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ウイグル人の目

ウイグル人の目について
ウイグル人の目はだいたい黒から茶色で、明るい茶色の人は憂いをたたえたような独特の輝きが美しい。一度だけ孔雀色のような青のおばさんを見た。「アフガニスタンの目」というやつか。


ウイグル人の化粧
ウイグル人女性はもともとの堀りが深いというのもあるが、結構濃い目の化粧をしているのがまた独特の見た目に繋がっている。眉毛をきっちり書いて、地毛の場合なら時には繋がりそうな人すらあり、目はきっちり目力を強調するように囲む。口紅もしっかり塗っている。髪の毛はまとめて結い上げているがお団子のボリュームからするにけっこう長いと思われる。小さなピアス、ラインストーンのついたようなキラキラした髪留めをする。お婆さんは少し長いニット帽のような帽子をかぶる。これにも大抵数粒の飾りがついている。夏ならおそらくスカーフであろう。今は秋なので混在していた。基本的にスカートをはく。あるいは黒いズボン(あるいは厚手のタイツ)、黒いヒール付きブーツに何らかのワンピースをあわせ、思い思いの若干ロシア風なコートをきている。フェルトの派手な色のコートを若干タイトな感じで着るのがオシャレらしい。体の線を出すのがカギ。
 列車で会ったおばさんは指先を赤く染めていた。何やら「天然の材料」というのに「夜の間(寝てる間?)」指をつけておくらしい。おばさんのはすごく紅かったが、3ヶ月かかったらしい。ヘナか紅花だろうか。

新疆人の皮膚について
 ウイグル人は日本人に比べ老けて見えると思うが、それは人種の問題でなく日焼けと乾燥で皮膚の劣化が早いせいではなかろうか。
 このあたりはやっぱり乾燥がはげしい。シャワールーム、タオルなんかもびしょびしょだったのがすぐに乾くし、指先もささくれの見本市状態になる。
 列車の服務員のウイグル人お姉さんは「あなた達はやっぱり肌がきれい」「私達新疆人は空気の乾燥のせいで肌はぼろぼろ」と言った。
 ホステルの漢人お姉さんには日本でおすすめの日焼け止めをきかれた。確かにこの人はきれいだが、やっぱりそのぐらい気を使ってる努力の結果なのだ。ちなみにダイゴウ店で大体の日本の日焼け止めやら化粧品は経験済みらしい。

ドッパ(四角い帽子)について
 大体おじいさんしかかぶっていないが、ドッパを冠ったおじいさんやきれいなスカーフをきっちり巻いたおばあさんは神聖な感じすらする。民族衣装ってすごい。ドッパは夏の帽子であるらしく、半分以上の人はロシアっぽいような毛皮の帽子に切り替えている。
 ドッパはなかなかに工業的に生産されているのか、作っているところが少ないのか、伝統の柄なのか、同じデザインをよく見かける。一番人気なのは深緑の地に白い弓のような線の模様があしらわれているものである。ちなみにロシアっぽい帽子は意外と硬く、中に帽子型の芯があるところに毛皮を貼り付けているつくりだからである。枕にして寝ている人を見かけたくらいにはしっかりと硬い。だからか結構重い。毛皮も本物であるため値段も結構高い。百五十〜三百いくら元する。

我々がどう見えるか
 中国語に訛りがあり、また立ち居振る舞いが漢人とどうやら少し違うらしい私たちは「何族?」「回族か?」と言われることがしばしばあった。弟のヒゲのせいでもあったかもしれない。

新疆の漢族
 新疆出身の漢族ももちろん居るが、この南疆でよく見かけるのは出稼ぎ、出張、買い付けらしき人間である。こういうのは地方の小さいビジネスの老板というような、肩をいからせて歩くタイプで、エラソーで下品でよろしくない種類の人間である。東で食いっぱぐれるような層を入植させてるのだろうから当然であるが、こういう漢人ばかり見ていては原住民がうんざりするということも余計にあるだろう。彼らも別に少数民族を見下していてエラソーなわけではなく、単に教養のなさゆえに、よその土地に対するリスペクトとデリカシーに欠けているのだろう。日本に来て眉を顰められているのもこのタイプである。こういう手合いは人種にかかわらずどこの集団にも居るのだが。

ウイグル人のさまざまな速度について
 ウイグル人は食うのが早い。巨大なナンをお茶につけて口に放り込んでいたかと思うと、我々より後にレストランに来たにもかかわらずすぐにぱっと居なくなってしまう。羊の塊肉も骨の数欠片しか残さずにきれいに食べ尽くす。
 時間に関してはルーズなのかもしれない。のんびりしている。
まあ日本人より焦るような民族もあまりいない気がするので当然ではあるが。
市場の開く時間を訪ねて「もうすぐだよ(差不多開始!馬上!)」というのをよく聞いてみたら2時間後のことだったときには流石に力が抜けた。

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