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<前編>気まぐれにまた無人島へ行ってきた

涼しくなったら散歩がしたいと思っていた。あてもなく電車に乗り、普段降りない駅で降りて、カメラを持って、歩きたい。

大阪の難波と和歌山とを繋ぐ南海線。南の果てにどんな町があるのか気になって、和歌山市駅から枝分かれしている加太(かだ)線の終着駅、加太駅に向かった。普段より1時間も早起きした。

あまりにウキウキしていたため、今から加太駅に行くねんと知り合いにLINEしたら、「友ヶ島に行くといいよ」と返信があった。加太から船で行ける無人島らしい。

そもそもあてのない旅なので、これはいい情報をもらった!と喜び、友ヶ島へ向かうことにした。

実は過去に、仕事のしすぎでグロッキーになり顔色が悪いと指摘されたので、健康的な顔色を取り戻すべく無人島に行った(?)ことがある。神奈川県は横須賀にある、猿島に赴いた時の記事はこちら。

今は別に顔色が悪いわけじゃないけど、何かの跡地に行くのは楽しいので行ってきました。

○○○

加太駅に到着したらさっそく、未踏の地のまったりした田舎感を浴びた。時間がゆっくり流れている。

ゆっくり歩こ〜と思いつつ、友ヶ島のフェリーの時刻を見たら、9時に第1便が出るようだ。ふ〜ん。今の時刻は8時45分。ここからフェリー乗り場までの所要時間は……徒歩で16分と表示された。ん?

時間、全然ゆっくり流れてなかった。

まだ涼しい時間なのに汗をかくくらい小走りして港へ向かうと、いよいよ出港するかというところ。係のおっちゃんが私を見るなり「乗るん?急いで!」とまくし立てた。

ぜぇぜぇ息を切らせながら乗船すると、もう既に時刻を守って出発を待つお客さんがざっと30人くらいいた。ああもう。ほんとごめんなさい。

轟音を立ててフェリーが島へ向かう。さっきかいた滝汗を乾かし、身体を冷やしにかかってくる海風。いい季節だな〜。

上陸。一日に4往復しかなく、最終の船は16時半に出港する。それまでに探索を終えて帰らなければ、リアルな「ここをキャンプ地とするッ!」状態に陥ってしまう。こえ〜。

さっそく地図を見ながら歩いてみることに。島の西半分に見どころのある遺構が集中しているようなので、そちらに向かって歩き始める。

なかなかの悪路。もちろん歩きやすい部類の島ではあるのだけれど、岩石がゴツゴツして自然界の足つぼマッサージか!と言いたくなる箇所も。ちょっと歩きにくい厚底のスニーカーで来てしまったことを後悔した。

蜘蛛がでかい。

一番メインの遺構に行く前に寄り道をして、探照燈跡に向かう。これまで多少あった人の気配というものが一切なく、ぞくぞくした。一緒の船に乗ってきて、さっきまで桟橋近くにいたたくさんの人はどこへ行ったんだ。

通っていいのか分からない(通った)。
送電線の跡だろうか。

私しかいない、電波も若干悪い、足の踏み場は全て落ち葉で覆われており、見たことない植物がわさわさと生えている。海の音も聞こえず、しんとする。

突然ガサガサッと音がして縮み上がり、辺りを見回すと、どうやら野生のリスが木の上を縦横無尽に駆け回っている様子。何匹ものリスを肉眼で見られたのは良かったが、動きが速くてカメラには収められなかった。

こちらが探照燈跡。写真では補正で明るく映っているが、実際はもっと暗い。一瞬でも立ち止まると、耳元で虫がぶんぶん言う。

探照燈はつまりサーチライトのことで、敵を探す役割を果たしていたのだという。砲台から離れたところにあるのは、砲台の場所をバレにくくするためだろうか。

次にたどり着いたのは、将校宿舎跡。要塞で働く人々が寝泊まりし、生活していたところだ。

壁が剥がれ落ちてボロボロ状態だが、かつては目的を持って建てられ、人が生活した跡地。時間をかけて朽ちたものには必ず長い年月がかかっているので、生で見ると鳥肌が立つ。ちょっとやそっとじゃこんな状態にならないから。

ここが収納っぽいな〜などと思いながら見学。

見たことない蝶

将校宿舎跡を通過してさらに奥へ進むと、いよいよ第三砲台跡である。

観光地として代表的な場所。

地下に潜れるので行ってみます。

暗く、足音が響く。懐中電灯を持っていないのでスマホのLEDライトで代用しようと照らしてみたが、光が弱くて使い物にならなかった。それくらい、暗い空間が広い。

遠くで明朗に喋るおばちゃんたちの声が響く。たぶん距離があるけれど、ここまで響いてるなんて向こうは考えてもないだろうな。

足元に光のある場所もありますが、

踏んだら崩れそうでちょっと怖い。足の大きい男性だとつま先で昇り降りしなければいけないくらいかもしれない。

第三砲台跡を出て、展望台を目指し、水平線を見渡せる場所まで来ました。ここで休憩。風が涼しかった。ちなみにトイレや自販機、水道などはありません。

さて、全行程の、おそらくここが折り返し地点。

ここまでを前編とし、後編はまた後日書いて公開しようと思います。めちゃくちゃ写真あるので。

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