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非難受けやすい公衆災害|「ちょっと言わせて」

まずは、このたびの台風で被害に遭われた方々に関しまして、謹んでお見舞い申し上げます。

さて、今回のニュース欄では、国土交通省が建設工事公衆災害防止対策要綱の改正をお伝えしております。

発注者や施工者だけではなく、設計者も公衆災害防止に努めることや埋設物の損傷、建設機械の転倒事故防止措置の充実、落下物による危害防止など近年の発生状況を踏まえた見直しとなっています。

公衆災害は社会的注目を集めやすい災害です。たまたま作業現場の近くにいた、通りかかったというだけで何も関係のない第三者が巻き込まれるもので、非常に理不尽さがつきまといます。
そのため、社会的にもマスコミは糾弾しやすく、取り上げられれば大きく報道されることになります。
記憶に新しいところでいえば、2017年6月に渋谷駅の再開発工事現場で、解体作業中に足場が崩れ鉄骨が動き出し、歩道に落下しました。
幸いにもケガ人はいなかったものの、このときも大きくテレビで現場の映像が映し出されました。

非難の対象になりやすい公衆災害は、事業所内で起きる労働災害よりも大きなダメージを受けやすいといってよいでしょう。
公衆災害は、刑事事件になることが多く、民事の損害賠償額が高額になりやすい傾向があります。
建設業をはじめ、飲食業、旅館業、派遣業などの事業には営業許可があり、起訴されたり有罪判決がくだされれば、営業停止事由に該当しかねません。
また、不祥事を起こしたということで企業そのもののイメージも悪くなります。

2010年岐阜市の解体工事現場で工場側壁が倒壊し、女子高生が下敷きになって死亡する公衆災害がありました。女子高生にはまったく過失がなく、たまたま通りかかっただけで、運が悪かったというほかありません。
女子高生の両親には、高額な賠償が認められたようですが、無念さは筆舌に尽くしがたいことでしょう。

公衆災害には、より一層の安全対策が必要です。

(安全スタッフ編集長 高野健一)

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