見出し画像

(絵本)なにをたべてきたの? / 何者かになりたい君へ

vol.003
今回の絵本は「なにをたべてきたの?」
(著:岸田 衿子 絵:長野 博一) 

■あらすじ

真っ白な体をした しろぶた(白い豚) くん。
お腹をすかせて見つけた果物を次々と食べていく。
りんごにレモン、メロンやぶどうも何でも食べちゃう しろぶたくん。
食べるたびに真っ白な体が果物の色に染まっていきますが、
最後に見つけた せっけん を食べてしまうと……。

果物を食べるごとに体がカラフルになっていき、
周りのぶたからも褒められていきますが、最終的に石鹸を食べてしまうことで
体の色がリセットされるというループっぽい終わりを迎えつつも、
最後の展開で考えさせられる内容もあり、コミカルに加えて深さもあります。 

■良かった点

<何者かになり"続ける"ことが大切>
食べ物を探しに向かう しろぶたくん は最初とてもコワイ、というより何か焦っているような表情にも感じられます。最初の顔を見たとき、とても違和感を感じるほどに穏やかではないのです。それもそのはず、周りには様々な模様をもった ぶた がいるのに、自分だけは真っ白のままです。
まるで「何者」でもないと感じる自分が「何者」かなる為に必死に動いていく物語にも感じられます。

途中で他の ぶた と出会っても しろぶたくん は満たされていない表情をします。
周りからどれだけ褒められても、変わったねと言われても「もっともっと!」という様子です。
でも しろぶたくん は確実に変わっています。少しづつ自信のある表情になっています。自分自身では満足できていなくても、確実にその人は成長しているのです。
そしてその「もっと欲しい」「このままじゃダメだ」と思う気持ちがある限りは成長は続いていきます。


「もっとこうなりたい」という向上心は自己を大きくさせ、
周りの意見ではなく自分の納得感がない限りは無くならないものです。
「何者であるか」そのことに自分の中で答えを出せてしまうことは、もしかしたら成長とは相反する状態になっているのかもしれません。
あなたが「何者」かは周りがちゃんと認めてくれることであり、
あなた自身は常に「新たな何者」かになるために努力を続けていくことが本当の満足感に達するのかもしれません。

そういう意味で、しろぶたくん の姿勢は生きていく上でとても大切な姿勢を教えてくれた気がします。


<あらゆる経験はつながっていく>
りんご・レモン・メロン・ぶどう、と順に食べていくごとに
しろぶたくん の体に各果物の色がついて華やかな見た目になっていきます。
でも最後に石鹸を食べることで、泡でお腹が膨れてしまい しろぶたくん は坂道を転がり落ちて体中の色を全て出して元の真っ白なぶたに戻ってしまいます。

坂道を転がりながら全ての色を出す場面は、
欲張りすぎた しろぶたくん の「失敗」を感じさせつつも、これまで食べてきた果物が見事に混ざり合うキッカケでもあり、最終的に しろぶたくん から出てきた色は鮮やかな虹色をしています。

一見すると失敗だったり無駄だと感じられる経験でさえ、新しいことに繋がるキッカケとなり、どのような経験であれその人の魅力を映し出す素敵なものであることを考えされられます。


そして、最後は周りの ぶた から
「でも まえより おおきくなったみたい」と言われます。
真っ白なぶたに戻っても、自分の中には何もないと思っても、
これまでの経験が確実にあなたを大きくさせています。


そんな、今の自分に不安を感じている人にとって、優しく背中を押してくれるとても素敵な内容だと思います。
以上が、個人的に良かった点でした。

■こんなときにオススメ!

・何者かになりたいと頑張っているとき
・失敗をしたときに励ましたいとき
・目の前のことに不安を感じているとき

面白いと感じていただいたらいいね・フォローなど宜しくお願いいたします。
今後も継続的に絵本の紹介をしていきます。

ーーー
なにをたべてきたの?
(著:岸田 衿子 絵:長野 博一) 
www.amazon.co.jp/dp/4333003202



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?