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受入れ企業にもメリット多い在籍型出向|気ままに労働雑感

厚生労働省はこのほど、在籍型出向を利用して雇用維持に取り組む事業主を対象とする産業雇用安定助成金の活用実績を公表しました。
昨年2月5日の制度創設からの1年間で受理した出向実施計画届は、労働者1万440人分、出向元1063事業所分、出向先1746事業所分に上るといいます。

それによると、大企業だけでなく中小企業にも幅広く活用されており、中小企業から中小企業への出向が43%に当たる4456人に達しています。

出向元は観光業や交通業がめだち、運輸業・郵便業が4103人で最多です。
一方の出向先は製造業が2085人で最も多く、卸・小売業が831人で続いています。

利用企業の意見をみると、出向元・先ともに多くのメリットを実感しているようです。
たとえば繁忙期に飲食店から労働者30人程度を受け入れた倉庫業においては、一時的に人材を確保することで自社従業員の負担が軽減し、既存従業員の職場定着につながると指摘しています。
旅行代理店から労働者2人を1年間受け入れている情報通信業では、異文化を持った出向労働者に刺激を受ける形で、自社になかった発想やアイデアが従業員から出るようになり、職場が活性化したといいます。また、製造業で基盤組立て・検査に従事していた労働者10人を受け入れ、検品・梱包業務を行わせた製造業では、即戦力として活用できたとしています。

在籍型出向の活用事例によると、取組みの第一歩として、相手方となる出向元または出向先を探して産業雇用安定センターに相談するパターンのほか、社会保険労務士から在籍型出向の内容や同センターを紹介してもらうパターンがあります。

コロナ禍で雇用維持に苦慮している企業だけでなく、人手不足に悩む企業においても、同センターや社労士に一度相談してみてはいかがでしょうか。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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