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量子状態

渡りの鳥は、なぜ正確に方向を見極める事が出来るのか。恐らく地磁気の方向と強さを感知できるといわれる。微弱な電磁波を感知する量子的何がしの働きを持っているのだろう。

また細胞が非常に効率的に生体分子を作る光合成、そして私たちに先天的に備わる視覚、嗅覚、遺伝子にも量子力学が作用しているといわれる。それらは、私たちが直接的に関知できない何か微妙な部分に量子力学的作用が働いているというのだ。

私の顔形ち、性格等、私を特徴づける形質は多分に量子的何かが遺伝子のコードとして作用しているという現代的解釈も論評されている。

地球の有機物を使かって、深海の熱水噴出孔のまわりで生まれた生命。
生命の材料になった有機物は、宇宙からやって来きたものもふくまれていたでしょう。
海に落ちた隕石が生命誕生にどのようにかかわったのかは知らないが、無機物が有機質となり喜怒哀楽の機能まで獲得してきたのは、量子的働きがあってのことだろう。
生きていない材料から生物の片鱗さえも作ることができていない人間から見れば、量子効果というのは神の存在に等しい。

チンパンジーに基本素材を与えPCを完成させる確率よりも、もっともっと低い可能性がアミノ酸からタンパク質、有機体への合成を経て初期生命を誕生させることなのだ。
その過程こそが量子効果というものであり、生命を発生させる何かの条件を人間は今も発見できていないのだ。その何かが量子効果といわれる、何かなのだ。

DNAの遺伝子螺旋構造は、とても秩序的でしかもその秩序を自家的にコピーできるのはなぜなのか。まずニュートン力学や熱力学で考えてみよう。

例えば落下の法則や熱機関の運動は最初は、秩序的であるが、リンゴは地面に当たれば破損して運動は停止する。
機関の運動もエネルギーの供給が廃れば運動は停止するし汚れ、損耗する。秩序だった存在も運動後には無秩序になるのは明らかです。このような現象では生命の発生はない。

次にそのような無秩序状態が再度の外部エネルギー供給によりその運動や状態が連続的な秩序状態になること、人間に例えれば、生まれたばかりの状態や生命現象が盛んな成長期にあたるのだろう。
細胞は発生期にはとても秩序的であるがその後時間の経過とともに食料などからの外部エネルギー供給が進まなければ、細胞自体が廃れ、細胞同士の連携も壊れ無秩序化は進む。窮境的な無秩序が、死である。

生命の本質は、秩序的なものがさらに秩序化することという。言い換えれば生命現象とは秩序の安定化であり量子状態の維持ともいえるのだ。

量子状態というのは、ごく簡単に表現すればこのようなことであろうか。量子の世界は、原子や分子よりさらに小さな世界の存在です。この、極めて小さな世界ではニュートン力学では理解できない、また通用しない量子状態という不思議な法則の世界です。ニュートン力学では運動の現在の状態が分かれば将来が確定するが、量子論では運動状態がわかるとその存在が消えるという不確かな世界なのです。

現代の科学は、ニュートン力学と熱力学で全てが説明できると思われるほど発展したが、最も単純な単細胞さえも作ることができないのは何故かと気づき始めた。
それが量子力学です。生命の始原はもともと秩序化された何かであり、そこに量子力学が深くかかわっているということです。

存在するものの無秩序化、乱雑化は避けられないことは、エントロピー第二法則が明示する事実であるが、生命現象は最初から秩序から秩序への変化の過程であることが必須条件です。
そこに何らかの恣意的なもの、極論では「神的な」なにかというのに相応しい何かがあるのだろう。
ですから量子状態とは、神がかり的何かであるとすれば、私たちに理解は難しいのは当然であろう。

何やら難しく、しかも実在をあからしめる可能性を秘める量子論は、既成宗教にとって代わる現代の宗教なのかもしれない。
量子状態の一つに量子もつれがある。
一つに二つの状態が存在するとされる概念だ。「もつれ、とか、重ね合わせ」とも表現される現象だが、ここから多世界解釈が発展する。

重ね合わせの数だけ世界が分岐し並行世界が存在するとされています。これは仏教の宇宙にあまねく仏国土の思想にも似ているし、偏りを廃し相反するものの中庸を目指す仏教の根本に似ていなくもない。

それは、観測によって状態が1つに収縮するのではなく、観測により2つの並行世界、状態がが出現するのです。
一つのものは相反するものと構成され単独では存在しえないものとされる般若心経の世界とも相い通じ合うものなのだろうか。




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