良いと思う。
フェルメールはもしかしたからカメラ・オブスキュラを使用し絵画を描いたかもしれない、ということを言ったのはデービッドホックニーなんですが。

フェルメールとレンズの話。オランダはレンズをよく作ってたよ。


ホックニーの書いた、絵画の歴史本も気軽に読めてわかりやすい。

子供向けの本だが大人もわかりやすい。

【自分の教科書どうだった?】

驚くことに、80年代前半生まれの私の中学美術資料集には写真芸術の記載が一切無かった。94年〜の教科書なのだが…選定側の認識が遅れたままだった結果なのか、当時まだ教科書上では写真と美術は別物と思われていたのだろう。東京都写真美術館のオープンが95年辺りだからな…。

【あともろもろ】

本当は絵画の歴史を話すなら、宗教的な見解が必要になってくるのだがそこはざっくりにしている。沼が深いから。
西洋圏は動物の絵画にNGが多かったり裏の意味をもたせたり、日本美術はそのへんが超ゆるい、ぐらいだろうか。帯留めにムカデとかつけちゃう国だからね。カエルとか蟻とかトンボも描き放題だしな。

虎とか象とか鶴とか
蘆雪のスズメもいい味だしている


西洋圏は宗教が道徳的な役割、対して日本は哲学的役割?というのも違いとして頭の片隅に。

心に一つマイ美術年表

きっと皆それぞれ好きな分野や時代があってそこを基準にうっすらマイ年表を持っているのではないだろうか。よく見るジャンルによって時代も違うだろうし。
近代以降、現代だと例えば音楽年表が脳内にある方もいると思う。ぱっと製作年みて「あーこの曲がヒットした頃だなー」とか。
スポーツ年表もあるかもしれない。「あ、この年の日本シリーズ○○vs△△の時だ」とか。

どっちにしろ、鑑賞のための自分なりの手がかりを一度思い返してみると、面白い。
十人十色の脳内マイ年表、ちょっと知りたい、のぞいて見たいものだ。

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