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運転者の休息時間は9時間?11時間?|気ままに労働雑感

厚生労働省の労働政策審議会の作業部会はこのほど、バス、ハイヤー・タクシー運転者に関する労働時間等改善基準告示改正に向けた報告を取りまとめました。
運送業で脳・心臓疾患による労災支給決定件数が多いことから、過重労働防止対策として告示見直しに向けた検討を進めていました。
報告では、バス、タクシー(日勤)ともに現行告示によって「勤務終了後継続8時間以上」と定めている1日の休息時間について、「勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする」へ見直すことが適当としました。

作業部会では当初、厚労省がEU規則を参考に「原則11時間」とする案を示していましたが、使用者側から、朝夕の通勤ラッシュなど交通需要への影響が大きいとして反対が相次いたため、最終的に現行よりも1時間長い9時間を下限とする一方、11時間を努力義務としました。

労働者の疲労回復などの観点から「原則11時間」とする案に賛同していた労働者側は取りまとめ内容を受けて、「11時間以上与えるよう努めることが基本、との表現となっているため、『休息時間が9時間以上あれば良いんだ』という理解にならないよう、厚労省には事業者への周知をお願いしたい」と要望しました。

休息時間について厚労省担当者は、「11時間は努力義務ではあるが、まずは11時間の確保に努めることを大原則として捉えてほしいとの思いから、『基本』という表現を付けた。事業者にはその意味を理解して対応してもらいたい」と話しています。

厚労省の周知活動によって「11時間以上」がどれだけ浸透していくか、今後の動向を注視したいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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