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春ねむりの『春と修羅』を取り扱うことになったきっかけ。それは…

先日アナログ盤で入荷した、神奈川県出身のシンガー・ソング・ライター/ ポエトリーラッパーの春ねむりの2018年発売1stアルバム『春と修羅』。この作品を入荷するきっかけというか理由みたいなのをお話ししていこうと思います。まず、前提として私はポエトリーやJ-POPについての音楽的知識があまりありません。なので、言ってしまえば感覚的な解釈になってしまっているところはお許しください。

当店を利用してくださっている方なら、うちの品揃えがかなり偏りのあるラインナップだとご存知だと思うのですが、J-POPアーティストの作品を仕入れるのは実は初めてです。私自身が、日本語の歌詞が苦手だとこの後に及んで言い続けているのですが、そういう”苦手”だとか”J-POP”だからとかいうカテゴリー付けを吹っ飛ばしてくれるようなアーティストに出会えた時は、聴く&仕入れます。また、私は毎日Bandcampでdigるのですが、いろいろなdigりかたがあって、そのひとつにジャンルのタグというのがあります。 #JPOPとか、#INDIEPOPとか そういうのですね。で、春ねむりさんの作品がリリースされたりするとそのタグのランキングみたいなもので急上昇してくるんです。

私の一方的片思いなMagdalena Bayもいますね。Mag Bayのレコード、当店では売り切れていますが、こちらはPre-Orderのようです。さて、話を戻すと、この画像に出ているタグは #POP で、ここでは#POPタグが付いているアーティストのページが表示されています。最初は、HARU NEMURI…??日本のアーティストなのかな?とか思いながら曲を聴いたりSNSをフォローしていくうちに、ああ、このアーティストが目指しているのは普通のJ-POPじゃあないんだな…!と気づく。商品レビューにも書いたのですが、彼女が発信していることって、例えば普通なら恥ずかしがって言わないような愛のこととか、思っていても実際に言葉にするひとは少ない世界平和のこと。そして、一番重要だと感じたのはフェミニズム的思想のこと。フェミニズムってなにも女性のためだけじゃないんだけど、あまりに女性は生き辛い。声に出すことすら憚られるようなこの日本という社会の中でメッセージを発し続ける春さんに、同じ女性ジェンダーとして敬意を伝えたい。Indie Pop系の海外アーティストでGrimesやyeuleとか、Helena Deland(デュオだけどもフェミニズム思想をテーマとしたユニット、hildegardも。)などのバンドもデュオでもなくソロのアーティストとしての表現者という意味で、そういう文脈も感じた(本人は公言してないと思う)。TwitterのプロフィールにはRIOT GRRRLと書かれていたり、実際にはパンク的文脈があるのだと思うけど、あえて私はこちらからの側面で解釈しています。たしかSXSWの紹介文には”Alternative J-POP artist”と表現されていて、そういうことか!とめちゃくちゃ納得した記憶があります。そして、ここの表示されている『春と修羅』が再プレス(5th Press!!!)されていることを知り、フランスのSpecific Recordingsからレコードを仕入れました。

インディーポップやインディーロックを愛する人なら誰でも知っている(私がそう思うだけ? )KEXPのDJ、Cheryl Watersさんとのインタビュー映像やKEXP HOMEでの出演、そしてSXSW2021のベスト・アクトの一人に選ばれているという非常にグローバルな評価をされているアーティストっていうのも取り扱おうと思った理由のひとつです。音源を仕入れるということに対して、ここまでの理由付けなんて要らないのかもしれないけど、意味のない仕入れはしたくないし、お客さんにも、こういうことで私が興味を持ち、好きになったアーティストなんですよってことはこれからも提示していきたい。(最後の1曲が『春と修羅』収録曲の”Haru to Shura”となります。)

とはいえ、今回入荷したものは2018年作ということで、2022年の現在ではサウンド面でも違ったアプローチがされています。どんどん更新している感じがすごい。2020年にリリースされた『Lovetheism』のこの曲とMVも好きです。”愛よりたしかなものなんてない”という直球なフレーズ、一度聞いたら忘れられないんだけど春ねむりさんだからこその言葉なんだと思う。普段、洋楽ばかりを聴いている自分としては、初めて聴いた時の衝撃は大きく、比喩表現を使うでもなく、英語のフレーズに置き換えるわけでもない大胆さに(いい意味で)クラクラした。

そして2022年。春には新作アルバム『春火燎原』のリリースも控えているということで、引き続きチェックして行きたい。なんでも21曲も収録されるそうで、いまからリリースがとっても楽しみ。

最後に、タイムリーな話題ですが春ねむりさんは現在北米ツアー中です。以前から、海外での活動を積極的にされているのは本当にすごいことだし、そういった外に向けた活動も含めもっと日本の音楽リスナーたちにも知ってもらいたいし聴いてもらいたいなと強く思います。

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