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厚労省が中小企業の戦略的な障害者雇用を支援|気ままに労働雑感

厚生労働省は来年度、中小企業などにおける障害者の雇入れおよび戦力化の支援を強化する方針です。
今年度に引き続き、ハローワークと地域の関係機関が連携し、とくに障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している「障害者雇用ゼロ企業」などに対して、採用の準備段階から採用後の職場定着まで一貫したチーム支援を実施します。

さらに、経営改善につながる障害者雇用の取組みを後押しするため、障害者の戦力化に向けたコンサルティングを新たに開始する予定です。

建設業や道路貨物運送業など障害者雇用に関する「除外率」が設定されている業種のなかから、5~6社程度をモデル企業として選定し、経営戦略への障害者雇用の組み入れや、推進体制づくり、経営陣の意識改革、業務の洗い出しおよび定着の取組みなどを支援するようです。

厚労省は対象企業の取組みをモデル事例としてまとめ、同じ業界の中小企業などが障害者雇用に踏み切る際に役立ててもらう考えです。

除外率が設定されているのは、一般的に障害者の就業が困難だと思われる業種ですが、人手不足への対処が課題になっている企業にとっては、モデル企業の取組みを参考に障害者を戦力化できれば、経営上で大きなプラスにつながるでしょう。

厚労省の施策をきっかけとした障害者雇用の拡大に期待する一方で、懸念する点もあります。
それは、中小企業における「経済的虐待」の存在です。

厚労省が障害者虐待防止法に基づいてさきごろ取りまとめた集計によると、令和2年度に割増賃金の不払いや最低賃金未満での就労、休業手当の不払いなどの「経済的虐待」が認められた事業所が全国で331事業所に上り、その約9割を従業員100人未満規模の事業所が占めています。

厚労省の担当者によると、中小企業における労働関係法令知識の不備が背景にあるとしています。

これから障害者雇用を検討する企業は、働く一人ひとりが安心して働き、能力を発揮できるよう、改めて労働基準法や最低賃金法などの基本的事項も確認していただきたいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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