第87話 母:身長が低い
うちの母は身長が低い。
身長が小さいと言う表現の方が的確かもしれない。
150cmないのだ。
正確には知らないが、147cmくらいだったと思う。
それほどに小さいのだ。
今は何も苦労していないが、若い頃は苦い思いをしたらしい。
高校生のときにどこか遠くへ出かけたそうな。
駅の改札口で駅員に切符を渡す。
当たり前だが、母の若い頃はまだ自動改札機など無い。
駅員に渡すシステムだ。
だから切符を渡したときに駅員に言われたそうだ。
「お嬢ちゃん、こんな遠いところに1人で来て大丈夫かねぇ?」
「…私は高校生ですぅ!!」
そんなことがたびたびあったそうだ。
それを聞いて気の毒だと思ったが、とりあえずゲラゲラと笑っておいた。
そんな母は出産が大変だったらしい。
特にボクのとき。
母は体が小さい。
そして、ボクは体は大きかったらしい。
3500g以上あった。
しかし、問題はそこじゃない。
ボクは頭が大きかったようだ。
即ちどういうことか分かるだろうか?
ボクの頭がデカすぎて、母がどんなに力もうとも頭がつっかえてなかなか出てこなかったらしい。
「死ぬかと思った」
と母は当時を振り返ってそんなことを言っていた。
お母さん、あなたのおかげでこの通り、私は地球の暮らしを謳歌しております。
ただ、頭はデカく生まれましたが、残念ながら中身の脳みそは空っぽでした、ごめんなさい(笑)
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