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現代物理学と仏教の親和性

私は過去にも現在でも哲学思想歴史の断片を気の向くままに書いてきた。決して専門家でもない私の記事に目を通してくれる方々には感謝しているが、素人なりに疑問に思っていることを書きその都度の理解を深めることも大事な事とおもう。

今の関心事は、昔から漠然と思ってきた大乗仏教の世界観と最先端の量子力学との共通点を自分なりに理解したいということです。

仏教の根本は因果の法則が基本であり、科学もその例に漏れない。基本物理学は、そのことを無視すれば科学そのものが崩壊する。なぜならば、従来の物理学では位置と運動量がわかれば、その将来はすべて決定するというものであるが、量子論ではそうでないという。位置と運動量は確定的でないというのだ。

量子論では、過去、現在、未来(のあらゆる可能性)の全ての情報が波動情報として記録されており、それは量子真空の中にあるという。私が、現代の量子論を、私の直感が効かない現代の宗教として捉えているのは、このような分かりにくさである。

そもそも138億年前に量子真空のゆらぎがビックバンを引き起こし、今の質量をもつ私たちが認識できる宇宙の構造が生まれたということだ。
未来とは、現在の波動情報に起因して発生するあらゆる可能性のことだ。
過去から現在までのすべての波動情報がすべて残っているということは、そこには未来の情報もそのまま丸ごと含まれているということになる。

仏教では、心が万象を決定するという煩瑣な唯識思想を展開するがその中核は空とする。もう少し心というものが具体的に、理解できないのか。
そもそも、心の世界はあるのか。あるとすれば、それは科学的に証明できるのか。
人は何処より来たりて、何処へ去るのか。

なぜ物質が生まれ、生命が誕生し、私たちが存在するのか。膨張を続ける「進化する宇宙」は、私たちをどこへ連れてゆくのか。時間の始まりであるビッグバンから、時間の終わりである宇宙の終焉とは哲学的な命題と重なる。

近年の量子物理学では、過去のあらゆる情報は、宇宙が終わるまで失われることはないと考えています。量子力学の方程式は時間反転対称性があると言われているからです。つまり時間を反転させると元の状態に戻る、可逆的だという意味です。
もしも、未来のどこかで情報が消滅する時は、宇宙の膨張が止まり収縮に向かうときであろう。その情報と連鎖している過去のすべての情報も芋づる式に消滅してして行くのだろう。
現時点でそのような事例は観察されることはないので、今ここにある情報は、少なくとも宇宙が終わるまで失われることはないと考えるのが妥当です。
これらを総括すれば、現在の宇宙に前世宇宙の痕跡が残っていると考えています。
この話は、輪廻転生を説く大乗仏教の唯識に似ていなくもありません。
仏教は魂の永遠不滅を説きませんが宗教としての魂の永遠性を阿頼耶識説として展開します。
このような魂の永遠説を説かなければ他宗教との論争に負け、衰退します。現に仏教の生まれ故郷インドではヒンヅー教に追いやられました。
仏教の唯識学が諸法無我を標榜する原始仏教から現在の物理学者が発想するのと似た考えをどこから考え付いたのかは知りませんが、がその直感の発想はすこぶる似ています。

なお、相対性理論の解から、この宇宙には無限の質量を持ち、光さえも飲み込む落とし穴、ブラックホールが存在します。
ブラックホールに飲み込まれた物質は特異点(すべてを飲み込む境界面)の彼方に消滅すると予想されました。しかしそうなると、上記の量子力学の時間反転対称性から考えて、ブラックホール内の特異点の彼方に消えた物質は過去から存在しなかったことになり、もしそれが正しいなら、ブラックホール周囲の時空は凄まじい勢いで因果律が崩れることになります。すべての相依性を説く仏教の理論もエネルギー保存法則もすべては崩壊します。

ホーキングは情報が消滅すると予想し、ジョン・プレスキルやレオナルド・サスキンドらは情報は失われないと予想し、当時これはどっちが勝つかの論争となりましたが、結果、ブラックホールの情報パラドックス問題は「特異点の彼方に物質が消滅しても、この宇宙に存在していた情報は失われない」ということが分かり、この論争は、けりが付きました。

ブラックホールはエントロピー(熱収支)を持っていることが予想され、そのエントロピーはブラックホールの表面積に比例すると予測されました。これをホーキングの面積定理と呼びます。

この、ブラックホールの情報パラドックス問題に対する研究を一歩進めると、この宇宙全体の情報もまた、宇宙の表面積のエントロピーに比例すると考えられます。これがホログラフィック原理です。

量子もつれのエントロピーを計算することで、空間の距離が求められます。また、量子情報の発展をテンソルネットワーク(画像認識などの情報処理、数値解析)で描くことで、時間を想定せずに時間発展と同じ答えが得られます。このことが、時間の矢の存在、時間が不可逆に流れているように見える秘密なのではないかと言われています。

このように、近年の物理学ではこの宇宙は、私たちの見ている宇宙はブラックホールの境界面から放射された幻想で、時間や空間や重力は量子もつれから生じているのではないかといいます。
こんなホモグラフ理論から見ると、二千数百年前に生まれた仏教との親和性が認められるのです。

ネット記事より転載

補足:コメントとしての書き込みがありました。その答礼としての書き込みを、ウエブで見つけた非常にわかりやすい論文の一部を引用しました
「私たちが住む世界は、縦・横・高さの3つの次元をもつ3次元空間である(時間を加えて「4次元時空」とも呼ぶ)とされてきた。しかし、近年の理論物理学の進展によって、3次元の世界は幻かもしれない、という可能性が真剣に議論されるようになってきているのだ。このような仮説は「ホログラフィック原理」と呼ばれている。この仮説によると、私たちの住む3次元空間と“等価”な2次元平面があり、そこには量子もつれの形で情報が埋め込まれているのだという(図)。そしてその2次元平面からホログラフィーのように浮かび上がったのが、私たちが知覚している3次元空間の世界だというのだ。3次元空間と2次元平面のどちらが“真の世界”なのかは分からない。そもそも等価なのだから、どちらが“真の世界”なのかは見方による、とも言えるのかもしれない。」
このように、量子もつれがひきおこすであろう心(現実)と幻想の世界が唯識の「色即是空・空即是色」の概念に似ているということです。


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