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学べる時代に学べない理由-MOOCsに見る学習継続のヒント-

学べないのは言い訳か?


「言い訳のできない残酷な時代になったもんだ」

友人の言葉にある意味では納得した。

ここ10年で、世界の最先端の研究に関する授業を最高峰の先生から、無料で受けられるようになった。例えば、MOOC(Massive Open Online Courses)に登録すれば、日本にいながらもスタンフォード大学の機械学習、エール大学の金融工学の授業をオンラインで無料で受けることができる。日本においてもJmoocやGaccoなどMOOCの認知度も広がっている。

MOOC(Massive open online course)は、インターネットを利用した大規模なオンライン講座を意味します。なお、複数形で「MOOCs」と表現されることもあります。MOOCの場合、ほとんどの講座は年齢・性別・学歴などに関係なく誰でも受講できます。講座の提供元の多くは国内外の有名大学や研究機関であり、質の高い講義を無料または低額で受けることができます。

社会人のためのデータサイエンス入門(総務省)
https://ledge.ai/soumu0105/

はじめてのSTEAM教育(Gacco)
https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+pt071+2021_04/about

アカデミックなものだけではなく、実用的な語学、ファイナンス、コーディングなどを低額で学べるオンラインのマーケットプレイスも個人向け、企業向けにも広がっている。

冒頭の友人の言葉は、ネット環境とタブレットさえあれば、誰もが学ぶチャンスがある時代になったから、あとは本人の学習意欲だけが問われる厳しい時代になったと言う趣旨である。極端に言うと「知らない」「できない」は怠慢だと思われる残酷な時代が来るかもしれないと言う恐怖から出た言葉だった。

果たしてそうなのだろうか?

学びを継続することの難しさ

3月末に、グローバルオンライン教育プラットフォーム、MOOCの老舗であるCourseraが上場した。2019年末時点での登録ユーザー数は4,640万人。2020年末には7,660万人(前年比65%増)と急増した。対面教育が難しくなる中、多くの人が自宅で学びの機会を求めたことが追い風となった。

今や世界中で7,660万人もの人々がCourseraを使って世界最高峰の知に(ほぼ)無料でアクセスしている。何を隠そう私もこのうちの一人だ。数年前より、合計20程度のコースに登録してきた。しかし、恥ずかしながら最後まで修了したコースは1つもない。継続しないので、正直、学んだことも覚えていない。強いて言うなら英語のヒアリング能力向上に少し貢献したぐらいか。。

こんな状態に陥っているのは、私だけではないはず。「言い訳」を探すために探し出したのがこのデータである。

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やっぱりそうかと思うより、少しびっくりした。せっかく登録しても1年後に続いているのは10パーセントにも満たない。いくら意欲があっても続かないのである。私だけではなかった。。もちろん、修了することが目的でない登録者も多いだろう。しかし、続かなければ学びが定着しないのも事実である。

学びを継続するのは難しい。

どうしたら学びを継続できるか?

では、この事態への打開策としてMOOCs各社やプログラムを提供する教育機関がどのような取組みを行なっているか?比較的高い修了率を誇るコースに学びを継続させるヒントがあった。

まとめると①Nudge methods と②Peer learningである。

Nudge methodというのは、個人の決断の自由を確保しながら、心理的な暗示や、提案で自発的に正しい行動をさせるものだ。具体的には、ビデオをみた回数、課題を提出した回数などのデータを分析して、学習者の現状に合った声掛け等で促す方法。

Peer learningというのは、学習者が互いに協力して学び、学びの過程を共有する学習方法だ。具体的には、学習者が学んだことを披露したり、学習者同士が繋がりを持ち学びを共有することである。

要は、1人で学習をするのではなく、プログラム運営側(先生)が寄り添い、仲間(学習者同士)が繋がることで、学習の継続が促進されるのだ。

冒頭の友人の言葉に戻ると、確かにいつでもどこでも良質な学びをコストなしで得られる機会が増えているのは事実だろう。しかし、学習意欲がある中でも10%の人しか継続できない。継続するには、見守って声を掛けて、一緒に学ぶ仲間が必要なのである。

自分を律することができる大人でさえ、サポートが必要なのだ。子供達が1人で学習を継続するなどというのは、よっぽどの意欲がある子は別として、多くの子供達にとってもっと難しいことだと思う。

そろタッチ教室での取り組み

そろタッチ教室では、学習履歴データを活用して、子供達の学習状況を分析し、ファシリテーター(先生)が子供の状況に合った声掛けを行なっている。今週にどれくらい学習し、継続しているのか、子供でも一目瞭然に分かるUIを特徴だ。学習していない日はオバケマーク、たくさん学習するとカールキングへと、子どもが楽しめる仕組みがある。まさに、データを用いて学習の継続を促す、「Nudge method」が備わっているため、子供達の学習のモチベーションの維持、向上につながっている。

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また、そろタッチ教室では、自宅で学んだインプットを、ゲームや様々なアクティビティを通して披露してアウトプットする。また、教室では、ゲームを通して地域の友達や、一緒に学ぶ仲間と協力したり、対戦することで繋がることもできる。そして、例え自宅で学習していても、ランキングを通して、世界中の暗算学習の仲間を意識し、触発され頑張る仕組みができている。これは、子供達が学んだことを披露したり、子供同士が繋がりを持ち、学びを共有する「Peer learning」の仕組みである。

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子供が1人で学ぶのは難しい。そろタッチ教室で、ファシリテーターが寄り添い、繋がることで、これからも多くの暗算名人が誕生して欲しい。


そろタッチ公式HP: https://www.sorotouch.jp/

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