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生命とは その5

動物、植物、プランクトン、キノコ、細菌等々これらすべて生命体であり、外部エネルギーや負エントロピーの源となる食物や物質を取り込むことで、恒常性を保ち、その生命活動を維持し続けていることをその4では述べました。

熱力学の第二法則は、普遍的な崩壊の法則です。それは、全てのものが最終的には時間と共にバラバラになり、崩壊してしまう究極の原因です。熱力学の第二法則の影響は至る所に現れ、宇宙の全ての物に及びます。それが原因で私たちに死が訪れます。

自然界の全てはこの法則に従っているのです。自然界では、最も可能性が高いのは無秩序な状態であり、放っておけばどの自然のシステムも崩壊します。極論すれば生物は死んだ状態が当たり前と言うことです。

放っておけば化合物は、最終的には分解してより単純な物質へ変化するといことは、最終的により複雑な物質へ変化する、ということはないのです。外部からの力は一時的に秩序を増加させることはできますが、しかし、そのような逆転は永遠には続きません。いったんその力が無くなれば、その過程は自然の方向、無秩序へと戻ります。エネルギーはさらなる仕事のためには、より利用しにくくなります。複雑で秩序のある配列やシステムには、時間と共により単純で、より無秩序になっていくということを何回となく触れてきました。

前章で触れた生命は何かに導かれ発生し生き延びてきたことを進化と表現しましたが、これは、地球誕生何十億年もの間に全てが基本的に上向きに発展し、より秩序のある、より複雑なものとなっているとということの他ならない。
しかしながら、このことと科学の基本法則(熱力学の第二法則)は正反対のことをいっているのです。
変化の力は下向きに働き、単純、無秩序へと向かっているのです。

自然界は、最終的に、宇宙の全てのエネルギーが低下したとき冷たく無秩序になるでしょう。簡単にいうと、現実の世界では全体の長期的な流れは下向きであり、上向きではないのです。

進化論においては、原子が物理法則によってより複雑に、より有益に、より秩序のある配列になっていかなければなりません。したがって、何十億年もの間に、何十億もの物が上向きの発展を遂げ、より秩序のある、より複雑なものとなったということになります。

しかし、科学の基本法則(熱力学の第二法則)は、事実が全く反対であることを明らかにしています。長期的に見ると、複雑で秩序のある配列は、時間と共により単純で無秩序になる傾向が実際にあります。最終的には下向きに働く不可逆の傾向が宇宙全体にあるのです。進化は、その常に秩序と複雑さを増すという性質のために、自然界では不可能なのです。
では、進化を支える更なる何か他の物があるのだろうか。

創造論者は、細胞が最初の活動開始以来、生命から生命へと受け継がれてきたのは、注意深く計画され、暗号化された情報に従って個々の生命を形成していると信じています。

「進化は明らかに変形を含みます。そして、変形にはエネルギーが必要です。先に述べられたような進化は大量のエネルギーと、エネルギーの多くの変換を必要とします。進化の過程では様々な形態のエネルギーが必要であり、熱力学はエネルギーの運動と変換を扱う学問です。この二つの分野は明らかに関連があります。熱力学を支配する法則は進化をも支配するはずですが、もし進化論が本当なら、熱力学の第二法則によってもたらされる最終的に無秩序へと向かう強力な傾向を、絶えず打ち破っている極めて強力な力または機構が宇宙に働いているはずです。
もしそのような重要な力または機構が実在するなら、それは全ての科学者の目に極めて明白なものであるはずです。しかし、実際はそのような自然の力は発見されていないのです。

生物は、その機構の複雑さの程度において、そして遺伝的プログラムを持つことにおいて、無生物とは異なり、胚に納められている遺伝的な秘密の指令が、成体の形成、それが木や魚、またはヒトになるかを指示します。その過程は、目的論的な遺伝的プログラムの指示によるものであって、外部からの指示によるものではありません。このようなものは無生物の世界には存在しませんという論もあります。

生命が備えている情報にテレオノミーがあるといいます。テレノミーとはデザインと目的を持っているものの概念です。生命のテレオノミーは遺伝子に蓄えられています。テレオノミーは、秩序と複雑さを生むためにエネルギーと物質を使うことができます。

生命のテレオノミーはどこから来たのでしょうか。テレオノミー(組織化の原理、機構)は物質そのものには含まれていない、ということに注意すべきです。物質そのものは創造的ではないのです。「細胞の活動が化学的なものであるとはいえ、細胞の純粋な化学的特徴はその活動を説明するのに十分ではありません。細胞の化学的な活動は、細胞の原子や分子には内在しない情報によって制御されているのです。?

生きた植物を死んだ植物と比べてみて下さい。ただエネルギーを加えるだけで、完全に死んだ植物を生き返らせることができるでしょうか。

死んだ植物も生きた植物と同じ基本的な構造を持っています。それはかつて太陽のエネルギーを使って一時的に秩序を増加させ、茎、葉、根や花を全て一粒の種から作り、育てていたのです。

もし宇宙に働いている強力な進化の力が本当にあるのなら、そして、もし地球が解放系であるという点だけが違うというのなら、なぜ太陽のエネルギーが、完全に死んだ植物を再び生き返らせることができないのでしょうか。

死んだ植物が太陽からエネルギーを受け取ると実際はどうなるのでしょうか。植物の内部の秩序は減少し、その機構は崩壊し、最小の構成要素へと分解されてしまいます。太陽の熱はただ分解の過程を速めるだけです。

生物進化は生物機能の進化であり、世代交代のとき、DNA情報 として書き留められる。
世代をつな ぐ生命の鎖はDNA情報の鎖である。 また、生命は単独に 存在 しない。
地球環境を含め、あ らゆる生命 と依存 しあい、したがって、この生命の鎖は物質の鎖でもある。 38億年の長い時間を生命の鎖として生きてきた 生物は時間 ・空間の揺 らぎに対 して非常にタフであるといわれる。
その秘 密は生物の可変性にある。この可変性の根本は世代交代のときに起 こる遺伝子の可 変性である。
生物が世代交代(生と死の交代)を行わず、遺伝情報のない物質世界のみに生きていたら、環境か らの刺激 ・揺 らぎによってたちまちに朽ちていたであろうといわれています。

生体システ ムはつねに外部からエネルギーを導入して使用 し、エントロピーの生成とその増加防止の二面 的特質をもつものです。
エントロピーの増加と減少という相反する二面性とは、自己を越えて進むとい う矛盾の自己超越的特質も兼ねそなえていることだ。

生命の遺伝情報は細胞の中のきわめて小さな領域に、量子力学の力で結合した分子として保存され、それこそが生命の低エントロピー状態を保つ秘訣であることを見抜いた知恵はどこから来たのだろう。

私は思うに、生命システムはエネルギーを消費しながら、エントロピーの増加を抑え老化を防ぐという自己超越、矛盾克服能力を基本能力として持っているのだろう。
人間が「自己超越」という質の高い人生経験をするように、生体システムの内部でも同じようなことが進化としてDNAに秘密情報として保存されていると思われる。これがミクロに働く生命科学の熱的パラドックスの開放なのであろう。

誕生と死の生命現象は、何かを表現しよう現わそうという本来的とも言える宇宙意志と言えるのだろう。生命の意志は物質である蛋白質にはない。その先のアミノ酸の配列を決める、すなわち物質的なDNAの連鎖の中にその有機的働きを指示する意志とも精神とも呼ぶべき暗号化された量子効果の中に秘められているのだろう。それが何処からもたらされたかは、私は知らない。
もし私達がブラックホールの中にいて、2次元に符号化されている存在ならば、私達の一部であり全体でもあるDNAも宇宙の果てで情報とし平面に符号化されているのでしょう。現在私達はゲノムとしてその原子配列の尻尾をつかんでいるのだ。

堂々めぐりのような最後にあたり、生命発生は偶然の産物、神の妄想、なのかは、「人間が完璧な生命発生、理論を発見できるなら、その理論は人間の理性の最後の勝利になるだろう。その時、人間は神の心を知ることになるだろうと言われる。
ただ言えることは、死は全ての最後と思う唯物論ではなく、生命の永遠不滅性は、エネルギー保存則から行っても正しいことであろうからそれは生命情報として宇宙空間の何処かに保存されているのだろう。二次元平面と業の違いがあるといえ、輪廻転生を説く唯識論は、ある意味東洋の無視できない知恵なのだろう。



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