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6月にも中小の不渡り拡大か…、大手は9月が心配|迷想日誌

内閣官房提供の資料を基に、新型コロナウイルスの経済に与える影響についてまとめてみたいと思います。
まず、サービス業関係全体ですが、東京商工リサーチアンケートによると、1年前(2019年4月と20年4月の比較)と比べて売上が減少した企業の割合は全体の84%に上ります。
特に、飲食、宿泊、フィットネスクラブ・映画・劇団では、いずれも100%とみて良い割合で、売上の減少を訴えています。

「現在の状況が続いた場合、何カ月後の決済が心配か」との問いに対し、大企業は「4~6カ月(20年9~11月)」が31%、中小企業は「1~3カ月(20年6~8月)」の39%が最も多くなっています。中小企業では、早ければ来月にも不渡りが増大しそうです。

経済産業省の調査により売上高に占める固定費の割合をみると、大企業が14.6%であるのに対し、中小企業は23.2%と高くなっています。
固定費のうち最も大きいのが人件費です。中小企業は、人件費と賃借料の合計で固定費全体の9割を占めます。

個別業種の影響は次のようになっています。スーパーマーケットは、2月後半にトイレットペーパーなど紙製品が前年同期比150%に増加したほか、マスクなど健康関連品の販売額が激増し、好調です。コンビニも同様の商品が売れて、状況はそれほど悪くありません。
これに対して、百貨店の全体の売上高は、2月に12%減少、大手百貨店3社の3月の売上高は30%以上減少となりました。

悲惨なのは、旅行代理店です。業界団体の調査によりますと、3月の旅行予約は、大手旅行代理店で前年同月比67%減少、中小旅行代理店で74%減少。
4月の旅行予約は、いずれも60%以上の減少が見込まれます。
鉄道の利用客数は、新幹線・在来線ともに2月下旬から急減しています。
JR在来線では、3月の利用客が前年同月の30~50%に留まりました。

IMFの予測では、世界全体の実質GDPは、20年に3.0%のマイナス成長となる見込みで、これは、リーマン・ショックの影響を受けた09年の0.1%マイナスを大きく超えます。
1929年の世界大恐慌では、資本主義全体が金本位制から管理通貨制度に移行する大変化が起きました。
国家が通貨の価値を変動させることによって、経済への一定のコントロールが行えるようになったのです。
今回は、自国本位が強まるとともに国家の役割が高まり、グローバル化が後退しそうです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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