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アパホテルの独創的経営戦略

[要旨]

アパホテルでは、同社グループの代表である、元谷外志雄さんが、「前例がないからやる」という姿勢で経営に臨んでおり、その結果、「業界初」の試みで業績を伸ばしています。同社の例のように、現在は、事業が成功する要因は、経営戦略の適切さに比重が移ってきていると言えます。


[本文]

アパホテルの専務取締役の元谷拓さんのご著書、「アパ社長カレーの野望」を読みました。同書のタイトルからは、本の内容は、「アパ社長カレー」の商品開発のように思われるかもしれませんが、カレーの開発以外にも、アパホテルが実践している戦略についても書かれています。

アパホテルは、コロナ禍の中で、決して楽な経営はしているとは思われませんが、それでも、他のホテルよりも業績を伸ばしています。それは、同社が、独創的な戦略を実践しているからです。その独創的な戦略の例は、社長自らが広告塔になり、メディアへ積極的に露出していること、プールのネーミングライツを売り、ブランドイメージを高めてプールの運営を黒字化すること、オロナミンCなどのサンプル商品を利用者に無料で配布することなどです。

これらは、ホテル業界ではタブー視されていたことなのだそうです。ちなみに、元谷さんの父親で、アパグループ代表の外志雄さんは、石川県内の信用金庫出身、母親で、アパホテル社長の芙美子さんは、福井県内の信用金庫出身、拓さんご自身は、富山県を地盤とする地方銀行出身です。すなわち、経営者が宿泊業以外の業界の出身だったからこそ、業界のタブーを破ることができたのだと思います。

だからといって、必ずしも、「業界のタブーを破ること=成功する戦略」とはならないでしょう。ただ、業界に長くいた人では、アパホテルのような斬新な戦略を打ち出せなかったことも事実だと思います。すなわち、現在は、事業が成功するかどうかという要因は、業界に詳しいというだけではなく、正しい戦略を編み出せるかどうかということに比重が高まってきており、同社はそのよい事例になっていると、私は考えています。

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