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[要旨]

会社が資金を調達する方法は、融資契約、社債発行、株式発行があります。融資は借用証書を差し入れてお金を借りる契約であり、社債は会社が発行した債券を投資家に引き受けてもらう方法であり、株式は株券を発行し株主に購入してもらう方法です。このうち、融資と社債は、資金を調達した会社の負債の部に計上されますが、株式で調達した資金は、純資産の部の資本金に計上されます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、嘉悦大学教授の高橋洋一さんのご著書、「明解会計学入門」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、会社の資産は、株主からの出資金や、銀行などからの融資金が形を変えたものであり、株主や銀行からの期待に応えるために、その資産は利益を得られるものでなければならない、すなわち、事業活動の目的は利益を得ることであり、利益を積み上げていった結果として資産規模が大きくなると考えなければならないということについて書きました。

これに続いて、高橋さんは、金融資産について述べておられます。「金融資産について、まず知っておくべきは、『貸付』と『出資』の違いだ。(中略)『貸付』と『出資』は、どちらとも『事業のためにお金を出してあげて、見返りを受け取る』というものだ。では、何が違うかといえば、見返りの形が違う。まず、『貸付』とは、お金を貸してあげることだ。

したがって、銀行の融資や社債は、『貸付』である。貸した相手に業績悪化業績悪化や倒産などの問題が起こらなければ、貸したお金は決められた期日どおりに利息が支払われ、償還日に元本が戻ってくる。『出資』は、事業のためにお金を出してあげて、相手に利益が出たら、一定の見返りを受け取るというものだ。株の『配当』がこれに当たるといえば、すんなりイメージできるだろう。

ざっくり、これが『貸付』と『出資』の違いである。現金を現金のまま持っていても、何も変わらないが、誰かにお金を貸し付けたり、出資したりすれば、利息や配当という収益を生む。お金を借りたり、出資を受けたりする方の企業は、事業の資金を得ることができる。『貸付』と『出資』のいずれも、お金を出す側と、出してもらう側の両方に、メリットがあるのだ」(85ページ)

お金を融通するという面で、融資契約、社債引受、株式購入は共通しています。しかし、それぞれ、契約の形式が異なります。銀行が事業会社に融資を行う時は、金銭消費貸借契約を行い、融資を受ける会社は、融資をする銀行に対して、金銭消費貸借契約証書を書いて差し出します。簡単に言えば、借用証書を書いて借金をするということです。

次に、社債は、資金の出し手から見れば、広い意味では貸付ですが、融資と異なり、金銭消費貸借契約ではありません。具体的には、資金を受け取る会社が、債券である社債券を発行し、それを、資金の出し手である投資家などが引き受けます。また、融資は、一般的には、1対1の契約ですが、社債は1回の発行で複数の投資家が引き受けます。さらに、社債は債券なので、売買できる、すなわち、債権者が変わることもあります。すなわち、社債は、政府が発行している国庫債券(国債)の会社版のようなものです。

最後に、株式ですが、株主は株式を発行した会社に資金を提供するという点では、融資や社債と共通していますが、会社の議決権を得るので、経営に参画するということになります。また、融資や社債の利息に相当する配当は、業績がよいときは、融資や社債の利息より多く受け取れる可能性がありますが、業績が赤字のときは、一般的に、配当は受け取れません。これらの特徴は、会計を学んでいくに従って、徐々に理解が進んでいくでしょう。

2024/6/20 No.2745

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