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(絵本)カタカタカタ おばあちゃんのたからもの / 宝物のカタチについて


vol.001
今回の絵本は「カタカタカタ おばあちゃんのたからもの」(著:リン シャオペイ)

■あらすじ

おばあちゃんの「カタカタカタ」は すごいんだ。
わたしの スカート、リュック、かわいいもの……
みんな みんな、おばあちゃんが
「カタカタカタ」で つくってくれる!

女の子と おばあちゃんの やりとりが あったかい、
なつかしくて キュートな 台湾発の絵本。

女の子とおばあちゃん、そして2人を繋ぐ「カタカタカタ」。
話が進むごとに女の子のおばあちゃんに対する気持ちが変化していく様子は
非常に純粋であたたかさを感じる展開となっています。

■良かった点

<絵本"らしい"タイトル>
まず「カタカタカタ」という名前について。
実はミシンのことなのですが、
クルマを「ブーブー」と言ったり犬を「ワンワン」と呼んだり、
子どもの頃は発せられる音で対象を認識していましたが
絵本に出てくる女の子もミシンを独特な呼び方をしています。

単にミシンをミシンと扱って、
絵本のタイトルを「おばあちゃんのだいじなミシン」とかにしない所が
絵本っぽいといいますか、大人から見て惹かれる点
でもあります。


<本当に大切なことに気づく過程>
登場するおばあちゃんは女の子のため日々ミシンでいろいろなものを作ります。
そんなおばあちゃんのことを女の子はすごいと思っています。
いや、実際は途中に起きる出来事までおばあちゃんのことではなく
「カタカタカタ」のことをすごいと思っていました。

その出来事というのは、ある日突然のミシンの故障。
翌日に控えた女の子のお遊戯会に間に合わないのではないかと女の子は心配するのですが、おばあちゃんは手縫で衣装を完成させます。
その時、女の子が「本当にすごいのは カタカタカタではなく おばあちゃん だったんだね」と気づく瞬間が訪れます。

この女の子の言葉、とても大切な気づきだと思います。
私たちはどうしても表層的な部分のみで物事を判断しがちですが、
裏側にあること・見えないこと含めて全体を見ると「何が本当にすごいのか」に
気づくことができます。

ビジネスの話になると、何事も結果が全てと言われますが、
アウトプットされたものや数字の裏側にある過程は、たとえ評価をしないとしてもちゃんと"把握"しておくかどうかはとても重要なことだと思います。
特に物事を判断するマネジメント層には改めて気にかけたいことでもあるのではないでしょうか。

<たからもの はカタチを変えて残り続ける>
壊れたミシンは最後にインテリアとして家具となります。
(板を取り付けてお洒落なテーブルに変身)

ミシンはおばあちゃんのとてもとても大切な たからもの ですが、
そのミシンがミシンとしての機能を失ったとしても
カタチを変えて"おばあちゃんのミシン"は残りました。

機能としてのミシンならまた新しく買えばいいですが、
おばあちゃんが愛したミシンはそこにあるミシンただ一つ。
どんなカタチになろうと、そのミシンを感じられることはおばあちゃんにとって
とても嬉しいことでした。
たとえ機能を失ったモノでも、新たな機能を与えると違った形で残れる。
そのことに気づいた女の子は優しくあたたかく描かれています。

以上が個人的に良かった点でした。

■こんなときにオススメ!

・思いやりの大切さを伝えたいとき
・物事の新たな見方を教えたいとき
・大事なものを壊したとき

面白いと感じていただいたらシェアなど宜しくお願いいたします。
今後も継続的に絵本の紹介をしていきます。

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カタカタカタ おばあちゃんのたからもの 
(著:リン シャオペイ 翻訳:宝迫 典子)
www.amazon.co.jp/dp/4593505976

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