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「資金移動業」の活用へ|迷想日誌

毎月の賃金を、「資金移動業者」つまり「●●ペイ」などというよくコンビニなどで利用するアカウント口座に振り込む制度を作れないか、厚生労働省内で検討しています。

すでに、一般社団法人日本資金決済業協会(2012年設立)が設置されていて、340社ほどが会員企業として連ねています。
広範囲に利用されているのが実態で、業界としての信頼度も高まっています。

同業界によりますと、「健全な発展と、利用者の利益の保護を図ることを目的としており、その実効性を確保するため、法律による規制とともに自主規制など自主的取組みを推進しております」としています。

連合は、「賃金払い口座としては保全、セキュリティ等、多くの懸念があり、賃金の確実な支払いという観点から現時点で導入については反対である」との見解を示しています。
あくまで、労働者の生活の糧である賃金の支払い方法は安全・確実でなければならないとし、まだ信頼面で問題があるとみています。

もちろん、賃金が確実に振り込まれ、当日の朝までに支払いができるようにならなければ適格性はありません。
銀行口座と違って、業者が破綻する可能性が高いのも否定できないところです。

しかし金融庁は、銀行にも業者にも、リスク面でのモニタリングや監督を行う姿勢を取っているとされ、セキュリティー対策やマネーロンダリング防止に必要な対応を求めているとされています。
そして今回、2階建ての安全性確保を検討しているようです。

たしかに、銀行口座から業者のアカウントに資金移動すれば、直接そのアカウントに賃金を振り込む必要もないといえますが、それは労働者の自由です。
世間的に業者の活用がこれほど広まれば、選択肢の一つとして活用を可能にすることが求められます。
セキュリティー問題をクリアして、早急に規則改正すべきでしょう。

ただし、「労働者の同意」は、しっかり確認する必要があります。「真意」であることが大前提です。
銀行口座と業者の口座の違いを理解した上で、どのような同意確認の方法を採るかが、カギとなります。

厚労省内では、最も大変な業者が破綻した場合のことも議論されています。
その補償金の振込みを業者アカウントに送るというのは無理となるので、その際に利用する別の銀行口座などを指定しておくべきとされています。

そこまでして業者のアカウントへの振込み制度が必要かですが、労働者の利便性、業界の発展、キャッシュレスの拡大を考えれば、選択肢を広げるべきでしょう。
まだ、議論の余地がありますが、だからといって長い時間を費やすべきではありません。
そろそろ結論を出してもらいたいと思います。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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