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2022J1第28節 FC東京vs横浜F・マリノス プレビュー 〜Fireworks~

大学院生の赤松先輩と20歳の青人は同じフットサルサークルの先輩後輩。
マリサポの同志である2人は、会うといつもマリノスの話をする。

【プロローグ】


赤松:
おう、青人!夏休み楽しんでるか?

青人:
それが、、先週とか体調崩して寝込んでました。

赤松:
え、俺もだわw

青人:
まじすかw

赤松:
こないだ神宮の花火大会あったじゃん?

青人:
あー、土砂降りの花火大会だ。

赤松:
そうそう。あれ見に行ってたんだけど、傘忘れちゃってさ。

青人:
うわぁ、、

赤松:
雨除けは「神宮花火大会」って書かれたうちわだけ、、
終わったあと紙がてろてろになってたよ。

青人:
てろてろw

赤松:
さすがに風邪ひいたわ。

青人:
なるほど。僕は普通に夏風邪ですねぇ。
なんか、いまマリノス調子悪いじゃないですか。

赤松:
まあ、4連敗中だし。

青人:
そういうの身体に出るんだなって思いましたw

赤松:
わかる。同期してるのよな。

青人:
そうなんです。マリノスが調子悪いと自分も具合悪くなる、みたいな。
ありますよね!

赤松:
サポーターあるあるだと思うw

青人:
でも試合がない週で良かったですよ。
ちゃんと再開に合わせて快復したんでね。

赤松:
都合いいよなw

青人:
ほんとにw
てなわけで切り替えましょう!

赤松:
そうだな。今4連敗中って現実を忘れようとしている自分がいる、、

青人:
ほんとですよ!クラブがクラブなら監督解任かもしれませんから!

赤松:
うわっ、他のクラブをディスってるだろw
良くないなぁ。

青人:
ディスってないw
とにかく!今回の相手は東京です。

赤松:
いま7位だっけ?東京は。

青人:
ですね。直近だと、あの広島・柏にアウェイで勝ったんですけど、ホームで清水に負けたりとか、、
でもあの2チームにアウェイで勝てたのすごくないですか?

赤松:
すごいよね。特に広島戦は、マリノスとも浅からぬ関係があったと思ってる。

青人:
どういうことですか?

赤松:
広島vs東京が開催されたのは7/30。その4日後には何があった?

青人:
あっ、マリノスとのルヴァンカップ準々決勝の1st legだ!

赤松:
そうそう。

青人:
ってことは、マリノスが広島とやる直前に行われた試合だったってことですよね。どうでした?

赤松:
東京は、流動的なポジションチェンジを織り交ぜつつ、広島を押し込むことに成功してたよ。特に前半ね。

青人:
なるほど。広島相手に上手く戦えていたんですね?

赤松:
うん。象徴的なのは、左ウイングに入った三田。
松木、バングーナガンデ佳史扶らとポジションチェンジを繰り返しつつ、距離感近いポジションを取っていて、彼の良さがすごく出ていると思ったな。

青人:
東京の左ウイングってやっぱアダイウトンのイメージが強いですね。

赤松:
そう!アダイウトンの話はあとできっちりするとして、この三田のウイング起用は、広島戦で吉尾海夏を左ウイングに抜擢したヒントだったんじゃないかなと。

青人:
まあ、左利きのテクニシャンタイプを左ウイングに置くってところは似てますね。
でもそれだけじゃないんですか?

赤松:
んとね、それだけじゃないと思ってて。
そもそも7月のホームゲームでマリノスが広島を3-0で下した試合で、広島のオールコートマンツーのプレスに対して何をやっていたかというと、主に高丘→レオセアラのロングボールが主軸だったよね。

青人:
たしかにそうでした。
でも実際ピンチも多かったですよね?

赤松:
そうなんだよ。広島に回収されたあと、かなり押し込まれたし、そもそも自陣からなかなか脱出できなかった。それでも持ち前の選手層を活かして、後半から仲川・宮市の投入を契機に、強引に勝利を奪い取った。

青人:
広島のオールコートマンツーって、かなりリスクも孕むじゃないですか?
結局後ろを同数にして守るわけだから、例えばスピード勝負を持ち込まれたら、分が悪かったりしますし。

赤松:
そう。ここで言いたいのは、すごく苦労はしたけど、マリノスが確実に広島に対して優位に立てる武器を示したのも7月のゲームだった。スピードという武器をね。

青人:
たしかにそうですね!

赤松:
ところが、7月末の宮市負傷や真夏の連戦という要素を鑑みて、ルヴァンの広島戦で同じ攻め方をするのが難しくなったという背景もあって、ケヴィンはやり方を大きく変えてきたよね。

青人:
吉尾海夏と水沼宏太をウイングに置いて、レオセアラをトップに。
たしかに、スピードを前面に押し出した戦い方ではなかったですね。

赤松:
そう。そこの変化を加えたヒントが東京にあったんじゃないかなって思ってる。
例えば右SBの長友が内側に入ってボールを受けるとか、エッセンスとしてマリノスに近いものを取り入れつつ、広島のオールコートマンツーをいなしながらじわじわ前進して押し込む。

青人:
あー、ケヴィンがお手本にしたってことですか?

赤松:
うん。だから広島戦前半の東京のサッカーは、本来ケヴィンがやりたいサッカーに近かったんじゃないかなと。ちょうど打つ手に困っていたところで、いいヒントが転がっていた、みたいな。

青人:
そんなことありますかねぇw

赤松:
すごく邪推だよw
でも、もし勝てる土俵を見出したのなら、それに乗っかるのが自然かなと思うから、あくまで仮説レベルだけど、個人的にはそうだったんじゃないかなと。

青人:
たしかに興味深くはあります。マリノスの分析官に聞いてみたいですねw

赤松:
いいよ、こんな憶測は検証される必要ないw



【最近のFC東京】


青人:
なんか、広島の話をしてしまいましたけど、東京はどうですか?

赤松:
アルベル体制1年目だけど、だいぶ形は出来上がりつつあるんじゃないかな。

青人:
結構繋ぐの上手くなっていません?

赤松:
そうだね。現状在籍しているメンバーでやれることはやれていると思う。
ポジションの取り方然り、攻め方然り。ただ、そこから先に行けないもどかしさも感じるのよね。

青人:
どういうことですか?

赤松:
さっきも言ったように、ベクトルをずらすことであの広島にプレスをかけさせないことはできているし、相手を押し込むこともできる。でも、その形から思うように点が取れない。

青人:
狙い通りに点が取れないってことですかね?

赤松:
そうだね。このチームは、前線に入る選手の特徴によって攻め方が変わるんだけど、毎試合得点が計算できるのは、後半にアダイウトンを投入して、速攻志向が強まったとき。このあたりは、東京の選手たちも口々に言っているよ。

青人:
ほう。

赤松:
前から来てくれる相手には点が取れるけど、引いた相手から点が取れない。そこが今の課題だと。

青人:
なるほど。毎試合アダイウトンが投入されてからがフィーバータイムなんですね?

赤松:
まあそんなとこ。ただ、アルベル的にはあまり形へのこだわりはなさそう。
スペースが空く終盤にアダイウトンの良さが活きて、そこから点が取れるっていうのは紛れもなくこのチームの強さだし。

青人:
たしかに、究極割り切るとそう捉えられますよね。
やっぱりアルベルって哲学者タイプなんですか?

赤松:
うーん、哲学者タイプと勝負師タイプの両面あるかな。
例えば、清水戦の前半にアダイウトンをスタメンの右ウイングで使っていたんだけど、それはゆったりポゼッションの中にアダイウトンを組み込ませようとする意図も感じられたし。

青人:
今上手くいかないことはわかっているけど、あえてってことですか?

赤松:
そうそう!
一方で、相手の良さを徹底的に出させない勝負師な一面もある。
あまり相手の良さを利用して自分たちが上回る、みたいな戦い方はしない監督だなって印象はあるのよ。

青人:
なるほど。

赤松:
まあ1年目だし哲学者的な側面は必要だよ。実際、事あるごとにそういう趣旨のコメントも出しているしね。でも、アレだけを鵜呑みにしちゃいけないなとも思うんだよねw
結構パフォーマンス入ってるよ。

青人:
そうなんですねw
まあ試合見てると、ポゼッションのところとか上手いなって思いますし、成長はしているんでしょうね!監督の理不尽に応えながら。

赤松:
だからこそ、今の東京は本当に見ていて面白い。今後どんなチームになっていくのか、個人的に楽しみなんだ。

青人:
基本的にボールを保持することが根底にあるチームだと思うんですけど、具体的な特徴とかありますか?

赤松:
攻撃のスピードが前線の選手の特徴によるってとこはさっきも言ったね。ここ最近の傾向だと、前半はゆっくり、後半は速くって感じかな。
前半は、ゲームを壊さないことを軸に考えていて、逆に後半は、ゲームを動かそうとする。

青人:
現に、前半より後半の方が得失点ともに多いみたいですね。

赤松:
現状、木本と森重がセンターバックを務めているんだけど、両方とも正確なロングボールが蹴れる選手だから、いつでもアダイウトンにボールが届けられる体勢はできているのは強いね。

青人:
なるほど、やっぱりアダイウトンは恐怖だ、、

赤松:
逆にポゼッション志向の強い前半は、先述した木本・森重のセンターバックコンビを起点として色んな選手が降りて受けてを繰り返していく形。チームとして取りたいのは、DF-MFライン間かな。ここに入る選手は、固定されているわけじゃなさそうだけど、特に左サイドの場合は、ウイングポジションの選手が顔を出す傾向が強い。

青人:
こないだの柏戦だと、渡邊がよく顔を出していた記憶があります。

赤松:
そうそう。左IHの松木はビルドアップ時に降りて、左サイドバックのバングーナガンデ佳史扶は大外に位置するケースが多い。最近だと、三田や渡邊といった純粋なウインガータイプじゃない選手が左ウイング起用されているのは、気の利いた動きでライン間を取り、そこでボールを受けてゴールに向かうプレーが求められているからだと思う。

青人:
そこはある程度役割が固定されてるって感じでしょうかね。

赤松:
そうだね。

青人:
あと柏戦ではディエゴ・オリヴェイラが負傷したじゃないですか?
あれって影響ありそうですか?

赤松:
あると思うよ。
ディエゴの良さを活かすって考えたときに、本当はサイドに流れたりスペースがある状態を作ってあげたいのはある。だけど、彼はとても器用な選手だから、降りてポストプレーをすることで時間を作り、攻撃の起点になることができる。

青人:
本当になんでもできますよね。

赤松:
そうね。ディエゴの気の利いたポストプレーを起点に、中央から前進することもあるし、東京的には結構助けられていた部分があるんじゃないかなと思ってて。

青人:
それができなくなるってことですよね。

赤松:
そうそう。代わりに入るルイス・フェリッピは、もう少しゴールを奪うことに特化したタイプだから、ディエゴの代役として同じタスクをこなすのはきつそう。

青人:
となると、威力半減ですか?

赤松:
どうだろう。ディエゴが降りてボールを受ける分、最終局面の迫力が落ちてしまう一面もあるわけで、本当はルイス・フェリッピのようなタイプの選手が最前線に鎮座していた方が点は取れるのかもしれない。

青人:
たしかにそういう考え方もできるわけですね。
ディエゴって東京の絶対的な大黒柱だと思っていたので、結構意外でした。

赤松:
代わりに入る選手の特徴によってチームのサッカーが変わる。
もしかすると、それが劇的に良い方向に向かうかもしれない。

青人:
試されていそうですね。今の東京は。



【試合展開の予想】


青人:
さて、この試合はどうなりますかね?
そもそもマリノスはボールを握れそうですか?

赤松:
東京は保持がベースにあるけど、非保持も厭わないチーム。どっちでも良いんだと思う。
とにかく前半は、試合のテンポを下げたいと考えるんじゃないかな。

青人:
いつものことですね。ということは、ブロックでしょうか?

赤松:
4-3-3ベースで外切り中誘導のミドルブロックかな。ゾーン2からね。川崎と構造は似てると思ってもらえれば。

青人:
蘇る、忌まわしき記憶、、

赤松:
まあまあw
マリノスの左CB→エウベルへのパスコースを遮断しながらプレスをかけてくるところだよね、ポイントは。

青人:
どう迂回してエウベルにボールを届けるか、ですよね。

赤松:
基本的には、一度内側を経由する必要があるんだよ。

青人:
となると、ボランチが鍵になるんですかね?

赤松:
そうだね。まあ川崎戦の反省を活かすなら、前進を焦らないってことかなぁ。

青人:
それ思いました!無理に縦につけようとしたところを引っ掛けられてカウンター喰らってましたよね!

赤松:
そういうこと。東京としては、そうやって焦らずゆっくりパスコースを探させることによって、試合のテンポを下げることが狙いにあると思うんだよ。

青人:
なるほど、東京の術中にハマってしまうわけですね?

赤松:
うん。マリノスのセンターバックとボランチのところで時間を作らせて、でも前へは行かせない。すると、マリノスはペースダウンして試合全体のスピードがゆっくりになる。見てる側としては、停滞感があるかもしれないね。

青人:
それってマリノス的には良くないんじゃ、、?

赤松:
そこがいま試されてる。だけど、今マリノスが取り組んでいるのは、まさにそこに対する解決策だよね。
ゾーン2からゾーン3への移行の部分で、どうやって相手を押し込む構図に持っていくか。

青人:
2週間のインターバルで準備してきたこと、その成果がこの試合で出るわけですね?

赤松:
そういうこと!
また新しいトリコロールが見れるかもしれない。
だからこの試合は楽しみなんだ。



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