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32.草彅くんのような。

(前回記事「31.」の続きです)

素人、ワインに手を出す。


今でこそ、「ワインのことを何となくなら語れる」ぐらいになった僕ですが、ワイナリーに関わるまでは、「お酒といえば缶ビール」だったズブの素人。
「宝水ワイナリー」さんでの取り組みをすることになり、ワインの勉強をしはじめました。
…つまりは、ワインを美味しく飲みました笑

確か、宝水ワイナリーで最初に買ったは「ケルナー」「ナイアガラ」
(さらっと品種名を言えるだけでも、ちょっとかっこいい笑)
当時は品種も多くなく「宝水といえば白ワイン」だったのもあり、この白ワイン2本をまずは飲み比べてみようと。
とりあえず買った時点では、何がどう違うのかはまったくわからない。

ま、いただいてみます。
ここからは、ちょっとワインうんちくタイムをどうぞ^^

宝水ワイン「ナイアガラ」


「ナイアガラ」は甘口で、女子が大好きだろうなって感じ。
でも、アルコール10%とかあるから、調子にのったら回ります笑
「ナイアガラ」は果実でも食す生食用の品種で、北海道余市産のブドウを使用。
当時まだワイナリーが設立された当初で、自社の畑もブドウを栽培し始めて月日が経ってなく、自社のブドウだけでは十分に回せるほど収穫できてない頃でした。

昨今、各地で個人経営規模のワイナリーが増えてきてるけど、大体皆さん最初は、畑や醸造所等が整いきってないので、既存の先輩ワイナリーさんや醸造家さんにお世話になるところから始まるんですね。宝水ワイナリーも、そんな感じでした。

今でも余市産のブドウを使った「ナイアガラ」「デラウェア」等がありますが、自社畑産のものでないワインは「宝水ワイン」という、価格的にもリーズナブルなシリーズでリリースされます。
なので、ビジュアルのまとめ方もライトに、こんな感じ。
可愛いよね。

RICCA「ケルナー」


対して、自社畑産の「ケルナー」はワイン用のブドウで、飲み口は中辛口。
当時は「宝水ワイナリーといえばケルナー」と言われる主力の存在でしたが、今は「シャルドネ」に代わって来ています。
というのも、開墾まもない畑の状況や当時の気候、それに適して育てやすい・まとめやすいという理由で「ケルナー」だったわけですが、畑の状況や樹齢等から代替わりが始まってきた、というわけです。

当時から10年以上が経ち、栽培する畑の範囲も拡大して品種も増え、ほとんどが自社畑産のブドウでワインが作られるようになってきました。
宝水ワイナリーでは、自社畑産のワインは「RICCA」という名前のシリーズで位置付けられます。
(RICCAシリーズについては、こちらの記事で)

後に、そのRICCAシリーズの中でも「雪の系譜」「スパークリング」というハイブランドが生まれてくるわけですが、これは同じ品種のブドウを「テロワールを重視したまとめ方にする」「酵母で発泡させる」等、手の加え方を変えたもの。同じ場所で穫れた同じ品種のブドウが、まとめ方によって、違う趣のワインになるっていうのが面白い。
このケルナーで賞も受賞してるし、見た目も素敵よね。

共通項でわかる「らしさ」。

この2本を飲んでみて、はたと僕は気付きます。

…あれ?味わいは全然違うけど、印象が同じだぞ。

すっきりと抜けていく感じの後味の印象。
後に、「バッカス」や赤の「ピノノワール」とかも飲んでみたんだけど、やっぱり同じ印象が残ってたのでした。赤も白も。

…ははーん、なるほど。
だんだんわかってきたぞ。

この「後味の印象のまとめ方」っていうのが、「宝水ワイナリー」の「らしさ」なんだな。


例えば、曲を聴いて「これB'zっぽい」って思わせるギターとか、「小室っぽいな」って感じさせる転調のしかたとか、初めて聞く曲でも、曲調が変わってもそれを感じさせるような「らしさ」

ワイナリー内で「こういう方向にしよう」って方向づけをして、醸造家さんがそれに則ってまとめる。そこには、醸造家さん自身のこだわりや個性、手クセみたいのも入ってくる。
後に醸造家さんが別の方に変わったんだけど、その人のまとめ方はもっとキャッチーになってた。この時の醸造家さんはこだわり強めの職人タイプだったんだな。
…って後に比較対象が見えたらわかったことですが。

※B'zのお二人ではありません笑

比較でわかる「らしさ」。


宝水ワイナリーの「らしさ」が見えてきたところで。
他のワイナリーのものも飲んで、比べてみることにしました。
飲み比べしたのは、北海道空知地方で代表的なクラフトワイナリーの「山崎ワイナリー」さんのワイン。
山崎さんと宝水さんは、空知で1・2を争う同士のワイナリーでしたので、その違いを比較するにはちょうどいい。

宝水さんのものに比べて、山崎さんのワインはすごく「強い」感じがしました。
その当時ピンときた喩えでいうなら、山崎さんは「木村拓哉」で、宝水さんは「草彅剛」って感じ(敬称略)。
ほら、キムタクってどんなドラマ出ても「キムタクのドラマ」にしてしまう存在感なのに対し、草彅くんってドラマや台本によって、「自分」ってことより「役」の方を感じさせるよね?
そんな感じ。

そんな印象から、あらためて今度はビジュアルの感じを見てみると、山崎さんのラベルは「力強さ」を感じさせるものになってて。これは山崎さんが「家族経営」ってことで、家族全員の指紋が花になっているそう。
味の印象と合っているし、この「強い感じ」が人気なのも頷けます。


対して宝水さんのRICCAは、「雪の恩恵」「クラフトワイン」ってことを伝えるブランドとして、雪の結晶をタティングレースで編んだマークがラベルになっています。
味わいの印象も、この「繊細な感じ」と一致するなぁと思えるものでした。
もっといえば宝水さんのこの感じは、「雪」や「北海道」ってイメージでもあるよなぁって感じました。

「北海道」「凍てつく」「雪」「すっきり」「繊細さ」「クラフトワイン」…

なるほど、ふむふむ。
「宝水ワイナリー」を表現する「らしさ」のやり方が、見えてきました。

そうです、私が「らしさコンサル」ですw

こうして僕は、

「ハンドメイドと音楽のイベント」を開催したイベンターの立場

から、今度は

「ブランディング」を考えるディレクターの立場

へと、徐々に変遷していくのでした。

つづく。

ということで今回は、ワインレビューみたいになりましたが笑、
読んでいただき、ありがとうございました!
お気軽にスキやコメントもいただけますと嬉しいです*

最後までお読みいただき、ありがとうございました!頑張って書き重ねていきますので、是非またお越しください。