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どうぶつの森みたいな日々を離島で過ごしています

畳の上で大の字になる。

風が足の裏をくすぐり、頬をかすめ、ゆるく開いていた手のひらにくるくるっとおさまる。この感覚がすごく気持ちよくって、この前の休日はおうちでずっとそうしていた。

何をするわけでもなく、ずっと。

離島に暮らしはじめてから仕事はもちろん、プライベートでも何かに追われることがなくなった。別に東京にいたとき常時タスクを背負っていたわけじゃなかったので、正確にいうと「何かをしなきゃいけない」という感覚がなくなったのかもしれない。

東京にいるとき、仕事では個人目標とチーム目標に向けてスキルアップを目指していたし、それをクリアすることで得られる評価や達成感にやりがいを感じていた。プライベートではほぼ毎日外にお出かけしてカルチャーコンテンツの消費やら美味しいお店探しとかをしていた。せっかくの休みなんだから、なんか吸収しなきゃもったいない!なんて思ってた。そんな暮らしはとても充実感があって楽しかったのだけど、こっちに来て少し経つと「あの時は常に何かをしなきゃいけないって考えていたな」って思う。

さすがにこっちでも仕事だとやらなければいけないことはあるけど、それを進めるときに計画性よりも”柔軟性”のほうが重要な気がする。「この時間にこれをやってってシフト組まれているけど、あの人の書類のサポートしたほうがよさそうだから確認とろう」みたいな調整がかなり大事なのだ。目の前のタスクをハイレベルで計画的にこなしている人よりも、そういった配慮できる人のほうがサイコーにかっこいいし信頼もされている。

もちろん東京での仕事だってこのスキルは大事にだけど、島で物事の方向性を一番左右するのはプロジェクトスケジュールなどではなく、天気などの自然環境や人のコミュニティの輪だ。だからこそ、柔軟に調整をきかせるスキルは欠かせない。

ちなみに、私が今やっている地域おこし協力隊は評価に応じた昇給賞与もないこともあってか明確な達成目標はない。島全体を見ても「目標を持って行動をとらない人をマイナスにとる空気」ってものがないので、この状況にも違和感を感じない。この前テレビで『わたし、定時で帰ります』を見たときに「あ、そういや会社ってこんな感じだったわ」って思いだしたくらいだ。

「お、なんか今日急にスケジュール変更されているなー
 とりあえずさくっと確認してゆるゆるやるか」
そのくらいのらりくらりと生きているほうが、ここでは生きやすい。

プライベートなんてもっとのらりくらりだ。
晴れていればドライブするし、夕日がきれいな日はビーチまで行く。お刺身が食べたければ漁港のおじちゃんたちのところに行って、野菜がなくなったらお隣のおうちの畑にいく。イベントがあるときは会場にふらりと行ってみる。(そうすれば大体知り合いがいる)

そんなどうぶつの森みたいな日々が島にはある。

ITベンチャーというハイスピードな世界で働いていたときと比べるとギャップがすごいがこの生活も結構気に入っている。タスクやスケジュールに追われるのではなく日々の状況に合わせて柔軟に動く働き方も含めて、この生活に順応できている自分にも心から満足している。

何をするわけでもなく、ただ自分がやりたいことをやってやりたくないことをやらない。そんな日々の暮らしを大事に大事に、日々感謝しながら過ごせていることが、何とも言えない幸福なのだ。

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