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【シン・マテウス】ヤン・マテウスのプレー分析!マリノスで期待される役割とは?

こんにちは!ロッドです!

さあ、悲願の2022シーズン優勝に向けたラストピースとなる男が来てくれました!

そんなわけで今回は、新加入ブラジル人アタッカー、ヤン・マテウスの紹介記事です。
彼のポルトガル時代のゲームを3~4試合見ることができたので、そこで感じたことを述べたうえで、彼がマリノスでどんなプレーを見せてくれるのか、解像度の高い妄想にお付き合いください。

その後、彼の特徴をふまえて今回マリノスが獲得に至った経緯を純度100%邪推で書いています。

では、さっそく始めます。



【ヤン・マテウス基本情報】

名前:ヤン・マテウス
生年月日:1998年9月4日生(23歳)
国籍:ブラジル
身長:175cm
ポジション:RW/LW/CAM



【モレイレンセってどんなチーム?】


チームありきで個がある。
個を見るときはチームから。

よって、まずは彼が昨季まで所属していたポルトガルリーグ1部のモレイレンセがどんなチームだったのかをざっくり説明していく。

2021-22シーズンのモレイレンセは、非常に守備的なサッカーを展開していた。システムは5-4-1や4-2-3-1を使用するが、とにかく守備に重きを置いたチーム。自陣深くにブロックを形成し、人数をかけて守る。

ボールの奪いどころは、DF-MFライン間をコンパクトに設定し、囲んで奪う。

しかし、ボールを奪いに行くことができず、ズルズル下がってしまうシーンが散見される。


(正直、人数はかけるがあまり良い守備とは…w)


逆に攻撃は、ロングカウンターが中心。
最前線に長身のストライカーを置き、ボールを収め、全体の押し上げを促す。そこからテクニックのあるチャンスメイカーがボールを運ぶ。
崩しの局面では、クロスによる攻撃を軸としていた。

モレイレンセの攻守の特徴はざっくりこんな感じ。いわゆる弱者のサッカーといって差し支えないだろう。
無理もない。ポルトガル1部には、あのポルト、ベンフィカ、スポルティングなど、欧州全土にその名を轟かす強豪がいるのだから。

結果的に、チームは16/18位で2部降格
最終的には、昇降格プレーオフに敗れる形で降格が決まった。
34試合で33得点51失点と、降格チームにありがちなスタッツである。



【ヤンが負っていた役割とプレーの特徴】


基本スタッツとしては、31/34試合出場で6ゴール4アシスト
残留争いを闘ったチームにあっては、明らかにキープレイヤーである。

ここでは、チームでヤンが負っていた役割を攻守に分けて整理する。


~①守備~

まず目を引くのは、プレスバックを怠らない姿勢とスペース管理である。
守備的なチームであるために、定位置確保には必須条件となるが、ヤンはこのタスクを見事にこなしていた。

サイドで相手チームがボールを持ったとき、ウイングバックと連携を取りながら、マンツーマンベースで相手を捕まえることはやっていた。
つまり、サイドハーフとして求められる最低限の人を捕まえる守備は卒なくこなせる。

帰陣も早く、献身性の高い選手なのだ。


~②攻撃~

このチームでヤンが求められたのは、ロングカウンターを成功に導くチャンスメイクである。
例えば、相手のプレスを独力で1~2枚を剥がし、逆サイドに展開したり、精度の高い左足のキックでクロスをあげてチャンスメイクを行うなど、このチームでヤンにしかできないクオリティを発揮していた。

私がとりわけ目を引かれたのは、プレースキックを任されるキック精度もさることながら、相手のプレスを剥がす際のクイックネスと味方を活かすプレーである。

先に言っておくが、彼は、圧倒的なスピードで長い距離を独力で持ち運ぶタイプではない。我々がよく知っているマテウスとは全く違う。

ボールを持ったとき、かなり周囲の状況が見えており、味方を使いながらボールを前に進めることができる。相手のベクトルを折るターン・切り返しを織り交ぜながら味方に確実にパスを付けて、自身が駆け上がって再びパスを受ける。

よって、できるだけ味方と近い距離でプレーさせた方がヤンの強みは発揮されると考える。

また彼は、フリーランを惜しまず繰り返せる選手である。
チャンス時のゴール前への侵入はもちろん、それ以外のボールを持っていない局面でも、裏抜け等を欠かさない。

よく走り、そして並はずれたテクニックの持ち主であることがおわかりいただけたのではないだろうか。



【マリノスで期待される役割】


では、ヤンがマリノスに何をもたらしてくれるのか、解像度の高い妄想をしてみる。

はじめにキッパリと言っておくが、宮市亮の代わりではない

ポジションは、基本的には右ウイングになるだろう。場合によっては、左ウイングやトップ下での起用も考えられるが。

過去を含め、マリノスには様々なタイプのウイングがいる。そのなかでヤンに当てはまるのは、エウベルや水沼宏太のようなチャンスメイカー的な色が強いウイングである。
一方で、前田大然のように年間15〜20点取るようなウイングストライカーでないことは記しておきたい。

マリノスでは、前所属のモレイレンセよりもはるかにゴールに近い位置でのプレー回数が増える。
したがって、これまでよりはるかにゴールに直結するプレーが期待される。

例えば、対面のサイドバックとの1on1から縦突破してクロスや、カットインからのチャンスメイクである。ヤンは、カットインをチラつかせながら縦突破するドリブルも、逆足(右足)の精度の高いクロスも武器として有している。味方とのパス交換から狭いスペースを突破することもやってのける素養はありそう。

妄想は尽きないが、攻撃の幅はまた拡がりそうだ。



【完全邪推・なぜヤン・マテウスの獲得に至ったのか】


なぜマリノスは、ヤン・マテウスの獲得に至ったのか。
2つの理由で推察してみる。

1つ目は、「2022シーズンの編成方針」である。

大前提として、2022マリノスの編成方針は、各ポジションの多様性にある。
特徴の異なる選手を同一ポジションに揃え、対戦相手や状況によって異なるチームの色が出る。

ハーフシーズンを終えて、この編成方針の成果は、我々傍観者にも明らかになってきている。試合を見ていると、交代策やターンオーバーを行うなかで、選手の入れ替えによってチームの戦術が変わる現象がしばしば見受けられる。

今回のヤン・マテウスの獲得も、この編成方針に基づいている。
たしかに現状マリノスには、4人のウイングがいる。

エウベル、水沼宏太、仲川輝人、宮市亮。

このリーグでも屈指の実力者4人であるが、これをただの4枚の駒として見るべきではない。

すでに、右ウイングには仲川と水沼がいるが、そういう話ではない。

むしろ、右ウイングに左利きでカットインできるタイプの選手がいないから獲得する。そのように捉えると、ヤン・マテウスを獲得する意味は自ずと見えてくる。


2つ目は、現状のマリノスの課題「エウベル不在時の押し込み攻撃の成否」である。

そもそもケヴィンは、相手を敵陣深くに押し込んで攻撃するサッカーを強く志向している。3年以上マリノスを見ている方は、2019シーズン後半と現在との攻撃方法の変化に気づいているかと思うが、その変化の正体は、ケヴィンが志向するサッカーにある。

押し込み攻撃のメリットとして、自陣ゴールから相手を遠ざけることによるリスク回避人数をかけた分厚いアタックが可能な点が挙げられるが、6~7月の連勝劇は、この押し込み攻撃が功を奏したといっても過言ではない。

そして現状この押し込み攻撃のキープレイヤーがエウベルである。

特に、サイドからエウベルが行うカットインドリブル。これによって、①相手のDFラインを下げ、②味方が敵陣に入っていく時間が作れる。

右サイドで水沼宏太がボールを持ったときに繰り出されるクロスは、マリノスの大きな武器だが、その前段階でのエウベルのカットインドリブルの有無では、その威力が全く変わってくる。なぜなら、①によって水沼宏太がボールを持つ位置・状況に影響を与え、②によってボックス内に入るマリノスの選手の数が変わるからだ。

ここでは、他の様々なファクターを省いて分かりやすい部分のみを抜粋して記述しているが、現状のマリノスのメカニズムはざっくり言うとこうなる。
しかし、対策が進み、前進ルートの制限を受けるなかで、エウベルと水沼宏太の固定ユニットは、事実上の解体となった。
しかし、依然としてエウベルの存在感は、マリノスの攻撃陣の中では際立っている。

ここに一石を投じるのがヤン・マテウスである。

まだ読めない部分はあるものの、例えばヤンがエウベルと同様、カットインドリブルによる押し込み攻撃のキーマンとしての役割を果たすことができるかどうか。もし右サイドからも相手のDFラインを下げさせ、味方が押し上げる時間を作ることができれば、エウベル不在時でも右サイドを前進ルートとして設計し、押し込み攻撃ができる。

逆に、そのキック精度を活かして、右サイドからカットインクロスもしくは縦に突破してのクロスなど、よりゴールに直結するチャンスメイクもこなせるかもしれない。
水沼宏太が右足を振らせてもらえない対策に苦しんでいる現状と照らして考えても、ここで左右両足を警戒させるような選手を獲得することには、大きな意味がある。

とにかく最終盤の優勝争いに向けて、新たなオプションが求められるタイミングである。
ウイングポジションに状況の打破を求めるのならば、エウベル&水沼、宮市&仲川と、直近の試合で固定化されていたウイングのユニットの再構築も可能性として残されており、そこにヤンを組み込むことで、チームの幅がさらに拡がることも想定される。

参照:8/7川崎戦後の振り返りツイート



【さいごに】


最後に、モレイレンセの試合をいくつか見るなかで、ヤン・マテウスのキャラクターが窺い知れる一幕を見ることができたので、ここに記しておきたい。

先述した通り、2021-22シーズンにモレイレンセが迎えた結末は、18チーム中16位という悲劇だった。

最終節の一つ前、第33節。
1点ビハインドという状況下で残留に向けて猛攻を仕掛けるモレイレンセ。この試合で負ければ降格圏の16位以下が決定する。(正確には、16位が昇降格プレーオフ行き、17〜18位が自動降格)

後半アディショナルタイムを迎えたところで、モレイレンセがPKを獲得する。
キッカーは、この試合で途中出場していたヤン・マテウス。

チームの1部残留or2部降格が決まる大事なPKキッカーに名乗りを上げたヤン。

その渾身の一振りは、相手GKの逆を突き、ゴール左上へ。

しかし、ボールはポストを直撃。

直後にチームの降格決定を告げるホイッスルが鳴る。
ユニフォームで顔を覆い、うなだれるヤンの姿がそこにはあった。

私は、23歳という若さでチームの運命を決するPKを蹴る勇気に感服し、同時にこの若武者には、次のチャレンジで絶対に報われてほしいと心から思った。


そして迎える此度のマリノス移籍。昨シーズン、降格という悲劇を味わった彼にとって、新たなチャレンジとなる。

それを全身全霊で応援できることが幸せだ。
マリサポ全員で温かく迎え、そして心からの声援を届けようではないか。







あと彼、ロングスロー投げるから。



Fin.

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