独りになりたい夜もある
部屋の中では
ずっと雨が降っている
天井に憎たらしい顔が浮かぶ
電気をつけても
窓を開けて空気を入れ換えても
なかなか消えない
目を閉じても
まだその辺に気配を感じる
ずっと雨が降っている
それはあいつの声だ
テレビをつけても
お気に入りの曲を再生しても
それは消えてくれない
「気になるのはその人のことを好きだから……」
おいおい
悪い冗談はやめてくれよ
そりゃそういう場合もあるだろうけどさ
そうじゃない場合の方が多いに決まってんだろ
(思い出したくなんてないんだよ)
・
独りになりたい時
僕は
独りの部屋を飛び出して
フードコートへ
そこにいる
見知らぬ人たちに囲まれて
僕はようやく独りになれる
もう独り怯えることはない
背筋を伸ばして 僕は独りだと言おう
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?