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産後うつになったので、認知行動療法をはじめます!

今年の春に次男を出産し、早くも6ヶ月が過ぎました。そしてこのたび「産後うつ」と診断されまして。

えぇっと…正直にいうと非常にショックを受けております。


産後うつの治療法はいろいろとあるのですが、抗うつ薬の服用にいささか抵抗のあるわたしは、認知行動療法をはじめることにしました!

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy):ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、ご自身の力で柔らかくときほぐし、自由に考えたり行動したりするのをお手伝いする心理療法

引用:そもそも認知行動療法ってなに?


が、そこに至るまでにはたくさんの人とのつながりがあり、長男はイヤイヤっぷりを余すことなく発揮しながら3歳を迎え、卯年生まれの次男は光のような速さでお座りができるようになりました。


(もっとゆっくり成長してくれてもいいんやでぇ…)



子育ては夫婦だけではできないと痛感させられた数ヶ月。忘れないように書き留めておこうと思う。



🌿

役所の一室で、先生とのカウンセリングがはじまった。バインダーに挟まれた薄っぺらい印刷紙に、さらさらと達筆な字でわたし達の話したことをメモしている。しばらくの間、沈黙が流れた。

「あなたは冗談はお好きですか?」


先生の突拍子のない質問にわたしは思わずイラッとした。
今日は今の状況をなんとかしたくてきたんですけども……。


想像以上につらいんだが。

「2人目は楽に子育てできるよ〜」


この言葉は嘘だと思っている。2歳半の息子と新生児のお世話は、わたしにとっては想像を絶した。こどもが2人いることは、大変さが倍になるのではなく、何万倍も労力がいることを知った。

下の子がようやく寝たかと思えば、空気を読まずに長男がドタバタと音をたてて笑顔で走ってくる。(なぜ、今?)寝息を立てて2分も経たないうちに、赤ちゃんはまた泣き声をあげまくる。


長男はご飯をたべることも、お風呂に入って身体を洗うことも、寝ることさえも嫌がった。

これが噂のイヤイヤ期なのね!自己主張ができるまでに成長してくれて、うれしいわ〜ふふふ!と思えば楽なのかもしれない。

残念ながらわたしにはそんな余裕がなく、3〜4時間おきの睡眠が続いていたときには、家族に当たり散らかした日もあった。

産後特有のホルモン不足のせいか、感情のジェットコースターに何度も強制乗車され、振り回される。ホルモンって恐ろしい。

産後2ヶ月ごろには、ベットから起き上がれなくなった。今思えば、この時からおかしかったのかもしれない。日中は在宅勤務だった夫に次男のお世話をお願いし、授乳以外は寝て過ごした。

でも夕方になれば、長男を保育園までお迎えにいき、お風呂、ご飯、寝かしつけのフルコースが待っていて、赤ちゃんの黄昏なきまでも添えられてくる。

生活リズムが異なるこども達との暮らしは、ただただわたしと夫を疲弊させた。

こどもが生まれた後の対策をしていたのにだ。


産後3週間までは、お義母さんが地方から5時間かけて東京まで足を運んでくれ、泊まり込みで家事を手伝ってくれた。

家事・育児支援ヘルパーや産後ケアといった自治体の育児支援制度をフル活用していたが、体力回復や心の余裕を保つにはまったくもって足りなかった。

夫は仕事の時間以外は全て子育てにコミットしていたし、お互いが自分の役割を果たしながら奮闘していたが、夫婦で徐々に音を上げていた。

気が付けばわたしの気力とストレス耐性が底をつき、子どもの泣き声を聞くだけで動悸がするようになった。

兄弟を連れた小児科で、1時間以上の待ち時間に加え次男が泣き喚き出したとには、自分の涙をおさえるのに必死だった。

産前まで耐えられていた何気ないことも、わたしにとっては心をかき乱された。


こ、これは、いかん!!

と、悩んでいたころに子育て広場のスタッフさんに出会い、わたしの現状が客観的に見てもよろしくない状況なことに気が付いた。

今までに感じたことのない感情や体調不良にとまどいながら、自治体の保健師、助産師、子育て支援などに助けを求める日々だった。

元MR、心療内科の受診をシブる


「低空飛行のままだとしんどいだろうから、心療内科に行ってみては…?」

産後ケアの看護師さんに受診を勧められたものの、わたしは素直にうなずくことができなかった。

今必要なのは、抗うつ薬やカウンセリングではなく、休息する時間、自分を労わる時間なのにと冷静に思っていたからだ。
(冷静ではなかったのかもしれないし、抗うつ薬を飲んでいたらもっと楽だったのかもと、今になっては思う)

医薬品の営業経験があって、メンタルヘルスの知識がそこそこ詳しかったこともあり、なおさら心療内科に行くことが最適なものと思えなかった。

だって、今の環境がつらいのに。


あとは、鬱っぽい診断名がつくことで今後のキャリアや住宅ローンを組む時に影響するのでは……と、足踏みしたところもある。


この頃には、産院で処方されたホルモンバランスを整える漢方薬を飲んでいたし、鉄不足を補うため食生活も見直した。徐々にではあるが、回復してきている感触もあった。


ただ、身体を休める時間が圧倒的に足りないのだ。




お金をかけて環境を整えたいと望んでも、限界があった。赤ちゃんの一時保育先は数週間先まで予約がいっぱいだ。使えそうなサービスに手当たり次第電話をかけるも、断られることの方が多かった。

頼りたいのに、頼れる先がほとんどない。


かなしいことに行政とつながっても結果は同じだった。

十分に産後の心身のケアができる資源や制度が整っていないことを目の当たりにした。というのも、「産後うつ」などの診断書がないと新たな支援が受けられないのだ。


明日…いや、今夜すらも乗り切れるか分からないのに。



育児の負担を減らしたり、産後うつ状態を予防したりする支援が少ない。このことが不思議でたまらなかった。

”育児しんどい”を吐き出せる場所


スマホで「育児 しんどい」を検索する日々。
少しでも気持ちが軽くなればと検索しても、状況は変わらない。

我慢できずにいろんな人に相談していくうちに、その気持ちを受けとめてくれる先があって、何度も助けられた。


つらい状況を傾聴してくれて、解決策をだしてくれた人達がいた。


子どもたちを見てもらえる場所がみつかって、夫婦2人でゆっくりと休めたのは産後4ヶ月になった頃だった。ようやくホッとしたのを覚えている。

ある精神科医との出会い

そして、冒頭に至る。

この日、役所でおこなっている精神科医による健康相談に来ていた。保険証の利用記録が残るものではないから軽く相談してみては?と、保健師にすすめられたのだ。診察ではなく、カウンセリングがメインのようだ。

他にも先生は想定外の発言をする。

「世の中は、悲劇と喜劇なんですよ。」

「心療内科や精神科はあなたが行きたいと思うなら行けばいい。」

「投薬は対症療法でしかないからね。」

「あなたはものごとの見方を変えなさい。」


そ、そんな簡単に言われても。

投薬を勧められたら素直に従おうと、腹を括ってきたのに拍子抜けした。

見方を変えるだけで、いまの動悸が治るんですか?と聞くと、「人間不思議なものでねぇ、治っていくんです」としみじみと教えてくれた。


じゃあ消えたいって思っちゃう時はどうすれば?の問いには、

「人間いつかは死ぬんです」

と言われて、思わず笑ってしまった。




確かに、冗談はうつを救うのかもしれない。



自分の考え方のクセをかえることで、症状が緩和するならと認知行動療法を受けることに決めた。ただ、一番は休息するように!との助言もいただいたので、環境を整えつつになるのだけれども。


まだまだ人生は長いし、どうせだったら育児をとことん楽しんでいきたい。

そんな風に思えるようになったのは、夫の献身的なサポートと、絶えず支援しつづけてくれた人たちの存在がとてつもなく大きい。

認知行動療法は、日常生活でも役立つものと言われているので、一石二鳥だ。

そこからは早かった。クリニックを予約し、診断書を産院でもらって新たな支援もうけることにした。でも予約は2ヶ月先だから、まだ行けてないのだが。


幸いなことにこども達は、元気フルに成長している。


「あの時はつらかったね」と笑って語ることができる日を願って、いまは元気になることが優先だ。




今、もしあなたが産後や子育てがしんどいなら、つらい気持ちにフタをせずにSOSを出し続けてほしい。


相談した人との相性が合わない、肝心の家族があなたの気持ちを理解してくれなくても、誰かは絶対にあなたの声を拾ってくれると思うから。


あなたのためを思って言われた言葉がつらく聞こえちゃうなら、その言葉、今はスルーしよう。それだけ疲れてるってことだから。


最後に、産後うつを周囲の人に理解してもらうために役立った本を載せておきます。

マンガでわかる! 産後うつ?と思ったら読む本
マンガでわかる!うつの人が見ている世界

産後うつといっても症状は様々なので、わたしは右の本でも補足していました。

大丈夫!産後うつは必ず治るものだから、あなたもわたしと一緒に自分のことを大切にしていこうね。


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