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「非正規」は今後も使用――加藤厚生労働大臣にインタビュー|迷想日誌

加藤勝信厚生労働大臣に今後の行政運営方針について取材しましたので、概略をご紹介します。
ご承知の通り、今回で2回目の厚労相就任となりますが、「新たな気持ち」で仕事に取り組んでいくと話しました。

まず、働き方改革に関してですが、法律、制度を作れば終わりではなく、肝心なのはこれからの取組みとしています。
とくに来年4月に迫っている残業上限規制の中小企業の適用については、働き方改革の趣旨を十分理解してもらうとともに、そのための支援を積極化させる方針としました。

人手不足対策としては、女性や障害者などの就労促進の一方で、生産性向上が重要となるとの認識のようです。
とくに中小企業での生産性向上が図られるよう支援していく考えとしています。
特定技能として来日した外国人労働者にも注目しています。
日本のなかでうまく活躍できるような環境作りを進めていくとしました。

高齢者雇用も今後の注目点の一つです。年齢が上がっていくと、個人差が大きくなっていくので、この点を念頭に置いた雇用・就業対策を考えていく必要があるとしています。
どういう選択肢を提供できるのか、今後、しっかり議論していく予定と話しました。

来年4月から施行する同一労働同一賃金に関しては、要するにそれぞれ事情を抱えている労働者が本人の意思に基づいて、働き方を選択できるようにするための仕組みであり、その前提として不合理な労働条件格差を解消すべきという趣旨と指摘しました。
キャリアアップ助成金などを活用して、制度改革に取り組んで欲しいとしています。
全国都道府県労働局に設置した働き方改革支援センターによる中小企業支援に力を入れたいとしました。

ただし、以前、「非正規労働者」という呼称を使わないとした報道が一部で伝わった点については否定しています。
使用については留意が必要とする意見がありましたが、積極的に使用しないと考えているわけではないと話しました。
大事なのは、納得して働き方を選択できる環境を作っていくことと訴えています。

今後の課題としては、やはりAI、ICTなどへの対応が重要になりますが、日本は遅れているのが実態との認識を示しました。
日本の生産性の低さにもつながっているため、個々の企業による対応に加え、社会全体として活用を進め、そのための人材育成を行っていく必要があると締めくくりました。

いつものことですが、大臣レベルの話となると抽象的になりやすいのが欠点です。
しかし、働き方改革法案を成立させた大臣ですので、法施行に向けては期待が持てるといえそうです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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