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チェーホフ『狩場の悲劇』、『犬を連れた奥さん』、『かもめ』:ロシア語原作・朗読・映画の3点セット
最近、なにかとロシア語関係の記事が多めですが、ロシアやロシア語関係の記事へのアクセスがあることが理由です。
ロシア関係の記事は以下にまとめていますので、興味がおありの方は一度ご覧くださいませ。
ツイッターで拝見して、見ないといけないと思った『鶴は翔んでゆく』の映画も、アメリカのThe Criterion Collection で発見して注文したのが2021年10月23日。
少し時間がかかりましたが、ようやく発送されたようです。
この時に注文した #鶴は翔んでゆく ようやく発送されたとの連絡が。
— d.c.fan (@RolanAC) November 13, 2021
到着は11月20日前後でしょうか。
注文から到着まで約一か月程度。
でもまあアメリカに直接注文して届くっていうこと自体がすごい時代なわけで、昔なら町の本屋に注文して早くても2週間だった時代もあったわけだし。 https://t.co/tSTDJhY3vO
さて、『鶴は翔んでゆく』の話題で先日、こんな記事を見つけました。
ロシア人の魂を描いた映画7作品
ロシア・ビヨンドの記事。ロシア関係では非常に有名なサイトですね。
「ロシア人の魂を描いた映画7作品」の一番目に取り上げられているのが『鶴は翔んでゆく』で、この様なコメントで紹介文が結ばれていました。
エミール・クストリッツァ監督はこの作品を「人間の魂を突き刺す真の3D映画だと評した。(ロシア・ビヨンドの記事より引用)
DVDが届いたら、覚悟を決めてみることにします。
2021年11月21日に『鶴は翔んでゆく』の鑑賞記を投稿いたしました。
ところで、この7作品の紹介文を読んでいくと、このような記載がありました。
5.「狩場の悲劇」(1978年)
(中略)この映画はチェーホフの長編小説、「狩場の悲劇」を原作にしている。
ダンス・シーンの耳に残るメロディーは、ソ連、モルドワの作曲家エヴゲーニー・ドガの作である。(ロシア・ビヨンドの記事より引用:太字管理人)
チェーホフについては、短編が有名で、またそれがゆえにロシア語の教材としても利用されていまして、うちでもチェーホフに関する記事をいつくか取り上げています。
チェーホフの長編小説:『狩場の悲劇』
短編小説で有名とは知っていましたし、長編小説でしかも映画が出ていることを知りましたが、ウィキペディアでは、『狩場の悲劇』を「異色の長篇推理小説」と紹介しています。
日本語の翻訳だと、これくらいしかないのでしょうか。
異色の長篇推理小説「狩場の悲劇」他、初期のチェホンテ時代のユーモア小説二十八篇。
との紹介があります。
『狩場の悲劇』ロシア語原作・朗読音声
チェーホフなら既に著作権も切れておりますので、LitResでも原作は無料で提供されていますし、LitRes以外でもたくさんの原文小説が公開されているのが見つかります。
相変わらず、Note上では文字化けしますが、リンク先は青空文庫のようなサイトになっています。
そして例によって、音声朗読もYouTubeで見つかります。
映画『狩場の悲劇』@YouTube
チェーホフの作品は著作権が切れていますし、朗読も「Аудиокнига Онлайн Русская литература」が公開してくれているのですが、ロシアは映画がまるまる公開されていたりします。
『狩場の悲劇』もその一つ。下の画像をクリックするとYouTubeで映画を丸々一本、視聴できます。
この記事のトップの画像もサムネイルから頂いております。
「Мой ласковый и нежный зверь」とは英語では「My Sweet and Tender Beast」という意味だそうですが、チェーホフの「狩場の悲劇」を原作とした映画で間違いありません。
DVD『狩場の悲劇』
日本のAmazonでもDVDが売っていますね。さすがに現在では中古品のみのようですし、RUSCICO版のようなのでアメリカで買っても日本語字幕がついている可能性もあります。
チェーホフ『犬を連れた奥さん』
チェーホフの原作によるロシア語映画作品は、『狩場の悲劇』の他にも、『犬を連れた奥さん』があるようです。
2022年1月23日追記:『小犬を連れた貴婦人』の他に『かもめ』の映画もありました。後述します。
この小説の原題は『Дама с собачкой』。
紹介文によれば次のような内容となっています。
ヤルタで休暇をすごすロシアの銀行員と若く美しい人妻との禁断の恋を描いた物語(中略)
主人公のグーロフは女遊びに長けた既婚男性、アンナも人妻と、当世風に言えばダブル不倫で、始まりも保養地のアバンチュールという設定だが、読後に少しもいやらしさが残らないのがこの作品の大きな特徴である。
タイトルと最初の紹介文だけ見ると、大人の世界の物語であるのは間違いないのですが、それを文学として短編小説で昇華してしまう、というのはチェーホフの面目躍如といいますか、これこそがチェーホフの得意分野なのかもしれません。
『犬を連れた奥さん』ロシア語原作・朗読音声
例によってロシア語原作はこちら。
YouTubeで朗読音声も見つかります。
『犬を連れた奥さん』@YouTube
DVD『小犬をつれた貴婦人』
(日本語字幕付きと思われます。)
こちらは古いので、若干見つけるのに時間がかかりましたが、探せばあるものです。また『犬を連れた奧さん』の原題から『小犬をつれた貴婦人』と日本語のタイトルが少し変わっているようですね。
チェーホフ『かもめ』
2022年1月にリュドミラ・サベーリエワが演じる映画に『かもめ』があるのを見つけました。
アメリカのAmazonでのみ販売していたので購入して鑑賞した記事がこちら。
この『かもめ』の評価がすごいです。
『かもめ』(ロシア語: «Чайка» チャイカ)は、ロシアの作家アントン・チェーホフの戯曲である。初演は1896年。チェーホフの劇作家としての名声を揺るぎないものにした代表作であり、ロシア演劇・世界の演劇史の画期をなす記念碑的な作品である。後の『ワーニャ伯父さん』、『三人姉妹』、『桜の園』とともにチェーホフの四大戯曲と呼ばれる。
ロシア演劇・世界の演劇史の画期をなす記念碑的な作品だそうです。当時の批評分には、『チェーホフのかもめ以前とかもめ以後』などの文言が躍っていたことは間違いないでしょう。(探してなくてすみません。)
『かもめ』のロシア語原作・朗読音声
ロシア語の原作はこちらで公開されています。
朗読音声も複数あります。
上の二つはどちらも一人の朗読者によるものですが、ラジオドラマとして複数の声優が録音しているものもあります。
映画『かもめ』@YouTube
画期的な作品と評されるだけあって、上記の通り朗読音声やラジオドラマも他にも本当にいくつもあります。ありすぎてキリがないぐらい。
また、同様に映画やドラマも多数製作されていて、こちらは1974年の作品で二部構成のようです。
こちらの二部構成の作品の10年前に白黒の映画もあります。
白黒映画『かもめ』@YouTube
舞台演劇『かもめ』@YouTube
さらには舞台まで、素晴らしい録画(ただし録音は若干、会場の雑音を拾っています)で公開されています。
大盤振る舞い過ぎて、ほんとにいいのかな?と思うレベル。それほどまでに多くの演出家、俳優、観客に愛されている作品と言うことでしょう。
DVD『かもめ』
リュドミラ・サベーリエワ版の『かもめ』は1970年の作品。
つまり、1964年の白黒映画⇒1970年のリュドミラ・サベーリエワ版⇒1974年版と、わずか10年の間に3つも映画がリメイクされています。
探せば他にもたくさんあるかもしれません。
リュドミラ・サベーリエワ版もYouTubeで公開されていますが、こちらの記事でも紹介したようにアメリカのAmazonで購入できます。
音声はロシア語のみ、字幕は英語のみなので、日本で紹介するにはハードルが高いのですが、それでも良いという方はこちらからどうぞ。
チェーホフ原作のロシア語以外の映画
ロシア語に限らなければ、他にも『黒い瞳』や『42丁目のワーニャ』、『8月の誘惑』などがあるようです。
『黒い瞳』について、Amazonのレビューではこんな記述が見つかりました。
シロツグ:5つ星のうち5.0 マストロヤンニ主演映画の最高傑作
間違いなく、マルチェロ・マストロヤンニ主演映画の最高傑作。
監督ニキータ・ミハルコフ。元々この映画の物語は、チェーホフの4つの短編小説をミックスさせて構成されたものです。
それが、フランシス・レイの旋律とともに、珠玉の「大人の恋愛映画」に仕立て上げられています。
タイトルの「黒い瞳」は、ロマの女性に魅了された男の苦悩が歌われたロシアの歌謡曲名。
マストロヤンニは、この映画でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞。
ロシア人女性を演じたエレナ・ソフォーノワは当時31歳ですが、何ともチャーミングです。
19世紀にはこういう女性がいたのでしょうか。注意点として、この映画はイタリア語がメインなのですが、ロシア語とフランス語も出てきます。
ロシア語は、この映画のキーワードともなっている単語「サバチカ(子犬)」。
フランス語は、「ああフランス語を話しているんだな」くらいに気にしておくといいでしょう。
なるほど。チェーホフの原作を4つ合わせて翻案したものということで、『狩場の悲劇』のように原作や朗読を見つけるのは困難そうですね。
『42丁目のワーニャ』もThe Criterion Collection での提供ですが、『8月の誘惑』と同じく俳優がアメリカ人ですので、ロシア語映画ではないようです。
改めてチェーホフの原作、朗読、映画作品まですべてそろって入手できる作品は、思ったより多いかもしれません。
本記事の投稿時には『狩場の悲劇』と『犬をつれた奧さん』の2作品のみ、と思っていましたが、『かもめ』にいたっては上述の通り10年で3つも映画が作られていますし、探せば他にもあるかもしれません。
これらは貴重なので、DVDもいつか入手してみようと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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