第７７話　父：星野源

　先日、星野源さんがガッキーこと新垣結衣さんとご結婚されたとのニュースが流れた。
「はぁ～、ついにガッキーも結婚かぁ」
　そう思うのと同時に、世の男性たちを気の毒に感じた。
　ネットでは阿鼻叫喚の声で溢れているだろうとネットサーフィンをしたくらいだ。
　ちなみにボクはガッキーに夢中になったことはない。
　きれいな女優さんだなぁとしか思わなかった。
　それにもう芸能人とあわよくばなんて夢を見る歳でもなくなった。
　普通におめでたいと思う程度だった。

　しかし、ふと我に返る。
「逃げ恥」はドラマだ。
　フィクションだ。
　でも実際に「逃げ恥」で夫婦役を務めていた主演の２人が結婚した。
　なんだ、ただ２人のイチャコラを見せられていただけなのか？
　しかもあのドラマめっちゃ流行ったよな？
　そう考えると、なんだか複雑な気持ちになった。

　このニュースは父と母にも話題だった。
「おぅ結婚か！！おめでたいな」
　お似合いのカップルと祝福しているようだった。
　その流れから急に父が
「いやぁ、やっぱ星野源は良い男だよ。うん、良い男」
　と、うんうん頷いていた。
　それを聞いてボクは笑ってしまった。
「おやっさ（父の呼び名）が星野源の何を知っているんだい？逃げ恥見ただけでしょ？」
「うん？俺、あんまり逃げ恥見てなかった」
「じゃあ何も知らねぇじゃん！！」
「いや、そんなことねぇよ。良い男だよ」
　終始、星野源は良い男だと言っていた。
　まぁ星野源さんが良い男なことくらい誰が見たって分かる。
　ただ、父を唸らせたのは一体どの部分だったんだろうと、息子は不思議に思うのであった。