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貧困化が進んだ日本――コロナ感染拡大で拍車|迷想日誌

平成3年の労働経済白書では、「新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響」をメーンタイトルに掲げています。

GDPの推移から確認しますと、コロナ感染拡大の影響により消費や輸出が減少したことで、2020年第(2)四半期(4~6月期)に前期比で実質8.1%減、名目7.8%減の大幅な減少となりました。
リーマン・ショック期と比較しても、第3次産業はもとより全産業の活動が低下しました。

休業者数は、20年4月に前年同月差420万人増と急増しました。
ただし、5月以降は減少し、8月には前年同月差約14万人増まで減少しました。
完全失業者数は緩やかに上昇傾向となり、10月の完全失業率は3.1%に達しました。

困ったことに、賃金水準の低下に拍車がかかってしまいました。
それまでわずかながらでも増加傾向にありましたが、すでに19年時点で所定内給与・所定外給与・特別給与の全てが低下して名目賃金(32.2万円)が減少していました。
そしてコロナ感染拡大の20年には、所定内給与は増加しましたが、所定外給与・特別給与が低下したため、名目賃金(31.9万円)は2年連続で減少してしまったのです。

19年からの賃金減少が、コロナ感染拡大と緊急事態宣言によりさらに押し下げられたということになります。
コロナ感染以前から景気後退(消費税増税の影響あり)が始まっていたわけで、追い打ちを掛けられた日本のダメージは特別に大きかったことになります。

その後の経済対策も不十分といわざるを得ません。
アメリカでは100兆円単位の予算を投入して需要創設に力を入れ、5%程度のインフレを達成しています。
いわゆる景気引締め策の検討を開始しているほどで、日本とは大違いです。

このままだと、コロナ感染拡大を契機として日本の経済的パワーさらに低下し、アメリカは当然として、中国に水を空けられ、インドにも追い越される貧乏国になってしまいます。
実質賃金もこの数十年間をみると、多くの国で上昇していますが、日本だけが低下を続けました。
何が原因でこうなってしまったのか、コロナ感染だけではないと思います。
誰かに責任を問いたいほどです。この貧困状態を後世に引き継いではいけません。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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