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僕が関係していたリテールビジネス(飲食、服飾、雑貨、書店)等は、国を問わず「ロケーション!ロケーション!ロケーション!」と言われてきた。何を差し置いても、良いロケーションを獲得することが成功の必須条件という意味である。

今世紀に入り、WEBによるイノベーションやライフスタイルの変化で実店舗の持つ意味が大きく変わって来てはいるが、リテールビジネスに関してはやはりロケーションが業績に与える影響は甚大である。
業態にもよるが、一般的には視認性、店前通行量、間口の長さ、パーキングの有無等がその条件である。

それらと同じくらい重要なのが、そのロケーション周辺のデモグラフィックスである。これはマーケティングで使われる概念で、米国で発達している。年齢、性別、世帯、学歴、職業、収入といった観点でそのエリア、市場ごとの大まかな特徴を捉える統計的手法。

上記の諸要素を駆使して某ハンバーガーチェーンは重回帰分析モデルを築き、それを元に新店候補ロケーションの売上予測をしているそうだ。僕はそこまで出来なかったが、最低3度は曜日や時間帯を変えて視察し、歩いている人々のファッション感度からライバル店の客層チェックも行った。そして最後は直感!

良いロケーションが手に入ると、売上が安定的に高く推移し、経費コントロールもしやすくなる。多少家賃比率が高くとも、十分な利益額を確保できる。ただ、良い物件はあらゆる業態のライバル達と取り合いになるので、そう簡単にはゲット出来ない。

“BAGEL&BAGEL”の起業時にも、最も苦労したのが候補地探しだった。資金調達以上に苦労した。ブランドを確立できてからは出店誘致もしてもらえる様になったが、それでもハードルは決して低くはなかった。

ロケーション選択を誤ると、その後が辛い。家賃は固定費であり、契約してしまうとPLにデーンと腰を据えてしまう。

思う様に売上が伸びないと、結果的に経費削減に終始することになり、現場スタッフの士気も落ちてしまう。閉店となると、出店時ほどではないが大きなキャッシュアウトも生じる。

リテールに限らず、もし集客を前提とした施設型のビジネス(病院、塾、映画館等も)の起業を想定しているなら、ロケーション戦略は商品/サービス戦略と並ぶ2大重要ファクターといえよう。

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