<後編>気まぐれにまた無人島へ行ってきた
前編はこちら。
島の中で一番標高が高く、海を見渡せるところでしばらく休憩した。足が疲れていた。
4人組のおばさまたちが、ススキが綺麗ねぇとか、ずっとあなた友ヶ島行きたいって言ってたものねぇとか話していて、まるで高校の同級生同士のようにはしゃいでたのが良かった。
またある女性は一人で来島したらしく、ベンチに座って持参したおにぎりを黙々と食べていた。
一方その頃私はお腹を空かせていたが何も食べるものを持っていなかった。持ってきたら良かった。お腹空いた。でも、
頭上に数匹のトンビが常に旋回していた。もし食べ物を持っていたら、襲われて、食べ物を奪われ、それだけでは飽き足らず肉体もつつかれ、いつしか骨だけになり、砕けた骨が砂となり、誰にも気付かれず土になるか風に乗って海に散り、自然界に溶け込むという道を辿るかもしれないから、食べ物を持ってなくて良かったとも思った。
ある程度足を休めたら、また順路に沿って歩いて別の遺構を見にゆく。次に着いたのは第五砲台跡。
さっきの第三砲台跡よりもさらに劣化が進んでいるような見た目。規模も小さめか。そしてここにたどり着くまでにマジで人間と会っていない。
虫と私しかいない空間で、とりあえず目の前の異世界を切り取る。ここで働く人間がいたってことなんだよなぁ……。
ネットで検索したら出てくるような特定の場所の全体写真もいいけれど、現地を歩かないと撮れないものにズームアップして撮るのも好き。
この錆びたパイプが何なのかは正直分からないが、必要だったから設置されているのだろう。
先を急ごう。帰りの船に間に合うように帰らなければならない。
次にたどり着いたのは、第二砲台跡。ここは今まで見た砲台跡のなかで一番ロマン(?)があった。
一見、綺麗なレンガ造りの建物のように見えるが、
真っ二つに割れている。建物が。
読みづらいが、どうやら人工的に爆破された歴史があるらしい。
海を守りいざとなれば砲撃する目的をもって建てたはいいが、実際に戦争で使われることなく終わり、今後は誰も使わないように無理やり使えなくしたらしい。力技。
ドローン飛ばして上から見てみたいと思った。
もちろん人が出入りしないようにロープが張られているが、くぐるか跨ぐかすれば入れないこともない状態なのがまた……。
身を乗り出してズームレンズで写真を撮ると、台風などで飛んできたのであろう、漂流物らしきものが集まっていた。人の手で狙ってゴミを投げ入れるには難しい距離なので、本当に自然に溜まってしまったと思われる。
割と観光客が集まっていて安心した。
さあ、あともうひと踏ん張り!昼に差し掛かり、10月であるにも関わらず紫外線強めの日差し。カーディガンがめちゃくちゃ余計な荷物になっているが、歩きます。
最後に、灯台と第一砲台跡、東経135度線が近くにまとまっているところがあるので、そちらへ向かう。
着きました。
かなり歴史ある灯台で、今でも航海する船を助けています。感動するほど天気がいいです。
さっき第二砲台にいた人々はどこに行ったんですか。またこの空間に私だけ状態。独り占めを楽しみました。
最後に訪れた第一砲台跡は、立ち入り禁止でした。蜘蛛の巣がすごくて、こっそり入る気にもなりませんでした。遠目から眺めます。
東経135度と言えば兵庫県明石市を通っていることで有名ですが、この島にも通ってるんだな。新発見でした。
そして広がる海!水平線!美しすぎる!皆さんはどの青が好きですか。
以上で探索を終了。回れたのは島の半分だけ。もう少し体力と時間があれば、他の遺跡や池なども楽しめたのですが、船とHPに限りがあるので今日のところはおしまいです。
帰りながら、またシャッターを切ります。単焦点レンズ、背景がやわらかくボケるのが楽しくて、目に付いたものを何でも撮ってしまう。
もうすぐ島ともお別れ。あと30分で出港する時間に、無事戻ってこられました。
港のそばに「らぴゅカフェ」という、軽食とドリンクを楽しめる島唯一の食事処が。30分あるなら最終奥義・爆速食いを発揮して間に合いそうだったので、カレーを注文。
でこぼこ道を歩きっぱなしの3時間強だった上に朝から飲まず食わずで来ていたので、とにかくお腹がすいていた。出来上がりまで待つ。番号札は、1番。
5分ほど待って、
やった〜〜〜〜〜!!!!!
贅沢にレモンスカッシュまでセットに付けてしまいました。
この、めっちゃ歩いた上に、しかも天気のいい屋外で、やっとご飯にありつけた!っていうシチュエーションで食べるカレーめちゃくちゃ美味いです。
ぱくぱく食べ、ごくごく飲む。しゅわしゅわのレモンスカッシュが喉を刺激して通り抜けてゆく。
ドリンクの氷、飲食店でよくある業務用の立方体の氷じゃなくて、コンビニでカップとかで売っているロックアイスのような氷だった。なぜかそれだけでめちゃくちゃ幸せになる。
お腹が満たされ、気持ちも満足していたら、島に船が到着。乗り込む人の列に並んで乗船します。友ヶ島バイバ〜イ!
ノープランで来た割に、ものすごく有意義に過ごせたと思います。
今年の夏の台風で一部の道が通行止めになっていたので、工事が済んだら、今回歩けなかった道も歩いてみたいな。
加太に戻ってきた。最近、テレ東のドラマ『日常の絶景』を見たばかりだった影響もあって、クレーンや砂防の写真をついつい収めたくなっちゃう。
楽しかったなぁ〜!またふらりと出かけたい。私ってもしかして要塞好きなのかな?と新たな趣味の匂いを知った一人旅でした。
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