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2022J1第20節 横浜F・マリノスvsサンフレッチェ広島 プレビュー 〜Tricolore Strikes Back~

大学院生の赤松先輩と20歳の青人は同じフットサルサークルの先輩後輩。
マリサポの同志である2人は、会うといつもマリノスの話をする。

【プロローグ】


青人:
5連勝ですよ!!

赤松:
いい試合だったなぁ!

青人:
結果的には勝てて良かったんですけど、ちょっと気になるところがありまして。

赤松:
おうおう、どうしたんだ?

青人:
3失点要らなくないすか?

赤松:
まあ、要らないw

青人:
失点もそうですし、後半かなり劣勢になったじゃないですか。
あれなんとかならなかったのかなぁと思いまして。

赤松:
失点シーンはともかく、後半の劣勢はどうにもならなかったかな。
4点目を決めて試合をほぼ手中に収めたことが逆に難しくした感じはあるんだよ。

青人:
どういうことですか?

赤松:
特にレオとエウベルのところで、4点目が入った直後から運動量がガクッと落ちて、そこを清水に使われ始めていた。要は、プレスの強度が落ちた。

青人:
安心してサボってたってことですか?

赤松:
いや、そうではない。「うさぎと亀」とは違うよ!

青人:
だって、プレスを頑張っていかなくなったってことじゃないんですか?

赤松:
んとね、意図的じゃないのがこの問題の難しいところ。

青人:
意図的じゃない、、身体が動かない的なことですか?

赤松:
まあそんな感じ。点差を広げたことへの安堵があって、無意識的にどうしても緩んでしまうことって人間誰しもあると思ってて。
張りつめていたものがピンと切れた瞬間にアドレナリンが出なくなるというか。

青人:
見ている側にはなかなか伝わらないけど、そういうのあるんですかね。

赤松:
サッカーやってて感じない?
同じ90分でもすげえきつい試合とあっという間に終わっちゃう試合がある。

青人:
あーそれはありますね。

赤松:
医学的なことはわからないけど、その時の状況とか精神状態によってキツさが変わってくる。

青人:
昔なんかのインタビューで、大差をつけて勝ってる試合は結構体力的にしんどいって誰かが言ってて。そういうことなんですかね?

赤松:
それありそうだな。しかも夜とはいえ灼熱のピッチだし、平時より輪をかけてしんどかったのかも。

青人:
現地で見ていた身からすると、サウナ状態だったんで。

赤松:
ほんとだよな。それでまあ劣勢だったところでどう対処するのかなぁって見てたら、ケヴィンが選択したのは前線3枚替えでプレスの強度を維持することだったね。

青人:
あの交代で落ち着きましたね。

赤松:
でも、あの交代の意味はただ落ち着かせるためではなくて、ちゃんと攻めの姿勢は貫いていた。

青人:
ただプレスの強度を維持することだけじゃないってことですか?

赤松:
そう。ウイングを水沼&エウベルから仲川&宮市にすることで、攻撃の仕方が変わる。前者は前半のように相手を押し込んだ状況で活きるし、後者はよりスペースがある状況で速く攻めるのに向いたユニット。

青人:
その違いはパイセンが今までも言ってたことなんで心得ています。

赤松:
ずっと言ってるもんなw
あの時間帯、清水が前へ出てきていて、押し込むことが難しくなっていたんだよ。そこでケヴィンは、押し込むための修正を施すんじゃなくて、押し込めない状況を許容しつつ、清水の背後のスペースを使った速い攻撃に舵を切った。

青人:
なるほど。諦めが良いというか、、w

赤松:
見方によってはそうなるねw
結果的に清水に一方的にボールを持たれる構図は避けられたし、槍をチラつかせながら時間を進めることができた。
正直、状況に応じたマイナーチェンジって部分でマリノスが1枚上手だったなと後半の攻防を見ていて感じたよ。

青人:
たしかに。ヒヤヒヤして見てましたけど、実はちゃんと地に足つけて戦えていたってことですかね。

赤松:
そう思う!この勢いのまま次も、、ね!

青人:
さあ、やってきましたよ。前半戦のリベンジマッチ、広島戦です。

赤松:
勝たなきゃいけない。

青人:
広島は現在4位ですね。スキッベ監督1年目からしっかり結果残してるのすごくないですか?

赤松:
すごいよ。ハーフシーズンにしてもう型が出来ている。
これからどうなるかも含めて楽しみなチームだよね。



【最近のサンフレッチェ広島】


青人:
さて、そんな広島をどう見てますか?

赤松:
敵陣でプレーしたい志向は強いよね。だけど、ボール保持/非保持のこだわりはなさそう。というか、両方ともやれるチームなんだわw

青人:
僕はやっぱり4月の試合でボコられた印象が強くて、、あの時はオールコートマンツーのプレスにやられましたね。

赤松:
じゃあ青人は非保持のイメージが強いのかな?

青人:
そうですね。

赤松:
なるほど。たしかにあのプレスは強烈だった。それは前線のチェイスの鋭さはもちろんだけど、後ろを支える3バックの強靭さが背景にあるかなと。

青人:
佐々木と荒木と、あのときは野上でしたね。今は塩谷が右のセンターバックに入ってるみたいですが。

赤松:
そうね。マリノスの前線と同数の局面になっても守れてしまうほどの強さ。正直、他のチームだったらそこ避けたがるんだけどねw

青人:
彼らはお構いなしってことですねw

赤松:
うん。そこは広島の強みだし、それをわかってやってきている。相当な自信を持ってるんだろう。

青人:
でも、オールコートマンツーの弱点って、同数になったらやばいってとこじゃないですか。そこで守れるのであれば、もはや弱点などないのでは?

赤松:
盤面上はそうだけど、実際これってかなりハイカロリーな戦術なんだよね。特に広島は基本的にメンバーを固定して戦っているんだけど、オールコートマンツーをやり続けるのは難しいんだよ。鬼ごっこでずーっと鬼をやってるみたいなもんだからw

青人:
わかりやすい喩え!なるほど、特にこの暑さですしね。

赤松:
そうそう。だから、相手のゴールキック等いわゆるゾーン1のビルドアップに対して猛烈に襲い掛かるのは今まで通りだけど、ゾーン2に移行した段階で5-4-1のブロックに切り替える。ここまで運ばれたらわりと潔くブロックに移行するんだ。

青人:
あ、そうなんですね!
5-4-1で構えるってとこはスキッベ以前の広島に近いんですかね!

赤松:
まあ近いかもしれない。根底にあるのは、全レーンを封鎖したいっていう思考かなと。4月対戦時のマリノスはなかなかそこまで到達できなかったから、見えてこなかった部分ではある。

青人:
でも広島のブロックって堅いイメージがあります。

赤松:
まあ人数かけて守るし、あとやっぱり3バックがクロスに対して強いとか含めて、中だけでなく外からの攻撃にも対応できるってとこだよね。

青人:
ですねぇ、、

赤松:
でも磐田がトライしたことは面白かった。1トップに大森を置いてゼロトップっぽくしていたんだけど、中間ポジションを取りつつ、距離感を近くして広島のプレスを空転させて、、っていうのをやってた。

青人:
撤退させるとこはできたんですね!

赤松:
そう。ベースはそれで、時にはロングボールを使って前後分断→セカンドボール奪取から二次攻撃にも繋げていたし。

青人:
長短織り交ぜて、ですか!

赤松:
そう。その前のガンバ戦でも顕著だったのは、セカンドボールのところ。直近の試合で、ここを拾いきれていないのは気になってる。

青人:
それってなんでなんですかね?

赤松:
一つじゃないと思うわ。この灼熱の気候による運動量低下とか連戦の中でもメンバーを固定している影響とか、色々考えられる。

青人:
なるほど、ありそうです。

赤松:
ただ、そんななかでも目立つのは満田誠なんよ。1人だけ全然落ちてない。まあポジションの関係で守備時のセカンドボール回収合戦には加われないけど、すでにこのチームを引っ張る存在だよ。

青人:
すげえ走ってますよね、、

赤松:
すげえ走ってるよw
チームとしてもその運動量を存分に活かそうって狙いが見える。特に保持のところでね。

青人:
そうだ、広島は非保持だけじゃないんですよね!
保持はどうなんですか?

赤松:
4月対戦時は、左で作って右で刺すのがお決まりのパターンだった。だけど、今はそこから進化を遂げていて、右からも作れるようになっている。開幕当初ボランチで使われていた塩谷が右のCBをやってるのはそこが狙いかなと思ってる。

青人:
狙いというのは?

赤松:
要は、右からも作りたいってところ。右は塩谷と森島のところでボールを前へ運べるし、左はもう少し人数をかけて東、満田、佐々木で作る。

青人:
なるほど、左右で作れるってのはそういうことなんですね!
さっき満田を活かしたいって言ってましたけど、この文脈に当てはめるとどういうことなんですか?

赤松:
走れるヤツにはスペースを与えろってとこかな。左サイドのローテーションで言うと、ウイングバックの東がやや低い立ち位置を取ってビルドアップのサポートをする。ここはあまり上下動をしない。

青人:
ほう、、

赤松:
一方で、満田はサイドに開く、降りてビルドアップをサポートする、裏抜けするなど、広く顔を出して攻撃を活性化させる。

青人:
でもそれって、出ていった先のスペースに他の選手がいれば良くないですか?
満田に重労働させる必要がない気がして。

赤松:
チームとして、なるべく多くの局面で満田が関わった方が強みが出るからだよ。彼が持ってるクオリティは凄まじい。パスありドリブルありシュートあり。それに値する選手じゃないとこの役目を負わせるメリットがなくなってしまうから、チーム内の評価はかなり高いと思う。

青人:
なるほど、そういうことですか。
で、今はそれに値する活躍をしてるってことですよね?

赤松:
うん、点も取れるしね。

青人:
パイセンの評価めっちゃ高いすねw

赤松:
バレた?

青人:
だって1人の選手のことをそんなに熱込めて語ることなかなかないじゃないですかw

赤松:
お前はほんっとに嫌な後輩だw



【試合展開の予想】


青人:
広島かなり強そうですけど、マリノスはどう戦いますかね?

赤松:
まず第一段階として、ゾーン2に入ることだよね。前回対戦時はこれができなかったんだから。これくらいはまじ頼むわって感じw

青人:
まあ、それができなきゃ今回も死ですよねw
同じ相手に二度同じ負け方をするなどあってはならない。

赤松:
ポイントは高丘。どういう経路を辿るとしても、彼のところで数的優位は作れるわけだから、あとは各自で中間ポジションを取りながら繋いでいきましょうと。

青人:
レオを目がけて蹴るじゃダメなんですかね?

赤松:
見せ球としてありだと思うけど、跳ね返された後の広島のカウンターは鋭いから、リスクになりかねないんだよなぁ。いくらノリノリのレオセアラでも、対面が荒木じゃ分が悪いだろうし。背負えないと思う。

青人:
でも低い位置で奪われるよりはマシだと、、

赤松:
もちろんそうよ。まあ後半どうにもならない状況であれば迷わずロングボール使いながらスピーディーに仕掛けていくと思うけど、前半は慎重に入る気がする。

青人:
ここは注目ですね!マリノスのボールの動かし方!

赤松:
だね!
あとはまあ、仮にゾーン2まで行けたときかな。ポイントになるのは。

青人:
広島の5-4-1ブロックをどう攻略するかってとこですね?

赤松:
そう。ここは5バック攻略の定石である「引きつけて裏」をやり続ければどこかでラインブレイクできるだろうし、攻略することは可能だと思う。広島の3バックは前に強いタイプで、結構食いつきやすいしね。

青人:
その習性を利用するってわけですね?

赤松:
うん。ただ、マリノス的にも奪われた後のことは念頭に置かなくちゃいけない。このカウンターで警戒すべきは藤井智也。長い距離を走れて、なおかつめちゃくちゃ速い。

青人:
右ウイングバックですよね、藤井って。
たしかにカウンターで走られると怖いイメージありますわ。

赤松:
まさに。とにかく藤井に長い距離を走られたくないし、スペースを与えたくない。だから、彼にはなるべく守備をさせたい。例えば意図的に広島の右サイド(マリノスの左サイド)に密集を作るとか、そういう工夫が必要かなと。

青人:
なるほど、藤井にスペースを与えないってことですね。

赤松:
そうそう。その状況であれば、奪われてもスペースがないから藤井が活きない状況を作り出せるし、即時奪回もできて「一生俺らのターン」ができる。

青人:
清水戦の前半みたいな構図に持ち込めるってことですね!それならなんとか勝てるかも!

赤松:
決して今のマリノスが勝てない相手ではないよ!
あとは来たチャンスをしっかりモノにできるか。いつも以上に細部に気をつかうべき試合になるはず!

青人:
「トリコロールの逆襲」が見たいです!
勝ちましょう!!



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