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アドバイスとコンサルティング

[要旨]

コンサルタントの役割の中には、クライアントに能動的に改善活動をしてもらうための働きかけが含まれると考えれらます。このことから、コンサルタントにはある程度の労力が必要と言えます。一方、助言を与えることは有用なことですが、それを行うだけでは、コンサルティングとは言えません。


[本文]

前回、コンサルティングは、クライアントの依頼に基づいて、クライアント自らが行う課題解決を支援することと述べました。このことは、コンサルタントは、クライアントに対してどのような提案を行うのかというだけでなく、能動的に改善活動に取り組んでもらうことに労力を割くことになるということでもあります。この部分の説明は、少し、非論理的なのですが、私は、コンサルタントとして、それを実感しています。多くの経営者は、事業の改善が必要だと考えながら、心の深い部分では、いままでの活動を変えることに抵抗を持ってしまいます。

これに対し、「やる気」がないクライアントに、コンサルタントがそこに労力を割くべきかどうかという議論はあります。でも、現実的には、改善活動になかなか能動的になれないクライアントを鼓舞することは、コンサルタントとして必要な役割だと思います。ということで、コンサルティングについては、ある程度、労力が必要ということをご理解いただきたいと思います。

では、なぜ、このようなことを述べたのかというと、銀行が、ここまで説明してきたようなコンサルティングを行うことは、労力の観点から難しいということを理解していただきたかったからです。これに対し、融資相手の会社に、能動的な改善活動を促すところまでしなくても、助言をするだけでも、銀行の役割を果たすことができるのではないかと考える方もいると思います。私も、銀行が融資相手の会社に助言をすることはよいことだと思いますし、それに積極的になることは望ましいと思います。

しかし、私助言だけをすることをもって、コンサルティングをしているということは不適切であると考えています。繰り返しになりますが、助言をするこは、融資相手の会社にとっても有益なことであり、このことが問題ではないのですが、助言をする人はアドバイザーであり、コンサルタントではありません。やはり、コンサルティングをする側が、クライアントの改善活動に強く関与していなければ、コンサルティングをしているとは言えないでしょう。

2021/12/2 No.1814

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