世田谷文学館 ヨシタケシンスケ展かもしれない 美術館めぐり2022
40代の絵本作家。自分が小さい頃はまだなかったタイプの絵本だ。
でも、自分が小さい頃抱いていた疑問や忘れてしまった感覚、をギューンと引き戻してくれる、そんな作品が魅力である。
息子たちが小さい頃、本屋や図書館の子供コーナーで何十年も前からの見慣れたベストセラーの絵本にまぎれてとっつきやすそうな、今っぽい線の細いイラストが目につき始めたと思ったら、あっっっという間に子供達に大人気。
最近の子供達に
「もうぬげない」って知ってる?
「りんごかもしれない」って知ってる?
と聞いたらかなりの確率で「知ってる」と答えるだろう。
きっと、
小児科の待合室で読まされたり、
図書室のおすすめの本だったり、
幼稚園や保育園で読んでもらったり
おもちゃコーナーでぐずっても何も買ってもらえず本屋コーナーに連れて行かれて不貞腐れて手に取ったり。
と、出会いは様々だろうが、出会う機会は多い絵本だと思う。
この小さい人たちの世界の独特の認知度がたまに凄く面白い。
大人が知ってる世界よりさらに斜め上に進むトレンドや彼等の常識。大人の知らぬ間に彼らだけの常識を得ていたり。
着替えに苦戦している子を見て「『もうぬげない』状態ダネー」と笑い合えるのも(その作品を読んだ)という下地があるからで。
勿論、大人になってゆく過程で読んだ絵本のことなんて綺麗さっぱり忘れて、小難しく気取っただけのweb記事なんか読み漁るんだろう。あらすじだけ読んで満足なんてこともあるんだろう。
でもいつかきっと何かの拍子に、フッとあのイラストや一文を思い出すのかもしれない。
そしてこの展示を見て深く感銘を受けたのは大人であったはずの私なのかもしれない。
未来はわからない。
だから怯えても仕方ない。
大人はすぐ悲観する予想したがる。
決めつけないことだ。心こそ自由を。
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