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33.デザイナーなど、信用できん。

(連載前回記事「32.」の続きです)


今回は、「そんな話聞いてないぞと、ワイナリーの社長が現れた」の巻。

ワインレビューの答え合わせ。


前回記事でワインを飲み比べ、自分なりに「宝水ワイナリーらしさ」を掴んだ僕は意気揚々と、「ワインの印象 及び そこから発想する自分なりのイメージ」を小脇に抱え、取り急ぎ「宝水ワイナリー」へと向かったのでした。

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何せワインについてはまったくの素人でしたので、まずは「プレゼン」というより「答え合わせ」みたいな感覚が近かったと思います。

醸造家さんにお会いし、まずはワインの印象からお伝えします。

カクカクしかじか感じまして…

…ビンゴ!

素人なりに「フィーリング」で弾き出した答えではありましたが、ワインのまとめ方・印象・後味・ブランドのイメージ等、

そう感じてもらいたいと、意図して作ってるんです

と醸造家さんはおっしゃった。答え合わせ、正解*

…やるじゃんか、おれ^^

それに加えて、素人だからこそ出た「キムタクvs草彅くん」のような喩えが、「客観的で一般の人向けな印象の表現」と捉えてもらえたようで、そのような表現は醸造専門の方の目から見ると新鮮に感じてくれたようで、

是非その目線で、お客様に伝わるような「ワイン」の表現をしてほしい

と、お願いされたのでした。
ほいきた、お任せください!

僕は、活用されていない二階スペースを採寸し、写真を撮り、「ここをこうやって活用しましょう」というプレゼン用のラフイメージを作成して、次回、社長同席でお話しさせていただく運びになったのでした。

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…こんなすごいプレゼンじゃないw


社長、登場。


「ワイナリー2階スペース活用」のラフイメージがまとめ上がり、印刷した資料を携えた僕は、再び宝水ワイナリーへと向かいます。今回は社長も同席されるということで、ワイナリーにおつなぎいただいたイベントスタッフさんも同行。
ワイナリーへ到着した僕らは2階へ通され、社長が来られるのを待っていました。

スタッフさんは仕事上で以前からワイナリーとお付き合いがあるため、社長とも顔見知りです。スタッフさん曰く、「とても温厚で、人柄のいい方」とのことでしたので、ゆとりを持った気持ちでその場に臨みました。

ガラッ。

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よろしくお願いします。

そう挨拶しながら入ってこられた醸造家さん。

その後に続き、社長が入って来られました。

…君か? 何だか「デザイン」持ってきたっていうのは。

…ん?

怪訝な顔してらっしゃる。。

温厚な方だとお聞きしていましたが、、、


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…え? あれ? なんか、、、怒ってます?




社長の過去。


社長はもともと、この「宝水町」の農家さんでした。
地域をあげての事業として「ワイナリー」をスタートするにあたり、

「一緒に頑張りましょう!」

と、地元農家さんたちとともに、参画された。

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発足当時、宝水ワイナリーには「別の社長」がいらっしゃいました。
しかし社長も含め、全員がワインづくりもワイナリー経営も初めての「素人」で、何もかもが手探りな状態。

そこに、コンサル会社が入ってきた。

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こんな人だったかは知らないけど。


右も左もわからない素人集団のワイナリーは、コンサル会社の言われるままに従って、「ロゴマークだ」「看板だ」なんだかんだの「デザイン制作物」にお金をかけました。
そして、そこにお金をかけすぎて、、、立ち行かなくなった。。。

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当時の社長は、コンサル会社とともに失脚。
「宝水ワイナリー」はイチから、いや、デザイン物にかけた分のマイナスを取り戻すところからの再スタート。
その空いた社長の席を任されたのが、今の社長だったのです。

言っても、今の社長はそれまでコツコツと畑を耕してた、いち農家のおじちゃん
それが急に社長にさせられ、わからない経営と向き合って、マイナス分のお金の工面を考えながら、ワイナリーの再建を任されるんだから、心労ご察します。。


散々振り回され、マイナスだけを残した、デザイン。コンサル。

そんなものは信用できない。

信用しない信用しない。


…そこに意気揚々とデザイン持って現れた、オレ、デザイナー。。。


えーっ!? とばっちり!

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そんな話は、もちろん僕は知らないで臨んでいます。
社長の過去は、後になって醸造家さんに聞いた話です。
話によると、打ち合わせの相手である僕が「デザイナー」だと聞いてから、表情が一変したのだとか。

…や、社長の気持ちを考えればね、わかります。。。
眉しかめて、かかるよね。。

でも、それは後に思ったこと。


当日の僕からすると、あの表情で出迎えられるとは、まるで想定外でした。
真っ白になって、完全に固まってしまった。
何をどうしていいのか、わからない。
醸造家さんが、必死に話をつないで社長をほぐそうとするけれど、返答は単語で短く返ってくるばかり。。。

あぁ、まるでプレゼン資料なんか、見せられるような状況じゃない。。

ねぇおばあさん、どうして社長は不機嫌なの?


…ともあれ、まずはこの場をなんとかしなければ。。。

どうしよう…

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つづく。


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