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なぜ『組織開発』が求められているのか

[要旨]

VUCAの時代と言われている現在、ビジネスにおいては、かつてのような確率の高い「勝ち筋」が見出しにくくなり、業績が思うように伸びず、また、コロナ禍や働き方改革の進展が示すように、職場の環境、メンバーの構成、働き方そのものも大きく変わってきていることから、ビジネスにおいて、かつてより、組織開発に取り組む必要性が高まっています。

[本文]

今回も、前回に引き続き、コンサルタントの早瀬信さんたち3人の著書、「いちばんやさしい『組織開発』のはじめ方」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、組織開発の効果は、(1)目標を達成できるようにすること、(2)活動しやすい環境を確保する、(3)組織文化などを形成するという効果があるということについて説明しました。これに続いて、早瀬さんは、組織開発が求められる理由について述べておられます。

「いま、組織開発への関心が高まり、多くの企業が実践を始めている背景には、時代の流れにともなうさまざまな変化があります。ビジネスにおいては、かつてのような確率の高い『勝ち筋』が見出しにくくなり、業績が思うように伸びない。多くの業界、多くの企業が、その悩みを抱えています。他方で、コロナ禍や働き方改革の進展が示すように、職場の環境、メンバーの構成、働き方そのものも大きく変わってきました。かつては正社員が中心になって回ってきた企業組織は、この20年ほどの間に、業務委託や派遣・アルバイトなど、多様な立場の人が関わり合うようになりました。

ウェルビーイングやSDGsなどの新しい考え方も台頭し、企業といえども経済性だけを中心に置くことができない現実もあります。業績など結果を求めさえすればよい、という昔のシンプルなルールが通用しにくくなり、そこにさまざまな価値観が加わった、とも言えます。仕事のルールが複雑化し、しかも、なかなか結果がでない。そのような中で、メンタルの不調に陥るメンバーも少なからず現れるようになった。転職、離職も、止めようがないほど増えてきた。このように、『良いチームや良い組織』であり続けることが、難しい現状です。

こうした状況下で、単に、仕事のテクニックに関わる課題ばかりではなく、人の気持ちやコミュニケーションのありようにまで関わる課題が組織には山積みになっています。(中略)組織改革にしても、生産性向上にしても、最早、号令一下、足並みを揃えれば達成できるというわけではありません。多様な考えや価値観を持つ人が集まるのが組織ですから、社会情勢が複雑化すれば、軋轢やすれ違い、あるいは衝突が起こるのは当たり前でしょう。このような現実に対して、私たちが伝えたいことの1つが、組織開発は、組織の形態を問わず、活用できる手法も多いということです」(37ページ)

早瀬さんがご指摘しておられる通り、現在はVUCAの時代であり、だからこそ、臨機応変に対処できる組織の能力が重要になってきています。さらに、会社は、「ウェルビーイングやSDGsなどの新しい考え方」にも注力しなければなりません。したがって、会社は事業を継続・発展させるためには、組織開発に取り組み必要性が極めて高まっているといえます。その一方で、組織を強くするということについて、関心を持っていたり、そのための知識やスキルを十分に持っていたりする経営者は少ないように、私は感じています。そして、繰り返しになりますが、現在は、組織開発なしに事業を発展させることは不可避となっています。だからこそ、組織開発に目を向け、全力を注がなければならないと思います。

2024/3/11 No.2644

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